うちのねこは、けっこうゲロっていた。
毛は長くないけれど密度が濃いので、毛玉を吐くことが多かったのだろう。
もちろん、私も家族も、良くブラッシングをしていた。
しかし、猫っかわいがりばかりがそろっているので、基本的にはねこの嫌がることはやりたくない。
ねこが、ちょっとでも嫌がると、すぐやめてしまうのであった。
ねこは、絶妙の場所とタイミングでゲロることができた。
家に来た友人と楽しくおしゃべりしていて、ねこが近くにいたことに気が付かなかった時、「ヒッ、ヒッ!」とゲロ前のシャクリ上げを始めて、人々の関心をかっさらってしまう。
そして、私が泊りがけの旅行に行った時、必ずと言っていいほど、私の部屋にゲロを落としていく。
それは、電気をつけるために足を置く位置にされていたり、ドレッサーに座る時に足を置く位置にされていたり、はたまた、電気をつける位置の一歩手前の位置にされていたり…
絶対に、ここにやっておけば、旅行から帰ってきたら踏むだろう、ということを計算しているようだった。
旅行から帰ってきて自分の部屋に戻って、私が一番最初にやることは、足に付いたゲロと床のゲロをふき取ることであった。
もうひとつ。うちのねこの特徴といえば、サナダ虫を腹中に飼っていることであった。
これは、ちかくに鳥小屋があって、そこにいるねずみを追いかけていたせいであろう。
この件に関しては、虫が出てくるたびに、医者から処方された虫下しを与えていた。
でも、うちのねこが、ごはんをいっぱい食べても太らないのは、この虫のおかげだと思うと、ちょっとうらやましかった。
虫で思い出されるのは、ある早朝、まだ外が白み始めた時、朝のトイレから帰ってきたねこが、珍しく「ニャーニャー」と騒いでいた。
ねこの行動は、ニャーニャーとないてはお尻をこちらに向けることを繰り返した。
私は寝ぼけまなこであったが、お尻がこちらに向けられた時の臭い匂いに気がついた。
そして、目をこすって良く見てみると、お尻から、長く白く、ところどころ茶色に染まっていたものが垂れ下がっているのが見えた。
一気に目が覚めて、ねこを小脇にかかえた。
いつものように抱きかかえることをしなかったのは、お尻から垂れたものを触らないためだ。
そして、外に出て、虫の端を靴で踏んで、ねこの身体を、ゆっくりと上にあげた。
白いひものようなものは上げた分長くなったが、が、途中でブッチっと切れた!
その時、私は大変な間違いをおかしていたことに気が付いた。
つま先の開いたミュールを履いて、その作業を行ってしまったのだ!
ブッチっと切れた、もう片方の端は、ゴムが縮むような勢いを持って、つま先に引っ付いたのだ!
ねこの体内から出たきたばかりのそれは、生あたたかく湿っていた…
それ以来、私は、虫を取る時は、足先を全て覆った父のつっかけを使用するようになった。
-(n.n)-
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