ファイル233:別れのワインの惨劇事件『前編』
ブォォォォ・・・
和葉
「わからへんなぁ・・・なんでアタシらまで招待されてるん?」
平次
「知るか!」
刃
「気乗りしないの?」
平次
「当たり前や!犬川幸次郎っていえば、今じゃ犬川産業の社長に納まっとるけど、汚いマネでのし上がったヤツや!どうせまともな依頼とちゃうわ・・・」
和葉
「なら、止めたらええのとちゃうの?」
平次
「しゃあないやろ?オヤジに直々に任された依頼なんやから・・・」
キッ。
「服部平次様と遠山和葉様ですね・・・」
平次
「ハァ・・・」
吉村忠明(56)『犬川家執事』
「私、犬川家の執事を勤めております、吉村と申します。お待ちしておりました・・・こちらへどうぞ・・・」
和葉
「パーティーでもあるんやろか?」
吉村
「毎年、会長の誕生日に合わせて親族会を開いておりまして・・・」
コンコン!
吉村
「服部様達がおいでになりました・・・」
「入れ!」
チャッ。
吉村
「主人の犬川でございます・・・」
犬川幸次郎(67)『犬川産業会長』
「よく来てくれたな・・・」
平次
「ほんで、ご依頼の内容は?」
犬川
「今日の親族会に、ワシの娘2人も出席する事になっておる・・・この2人が何をし、何をしようとするかを見届けてもらいたい・・・」
平次
「ハァ・・・?」
「あの、私はこれで・・・」
犬川
「イヤ、構わん!ワシの症状について説明しろ。」
荻野正人(30)『幸次郎の主治医』
「はい・・・今のまま無理を続ければ、命の保証はできかねます・・・」
犬川
「というワケで、そろそろ引退しようと思っとる。ついては、後継者を決めねばならん。」
刃
「娘さんのどちらかが、跡を継ぐんでしょ?」
犬川
「そうとは限らん。たとえワシの子供でも、ワシに背く者には財産を分け与えるつもりはない。」
平次
「そうは言うけど、遺産相続には遺留分いうんがあるから、イヤでも子供には何分の一かは渡る事になるで?」
犬川
「だが、相続する側に問題があれば別ではないのかね?」
平次
「問題?」
犬川
「何かある・・・イヤ、起こりそうな気がする・・・何かが・・・皆には、ワシの友人の息子とその連れという事にしてある。くれぐれも、カンづかれんようにやってくれ・・・」
刃
「(アタシや和葉ちゃんはカモフラージュいうワケか。にしてもあきれたおっさんだわ・・・)」
和葉
「カンパーイ!」
吉村
「服部様、あちらが長女の一美様でございます。現在は画廊を経営されております・・・」
「吉村、そちらはどなた?」
吉村
「はい、旦那様のご友人の息子の服部様でございます・・・」
平次
「初めまして・・・」
犬川一美(29)『犬川家長女』
「ああ、お父様の・・・ご迷惑じゃありません?こんな会に出席させられて・・・」
平次
「とんでもない、友人共々お邪魔して・・・楽しませてもらってます!」
「あら、お姉様?まさか出席されるとは思ってなかったわ・・・」
一美
「私が出席しないワケにはいかないでしょう?犬川家の跡取りなんですからね・・・」
犬川真澄美(26)『犬川家次女』
「そうかしら、お父様にはそんな気はないと思うわ・・・さんざん好き勝手な事して、お父様とケンカ別れして出てったんですもの・・・」
一美
「そういう真澄美こそ、お父様の顔も見たくないからって、さっさと所帯を持ったんじゃなかったかしら?」
真澄美
「そういえばお姉様の画廊、訴えられてるんですってね?偽物を売りつけたとかで・・・」
一美・真澄美
「フン!!」
刃
「(どっちもどっちだわ・・・)」
平次
「『長女次女、共に極めて性格悪し』と・・・」
ジャー・・・
刃
「フゥ・・・ジュースを飲み過ぎちゃった・・・」
コツコツ・・・
刃
「ん?」
サッ!
タタタ・・・
カーヴ(ワイン倉庫)
刃
「(一美さんだわ・・・)」
スッ!
刃
「(注射器!!何をするつもりなの!?)」
プシュッ・・・
刃
「(中身は・・・?)」
カツ・・・
刃
「!?」
ガバッ!!
刃
「うっ!!!(いけない!ク・・・クロロホル・・・ム・・・)」 |