挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
青年と犬と、もう一人 作者:Schuld
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

7/70

青年と犬と死んだ街

 ちょっとだけ戦闘がありますが、グロは殆ど……いや、無いと思います。何時になったら盛り上がるのやら。
 だたっ広い駐車場があった。その駐車場はコンビニの前にある単なる一時駐車場に過ぎないというのに、農地のど真ん中に設けられた広さは、車を優に二〇台は飲み込めよう大きさをしている。

 そんな駐車場の中央に停められているのは全身を雑に溶接された鉄板で覆う一台のキャンピングカーだ。

 キャンピングカーの屋根までは装甲されておらず、屋根に設置する半円筒形のガソリンタンクや強引に括り付けられた硬質プラスチックケースの群れの合間から僅かに地金の蒼が覗く。

 そこに一人の青年が立っていた。オリーブグリーンの大きな双眼鏡を持って、冷えた空気に散切りの髪を靡かせて静かに街を観察していた。

 時折、双眼鏡の中央に設けられた調節器をクリックして倍率を変更し、方角も変えて街を悉に観察する。

 このコンビニから1km程離れた場所にある小さな市街地は、これと言って見るべき所の無い単なる市街地だ。

 田んぼに囲まれ、小さな住居や商店が延々と続き、それが惰性のように広がって、次の街へと続いていく何処にでもある小さな地方都市だった。

 双眼鏡を用いずに観察出来る、ずば抜けて巨大な建造物は殆ど無く、目立つ物は学校の校舎や時折筍のように周囲から抜けて立っているマンションくらいの物である。

 他に目に付く物はと言うと、商店街らしきアーケード街の天井や少し大きな全国展開のスーパーのような物だ。

 いや、併合してショッピングセンター扱いになったのだったか? と青年は首を傾げた後で、結局やることは一緒なのでどうでも良いかと思考を振り払った。

 さて、この状況で生き残るのに必要な事は安定した防衛拠点を得ることか移動し続ける事である。押し寄せる死体共を蹴散らせる装備や火力、拠点や物資さえあるのならば前者も良いだろう。だが、都市部ではそれは難しいだろう。

 確かに建物は頑丈だし、近くにスーパーなどがあれば食料の確保もしやくすくて非常に良いだろうが……一人の戦力では到底不可能だろう。人数がいれば通り全体をバリケードで覆って籠城することも可能だろうが、一人と一匹だけでは望むべくも無い。

 だからこそ、動力の付いた拠点としてキャンピングカーを使って移動し続けている。だが、移動するのにも生きるのにも物資は必要だ。車を動かすためのガソリン、自分にくべる燃料としての食料。そして、連中を退けるための武器。

 これら全て、移動し続ければ人間一人が死ぬまで生活する程度では枯渇すること無く確保し続けられるだろうが、それにも限度がある。

 だが、食料さえ集められなくなったら死ぬのは一緒だ。だからこそ、出来るだけ物資を集めねばならない。

 青年はプランとして、いずれ人里離れた山野の中に大量の物資と車を持って入り、一人で拠点を築くつもりで居た。山は自然の要害として死体共の侵入を阻み、土壌があれば食物を栽培して生活をすることだって出来る。

 そして、人一人が生きるだけの場所を作る為の資材を集める程度ならば、たった一人でも成すことは不可能では無い。

 まぁ、この事態が今後永遠に収束しないという最悪の状況を見越しての事だから、実行に移すのはまだまだ先のことなのだが、と青年は頭を振って思考を再開する。

 まず、訪ねる場所として除外したのは学校だ。学校は広域避難所として扱われ、幾ばくかは緊急避難時の物資も蓄えては居るだろうが、人が多すぎる。

 そして、多数の死体を振り切ってまで向かう価値があるかと言えば否だ。食料だけなら今居る場所のようなコンビニでも十二分に手に入るのだから。

 次に除外したのはマンションなどの民家などが密集している地域。その辺りになると人が多いのは言うまでも無く、実入りは殆どギャンブルになる。また、鍵がかかっているかもしれない家に一軒一軒押し入るなど、効率が悪いこと極まりない。

 なので、残るのはアーケードに覆われた商店街か、大きなスーパーかの何れかになるのだが……どちらも魅力的ではある。そして、その魅力に見合ったリスクも兼ね備えている。

 アーケードの商店街には様々な店舗が建ち並んでいるので、欲しい物は殆どが手に入るだろう。食料品店もあれば、場所によるが登山用具のような物を売っていることもある。恐らく、上手く行けば今の所欲しい物が全て手に入るかもしれない。

 だが、リスクは大きい。健全だった頃は人の通行が多い場所なので連中が多く居る可能性が高い。また、アーケードというのは明かりが無いと非常に暗い物だ。ある程度の透過性はあろうとも、昼間でも相当薄暗いだろう。

 そして、商店一つ一つの大きさはさして大きくない。なので、運が悪ければ探索中に袋小路に追い詰められる形になる。

 そうなれば取れる手は少ない。最後まで足掻いて、足掻きが実らなければ最後の一発で頭を吹き飛ばすだけだ。

 また、商店の配置等も知らないので時間がかかる。そして、侵入口は大きい物が幾つかと、横に抜けていく路地程度しか見当たらない。逃走ルートの確保も相当面倒臭くなりそうだ。

 恐らく、此方は弾の消耗が激しいかも知れない……。

 次に、スーパーだが、こちらは得にこれと行った物は無い。食料品は言うまでも無く山ほど手に入るだろう。それこそ、元々は食料品を扱う場所だったのだから。

 だが、あの大きなスーパーの二階には食料品以外の物を扱うフロアがあるのだろう。医療品や日用品、簡単な調理器具や食器のような物が。

 あのチェーンスーパーは地元にもあったし、チェーンの店舗ならば扱っている物も似通っているはずだ。地元にあった店ではそんな物品が置いてあり、飲食チェーン店も入っていた。なので、恐らくカセットコンロ程度ならば手に入るはずだ。

 だが、こちらの危なさもアーケード街とさしたる差は無い。明かりの落ちた店内は昼でも尚暗く、人が集まる場所なので死体が溜まっている危険性もあろう。

 これは青年が体感したことだが、死体共はあまり昼間は出歩かない。近くに獲物が居るのならば話は別なのだろうが、今までに少し小高い場所から観察する限り、死体は昼間の道路には姿が無い。

 今も、双眼鏡で眺める風景には殆ど死体の姿は見当たらない。どうやら、連中には負の走光性があるらしい。

 理由は分からない。今まで見た映画の中で似たような描写は確かにあった。その中では身体の腐敗を出来るだけ遅らせるための物だと聞いたが……今回もそうとは言い切れない。

 だが、言い切れずとも習性として現に現れている。それならば利用するに越したことは無いのだ。

 リスクと報酬の魅力は感覚的には半々。で、あるのならば……。

 「……まぁ、これが一番簡単かね」

 言うと、青年はベストの懐に手を差し込んで、一つの物を取り出した。掌の上にて鎮座し、陽光を受けて輝く小さな円形の金属板……コインだ。

 もう自動販売機も電車も使えなくなったこの世の中では小銭など精々死体共の気を逸らす程度の物でしか無い。だが、青年はそのコインだけは愛用しているベストの懐に入れて常に持ち歩いていた。

 そのコインは純銀で出来ている。直径は35mm、重量は20g。刻印された意匠は昇日と瑞鳥、そして裏面には菊の紋。造幣局が天皇陛下の在位六〇年を記念して鋳造した額面一万円の記念硬貨であった。

 この硬貨を、彼は母親から譲り受けていた。母は祖母から買って貰い、大切にしていたという。真銀の硬貨の輝きは美しく、僅かに酸化して黒ずみを得つつあろうとも、彼の記憶のままの美しさを有していた。

 何故、これがお守りになっているのかは覚えていない。ただ、母が大切に持っていると良いことがあると握らせてくれた……ただそれだけだ。

 それは、いざという時に一万円として使えるからなのか、銀には魔除けとしての性質があるからなのか、はたまた母親の趣味であったのかは今となっては永遠に不明のままだ。

 「……表ならスーパー、裏ならアーケード街。やり直し無しの一回勝負っと……」

 青年は自分に言い聞かせながら親指を握り込み、人差し指でコインを固定する。そして、押さえ込んでいた指が離れる勢いで素早く跳ね上がり……済んだ音が、青空の下に響き渡った。











 十数分後、青年は昨期と同じくタクティカルベストを装備し、89式小銃の代わりに大きな減音機を供えたMP5をスリングで担いで駐車場に立っていた。隣ではカノンが行儀良く座り、一定のテンポで尻尾をゆらゆらと揺らしながら主の動向を見守っている。

 タクティカルベストのホルスターにはM360が収まり、ベルトを通して吊したニーホルスターにはM92Fをねじ込んである。そして、サービスエリアでそうしたように、腰裏にベルトで大振りなマチェットをぶら下げる。

 マガジン類は全て必要な物に入れ替え、何時でも準備万端といった出で立ちだが、その前には一つの器具が鎮座していた。大型の折りたたみクロスバイクであった。

 街乗り用のクロスバイクの前輪後輪両サイド共にリュックやポリタンクをぶら下げるための装置が増設され、こちらも広義の意味においてのキャンピングカーに属するように改造されている。

 普段は器具を外して折りたたみ、屋根にくくりつけているのだが、このような街に入る時に青年はこれを愛用していた。

 車で通りに入るとエンジンの排気音が響きすぎてやかましく、連中を呼び寄せる。かといって車を離れた所に置いて徒歩で移動しては時間が掛かりすぎるし、バックパック一つ分にしか荷物が積み込めず、積み込みすぎると機動力が大幅に落ちる。

 そこで、青年はキャンピングカーでの移動を始めてから一ヶ月ほどした時に、大阪北部の大型自転車用品店から本体諸共失敬して以後愛用していると言う訳だ。確か、記憶にある限りでは値札を見ると十万円近くしたような気がする。

 だが、店主が居なければもう誰の物でも無く、そのまま朽ちるに任せるのは惜しい。それ故、たまの都市部探索の時には足として大いに役立っていた。折りたためばスペースを省略できて屋根に固定できるのも大変便利である。

 本当ならば、この装備を車に積んでいるのだと、レジャー観光にでも出かける風情であるが……趣は全く違う。この自転車で向かう先は、死体の跋扈する死した街なのだから。

 「さて、行くか、カノン」

 青年が言うと、カノンは鳴きもせず身体を擡げ、尻尾を振ることを返答として街へと鼻先を向けた。

 人間の歩速では犬のそれには到底追いつけない。散歩をしている人間の姿はこうなる前に何処ででも見かけられたが、人間の十分の一の体躯しかないような小型犬でさえ、手加減してやっているからこそ散歩という物が成り立つのだ。

 それこそ、カノンは立派な体躯を誇る大型犬である。青年が装備を担いだ状態なら本気で走ったとしても、箸にも棒にもかからないほどの速度を発揮する。

 成人男性の平均的な速力は、そう持続出来ない全力であったとしても、時速25km程度がやっとだが、犬にもなると大型犬では時速40kmもの速度で走る事が出来る。

 そして、カノンはシベリアンハスキー……犬の中でも持久力と速度にとみに優れた犬種である。

 元々アラスカの大地でチェコート族が犬ぞりを牽く為の犬として珍重し、馬などのように財産としてまで扱われてきた犬だ。それこそ、人間が対等に走ろうと思えば自転車を以てしても敵うまい。

 自転車に跨がり、スタンドを踵で蹴って外してから青年はペダルへと足を乗せ、体重を掛けた。ペダルからクランクへと力が伝わり、その力がスプロケットを介してチェーンを回し、チェーンの回転が後輪へと伝達して車体を前へと進める。

 足を交互に踏み込んでペダルを回し、車体がある程度速度を得て安定を産んだところで、青年はサドルから腰を上げて、速度を出すために立ち漕ぎへと移行した。

 それでも、横目にちらと見やるとカノンが楽しそうに走って着いてきている。全く遅れること無く追従してくるのは、流石犬橇に使われていた伝統の犬種とでも言うべきだろう。

 普段は散歩もまともに出来ず運動不足なカノンだ、たまには全力で走らないと色々と辛いだろう。ただでさえ必要とする運動量の多い犬種なのだ、この生活は彼女にとって相当窮屈な物であったろう。

 せめて散歩を普通にさせてやれる環境があればとは思うが、それは望むべくも無い。不用意に外に出れば必ず戦闘になり、弾を消費する。そして、弾の量は寿命に等しい。

 例えかなりの余裕があったとしても、無駄遣いは出来ない。何時敵が大量に押し寄せてきて、逃げる事が出来ない状況に立たされるか分からないのだ。カノンには我慢して貰うしか無いだろう。

 だから、せめて街に入るまでの長い直線の間くらいは自由に運動をさせてやりたい。こんな時でもなければ死体の事を気にせず自由に運動など出来ないだろうから。

 楽しげに走るカノンを横目に、青年は自転車のペダルをひたすらに踏み込みながら目の前に広がる街を睨め付ける。あの中にどれくらいの数が潜んでいるのかは分からないが、少なくとも携行出来る弾よりはずっと多いのだろう。

 日本の地方都市と言えど、そう馬鹿には出来ない。昔のことだが、慣れから来る油断でそこらのコンビニに行くくらい大丈夫と思っていたら、盛大に囲まれてコンビニの屋上に三日程殆ど飲まず食わずで籠城する羽目になったこともあるのだから。

 だから、青年はしっかりと策を携えては来ていた。

 策と言っても、極めて単純な物だ。多目的ポーチの中にゴロゴロと入っている沢山の掌大の目覚まし時計やキッチンタイマー。前に駐車場で使ったのと殆ど同じ手管である。

 そろそろ市街地に突入するなと言う頃に、青年は一旦車を止めて目覚まし時計をポーチから一つ取り出した。青い色をした四角いアナログの目覚まし時計だ。

 時間は適当だが、目覚ましの設定だけ合えば良い……およそ半時間後に鳴るように時計裏の摘みを弄って設定し、近くの畑の中に出来るだけ遠くまで飛ぶように放り投げた。

 そして、放り投げた目覚まし時計が壊れずに落下した事を確認すると、再びペダルを漕いで前進する。

 田舎の地方都市だ、やはり差して建物が密集していない上に道が広い。これならば少々死体が湧きだしても自分達ならば軽く抜けられる。青年はそう思いながら、走ったままで多目的ポーチに手を突っ込み、また時計を一つ引っ張り出す。

 これらは全部途上に寄った場所で失敬してきた物で、特別に音が大きいのが売りの製品達だ。曰く、大音量過ぎるので集合住宅で使うなと言う注意書きのされるレベルの代物である。

 時間設定は二七分後にし、何時でも押せるように準備する。外から見て大雑把に把握した地理では、アーケード街まで後、左に一回曲がり、そこから右に曲がれば北側入り口だ。

 アーケード街は北側から南側まで数百メートル程度の長さで続いており、丁度真ん中程度に西と東へ抜ける大きな通りが走っている。中にどんな店があるかは賭けだが、そう悪い物では無いだろう。

 シャッター街と化していて一切の店が開いていないなんて事になっていなければの話だが。確か、地元の商店街も開いている店が随分と減っていたような気がした。

 そんな事を危惧しつつ速度を落とし、カノンを追従させながら道を曲がる。硝子の割れたたばこ屋の中で、老婆らしき格好をした死体を見かけたので、曲がる路地とは逆の道の遠くに時計を放り投げた。

 漁っていられる時間は、都市部に入ってから三〇分間程度と考えている。それ故に、自分が出て行く時に鳴りだして死体共の注意を惹くように時計を放り投げ続ける。そうすれば、帰りに道が死体で埋まっていて逃げられない等という事態には陥りにくいはずだ。

 少しだけ距離のある直線を速度を上げて走る……まだ道に死体の姿は無い。このままずっと引きこもっていてくれれば有り難いが、そういう訳にはいかないだろう。

 連中は匂いに異様に敏感だ。香水を付けていなくとも、人間が居れば何処からかやって来てしつこく追ってくる。連中がわき出す前に、事を終わらせなければ。

 精一杯速度を出して通りを抜け、体重を片方にかけてハンドルを切ること無く角を曲がる。商店街の入り口が見えた。

 アーケードがかなり高く取っているらしく、中は思っていたよりも薄暗くないようだ。これは望外に有り難いと思いつつ、青年はアーケード街の入り口にまで最後の頑張りと自転車を突っ走らせる。

 カノンも青年に並んで、しなやかな身体を躍動させて駆け続け、終ぞ遅れること無く完全に追従しきった。

 入り口にまで達すると、青年は自転車を一旦止めて中を観察する……やはり、居た。自分達の気配を感じて、ちらほらと開け放されたままになっている店舗から死体が湧きだしている。

 よく見れば、シャッターをブチ破られた店舗の姿も見受けられた。確かに、商店の薄いシャッターでは死体が何十体と押し寄せれば加重に耐えきれず壊れる事もあるだろう。

 青年は不意に沸き上がる舌打ちの衝動を抑え込んで自転車から降り、MP5を肩付けに構えて、親指を弾くようにしてセレクターを弄った。

 セミオートに合わせ、アイアンサイトを覗き込み、一番手近な死体の額にポイントする。距離は約二〇メートル、十分に短機関銃での距離ではあるが……これに光学式のサイトでもついていればなと、青年は思いながらトリガーに指を掛けた。

 警察が使っていた物だからだろうか、それとも仕様かは分からないが、MP5のトリガーはかなり重い。体感だが1.5~2kg程の加圧が必要だと感じる。

 そして、青年は迷わずトリガーを引き絞った。映画のような劇的な音はしない。ただ、綿の詰まった袋が破けるような間抜けな音が響いて、殆ど同時に狙っていた死体の頭が弾けただけだ。

 音速で飛翔した弾丸が右の眼球から頭に侵入し、腐った脳漿や肉を引き連れて頭部を姦通したのだろう。そして、音は減音機のお陰でかなり小さい。減音機が音を抑えてくれたので、発砲しても寄ってくる連中の数は少し減らせるはずだ。

 青年は歩きながら次の目標にポイントし、引き金を単調に絞る。三歩歩く毎に一発撃ち、一体ずつ死体が倒れていく……これを七回繰り返すとアーケード街の入り口に死体は居なくなった。

 だが、まだ油断は出来ない。アーケード街の奥には人影が幾ばくか確認できる。流石にあそこまで距離があると、短機関銃の距離ではないので撃てないが、いずれ奥まで行くとなると排除する必要性が出てくるだろう。

 自転車に戻ろうとすると、カノンが小さく吠えた。振り向くと、死体が近くの路地から湧いてきている……数は三体、薄汚れているが、詰め襟の制服を着ている。身長から推測するに、中学生であろうか?

 距離が開いていないので、始末は簡単だった。狙って引き金を引くだけ、これを三回繰り返す。薬莢が地面に落ちるが、今は時間が惜しい、帰りに余裕があったら拾っておこう。

 暴発の危険があるが、即座に発砲出来ないと困るので安全装置は掛けぬまま、自転車のハンドルを握って、乗るのでは無く押して進み始める。薄暗いアーケード街に突入する寸前に、青年は胸元のポケットに突き刺さっているL字ライトのスイッチを捻った。

 ハイビームの光が薄暗い商店街の中にまで伸びていき、薄暗い中を照らし出す。アーケード街の天井に掛かっていた看板にライトが当たり、刻まれている色褪せた大きな文字が見えた。

 「……新入生の皆様、ご入学おめでとう……ね」

 全く、祝いの看板もこうなっては皮肉だなと思いながら、青年はカノンに背を任せて商店街を進み始めた…………。
 前回盛大な間違いをやらかしてしまいました。小学生レベルの地理があやふやとかホント一回死んだ方がいいと痛感する。こんな事が無いように気を付けはしたいのですが、多分きっと私の事だからまたやらかすと思います。よろしければ半笑いで指摘してやってください。

 またしても更新が遅く申し訳ありません。春休みに入りましたが、如何せん仕事が増えまして、こっちに手が回せなかったので、少し短いですがここで区切りとして投稿させていただきました。出来れば長い目で見てやって下さい。

 しかし、戦闘を出来るだけ避けるというスタンスや、人助けはしないという行動方針、そしてクリーチャーがゾンビだけな上に文才が無いので戦闘が全く盛り上がりませんね……どうすれば面白い物が書けるのやら。

 それでは、感想や誤字の訂正をお待ちしております。
cont_access.php?citi_cont_id=714025369&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ