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私とワタシとキミと君




宵。

ネオンがモノクロに光るガラクタの街。

彩られない、アナタとワタシ。


心の痛みさえもアナタの指はそうっとなぞる。

それがこんなにも優しいから、離れられない。


「おいで」


涼しい指が手招きするままに。


欲張りで、中途半端なワタシを掬って、彼は上唇で遊ぶの。


遠い未来よりも、確実な未来を見つめる。



横目に映るソファーの上のふたりの抜け殻。

そのままに重なる温もりに、できればこのまま包まれていたい。


「あすな…っ」


鼓膜を震わせたのは、ワタシじゃない誰かの名前。

胸が痛い。涙がこぼれる。

それでも、アナタが印したものならたとえ痛みだとしても愛し通そう。


「どうしたの」


そういってアナタは私の涙をふく。

まるで、コップの中の氷を救うように。


『ひとりにしないで』


『身体だけじゃなくて心も求めてよ』


どんなことばも、軋むベットの上では、君に届かない。



どうか、アナタの指を、声を、全てを。

そしてワタシが絶頂に達するころには、"私"はもういらない。


私をあげます。あげます。あげます。

……願いを聞くのは、夜の闇だけ。


私から重ねた唇。

探り合う二枚の舌。


やがて後頭部を抑えられ、それは激しくなる。


呼吸もままならないほどに、依存の海に溺れて堕ちてゆく。


かすかに覚える目眩がいつかは覚める現実(ゆめ)を知らせにくる。


こんな作り物めいた私たちを月明かりが照らしてる。


そして。

夜は朝を連れてくる。


昇りゆく朝日が別れのサイン。


茜空に背を向けて、ガラクタの街で息をする。




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