白皇学院に通う彼女の名は花菱 美希。とある政治家の孫娘で三度の飯より情報収集とヒナギクを虐めるのが好きな16歳の少女である。
そんな彼女には、好きな人が居た。
長いピンクの美髪にヘアバンドを着けたイエローアイズの女の子。白皇の高等部一年生で生徒会長を努めている。
その娘の名は桂 雛菊。
と、物語の主要人物の紹介を終えた所で、本編の方をスタートしようか。
*
此処は毎度お馴染、動画研究部、Youtobeの部室。
美希は此処で、手紙を書いていた。
(ヒナ、受け取ってくれるかな?)
ラブレターを書いている様だ。
事の発端は今から一週間前。
休日、美希が暇潰しに散歩をしていると、覆面を着けた謎の集団が美希を取り囲んだ。
この有り得ない状況に美希は戸惑った。
「何かな、これ?」
そう問うが、答える人は居ない。
「親分、此奴、花菱 美希で間違いありゃせんで」
「引っ捕えろ!」
覆面集団は一斉に美希に詰め寄った。
その刹那、何かの乾いた音が連続で木霊し、覆面集団が全員倒れた。
それと同時に、美希の視界に木刀を持った少女の背中が出現した。
正宗装備のヒナギクだった。
「あ、ヒナ」
「全く、何なのよこれ?私が通り掛からなかったら大変な事になってたわよ」
言って振り向くヒナギク。
「あんた、この人たちが起きない内に離れた方が良いわよ」
すると美希がヒナギクに抱き付いた。
「ちょっ、美希!?」
「有り難う、ヒナ」
戸惑うヒナギクに美希はそう言って彼女の唇に自分のそれを重ねた。
赤く染まるヒナギク。
「じゃあねー」
美希は走り去って行った。
それからと言うものの、美希の頭からはヒナギクの事がずっと離れないでいた。
自宅の自室のベッドに横になり、先刻遇った事を思い出す。
(私、ヒナに惚れちゃったかも)
で、今に至る。
「出ー来た」
手紙が完成し、可愛らしい便箋をこれまた可愛らしい封筒に入れて封をした。
封筒には『桂 雛菊 様』と在る。
美希は立ち上がると、その封筒持って校舎の下駄箱に移動した。
「えーと、ヒナのは・・・有った!」
ヒナギクの名前を見付け、そこに封筒を入れる。
「おう、美希じゃないか」
「ぎゃあ!」
何の前振れも無く突然現れたナギに驚く美希。
「どうしてそんなに驚く?」
「え、否、別に。てかさよなら!」
美希は慌ててその場を離れた。
「???」
ナギは首を傾げた。
*
放課後、ヒナギクは下駄箱の蓋を開けた。
「何かしら?」
手を入れて中にある異物を取り出す。
「手紙?」
ヒナギクは表裏を確かめた。
宛名はあるが、差出人の名前は無かった。
(誰からかしら?)
気になったヒナギクは封を切って便箋を出した。
『あなたが好きです。いつもあなたの事を見ています。もし付き合っている人が居なければ付き合って欲しいです。旧校舎の前で待っているのでOKなら来て下さい』
(ラブレター・・・よね?)
ヒナギクはキョロキョロと辺りを見回し、誰も居ない事を確認すると、便箋を仕舞った。
(ひょっとして・・・)
ハヤテからでは?──そう思ったヒナギクは、急いで旧校舎に向かった。
*
旧校舎で美希が待っていると、彼女は来た。
「あ、美希。ハヤテくん知らない?てっきり此処だと思ったんだけど」
「ラブレター?」
ヒナギクは頬を赤く染めた。
「な、何で判ったのよ?」
「え?だって、ラブレター書いたの私だもん。ハヤ太くんじゃないよ」
「どう言う事よそれ!?」
「ヒナ、人がラブレター出す時ってどんな状況?」
「それは・・・」
ヒナギクは頭上にその状況を浮かべた。
「って、つまりそう言う事なの!?」
美希は「うん」と頷いた。
「む、無理よ。私にはそんな趣味無いんだから。今まで通り友達で居ましょう。それに、私には好きな人が居るの」
「じゃあ何で来たの?」
「そ、それは・・・」
「来たって事は、OKって事だよね?」
「う・・・」
言葉が浮かばないヒナギクと喜びの笑顔を浮かべる美希。
「付き合ってくれるんだよね?」
(そ、そうよね。此処まで真剣に私を好きで居てくれてるんだから、断ったら可哀想・・・よね?)
ヒナギクは少し躊躇いながら、美希の事を抱き締めた。
「良いわよ。その代わり、二股は駄目だからね?」
「有り難う、ヒナ」
この瞬間、二人は交際をする事になった。
ガサガサッ!
突然、物陰から音がした。
二人は驚いてそこを見た。
唖然とした表情のハヤテが立っていた。
「は、ハヤテくん!?否、これは違うのよ!?お芝居の練習なのよ!?そう、お芝居!」
「ヒナギクさん、そっちだったんですね。僕、ヒナギクさんの事好きだったんですけど、もう良いです」
ヒナギクの必死な言い訳も虚しく、ハヤテは去って行った。
(ハヤテくんが私の事・・・ってか振られた!?)
ヒナギクは美希の方を向いた。
「あ、あんたの所為で振られちゃったじゃない!」
「私の所為じゃないよ」
ヒナギクはその場に崩れて泣き出した。
「は、ハヤテくんに、振られた」
「未だ告白してないよね」
「でもハヤテくんは私の事が好きで、私も彼が好きだった。同じ様な物よ」
「まあまあ、元気出しなよ。今は私が居るじゃん」
「そう・・・よね・・・」
ヒナギクは涙を拭いて立ち上がると、再び美希を抱き締めた。
「美希、ちゃんと幸せにするのよ?」
言ってヒナギクは美希と口付けをした。
長く、そして厭らしく。
端から見るとそれはヤバい光景。二人の関係は瞬く間に広まり、翌朝の白皇ではその噂で持ちきりだった。
二人で廊下を歩いていると、皆が冷たい目で見ながら二人を避ける。
「見ろよあれ。レズの生徒会長だぜ」
「気持悪いわね、何か」
「俺、あの人の事好きだったんだよなぁ」
など、口々に言う奴ら。だが二人はそんなの気にしない。
そんな事で関係が壊れる程やわじゃないから。
「美希、彼等に見せ付けてやりましょう?私たちの愛を」
二人は互いに見詰め愛、唇を重ね合わせた。
辺りは一斉に静寂に包まれた。
「ぷはっ」
ヒナギクは一旦離してこう言う。
「愛してるわ、美希」
「私もだよ、ヒナ」
二人は再びキッスをした。今度は、互いの舌と舌を口の中に挿入するディープキスだ。
True happy end...
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