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第2話〜冷たい視線と森羅学園〜
 
家を出発し、学園へ足を走らせてから5分。

「ふむ、意外に早く着いたな…」

 普段なら歩いて10分掛かる距離を、今日は5分着くことができた。まだ結構人がいるな。

 ちなみに俺が通っているのは森羅学園という学校で、勉強もスポーツも並、しかし魔法に関しては、日本の5本指に数えられるほどの有名な学園だ。魔法も今では義務教育の一つになっている、立派な教科だ。

「なんだあれ?」

 校門の入り口で人がうじゃうじゃしてきもいな。

 耳を澄ますと、「何組だった?」「また一緒のクラスだね!」など色々聞こえてきた。どうやらクラス分けの紙が貼ってあるらしい。

「清くん、まってよ〜」

「ん?」
 
 もう追いついたのか。

 後ろから詩織が近づいて来る音が聞こえ。すぐに返事を返そうとしたが、今朝の出来事をおもいだし思いとどまる。

 そういえば俺の安眠をよくわからない勘違いのせいで台無しにされたんだよな…なんかそう思うと少しイラついてきた…もうすこし仕返ししとくか

 心の中で決意していると、いつまのにか詩織が隣まで来ていた。
 俺は詩織に嫌味たっぷりな笑顔で振り返る。

「なにか用ですか? 中川さん?」

「…」

 しかし詩織はうつむいて返事がない。まるで屍のようだ…。

 というかなぜ反応しない。

 返事がないことに疑問を抱き、同じ口調でもう一度声をかけてみる。

「どうかしましたか?中川さん?」

 よくよく考えたら俺がが普段使わない敬語を使っているなんて気持ち悪いな。
 
 そう思いつつ今だ反応のない詩織の様子を確認する。

 詩織は俯きながらぶつぶつと何かを言っている。

「……な…さぃ」

「え?」

 声が小さすぎてよく聞き取れないな。

 俺は詩織の顔を下から覗き込むように見る。

 するとそこには詩織は顔をくしゃくしゃにしながら泣いていた。

「ぐすっ、ごめっなっさい」

「…ええええええ!?」

 なぜ泣く!?

「ど、どうした?」

 詩織は未だ泣きながら、なんとか口をあけた。

「今朝のっこと、ぐすっ、謝るからっ、他人のふりしないでっ…」

 そんなことでいちいち泣くなよ…
 と俺は思っているが、詩織にとっては泣くほどの価値があったらしい。

 しかも最悪なことにいつの間にか俺たちの周りに生徒達の集まりができて、「最低」、「なんだあいつ、死ねよ」とか「なに様だ?」、「詩織ちゃんを泣かせるなんて、とにかく死ね」とか聞こえてくる。みんなひどい、しかも殺気のこもった冷たい視線が集中してきて、それだけでなんか死ねそうなだよ。

 ってか俺が被害者じゃないのか? と思いつつも口にできず、しぶしぶ誤ることにする。

「詩織、俺がわるかったよ、だから泣きやんでくれ」

 しかし、詩織は顔を手で覆いながら、すすり泣いており、泣き止む気配はない。

 ああ、こんなことしなきゃよかった…

「ぐすっ、ううっ」

「しお「神崎清人〜!!!」…」

 俺が詩織に謝っていると、突然変な集団に言葉を遮られた。”変態集団?”と思っていると、周りの野次馬が騒ぎ出した。

「な、なぁあれって、詩織親衛隊じゃないか?」

 そんなのまであったのかよ…

「ああ、たしか前、中川さんの靴に水をこぼしたやつが3日間行方不明になったていう。隊長はたしか近Aランク近くあるらしぜ。」

「まじで?」

 この人間世界での魔法による戦闘力は法律によりランク付けされている。それぞれ魔力量、近、遠、中距離の戦闘力の総合によってランク付けされる。その他にも近距離専門、遠距離専門、回復専門のランクなどもある。ランクの付け方は上位神に闘いを見てもらうか、ランク昇格試験に合格するかである。魔力量は機械によって測る。

魔力ランク表
E 0〜999               
D 1000〜2499            
C 2500〜3999
B 4000〜5499
A 5500〜6999
AA 7000〜8499
AAA 8500〜9999
S 10000〜14999
S+ 15000〜19999
SS 20000〜29999 
SS+ 30000〜49999
SSS 50000〜99999
SSS+ 100000〜499999
SSSS 500000〜999999
Z 1000000〜XXXXXXX

 ちなみに、Sランクの魔力量をもつ人間は世界に十数人、SSランクは確認されていない、おそらくはいるんだろうがあまり表にでない。たまに死んだ神の魂が人間に転生して大量の魔力を宿すが、人間の体はその大量の魔力に耐えられないことが多い。Aランク以上は人間にしてはエース級といわれる。この学園は主に魔力が強い子を入学させ、育てている。だいたいの生徒はC,低くてD,しかし高いとまれにAAやAAAなどもいる。数人だけど、教師はみんなAAだ。校長はSらしい
 そして普通の一般人の魔力は300程度で、世界中の人間の半分くらいはだいたいこれくらいだ。

 どうでもいいけど眠くなってきた。

 俺は野次馬の話を聞きながらあくびをしていた。どうやら興味はないようだ。

「おい!貴様!我らの詩織さんになにをした!!」

 親衛隊隊長のあとに続いて、親衛隊の人たちも何かいってる。ちなみに全員ピンク色の鉢巻を巻いている。

 恥ずかしくないのか?と思いつつ、一応誤解だけは解いておこうと、親衛隊に話しかける。

「いや、お「なにをいっても許さーん!」」

「だったら聞くな!!」

 解けなかった。彼らはもともと俺を許す気はないようだ。なにをいっても無駄そうだから、だまって聞いてよう。

「だいたいなぜ貴様みたいなやつが詩織さんと共にいる」

 幼馴染だから

 周りの野次馬がどんどん数が増えていく。すんごい恥ずかしいけど、親衛隊長はまったく止まらない。

「だいたい頭悪くてスポーツもできない!そしてなにより魔力量10! なんだよ10って! ないのと一緒じゃねぇか!」

 さずかに周りの野次馬も顔をそむけるものが出てきたな。

 ひどい言い方だけど、事実だからな~。

「お前みたいなやつがわれらのアイドル、詩織ちゃんに気安く近づいてんじゃねぇよ!」
 
「っつ」

 早く終わらないかと待っていると、突然頬にするどい痛みを感じた。

「余所見してんじゃねぇ!」

 どうやら親衛隊長じきじきに石を投げられたらしい。当たった部分を指で触れると、少し血が出ているのがわかった。
 しかし俺は、結構こういうのになれているため、いちいち気にしていなかった。

 そう俺は、気にしていない…

 清人が早く終わらないかと待っていると、詩織がいつの間にか泣きやみ、俺の前に立っていた。

「…」

「おお!!詩織さん早くこちらに!バカがうつります!」

ピキッ!

 詩織は親衛隊の言葉で何かにヒビが入ったような音をたて、親衛隊を睨みつけながら静かに呟く。

「…来たれ、アルム・ベルズ」

 詩織が低い声で言い終えると同時に、詩織の右うでについていたブレスレットが一瞬にして杖にかわった。全体的に青く、先端が丸い輪になっておりその輪にはひし形の青い宝石のようなものが6つ付いている。

 詩織が持っている杖はアルム、簡単に言えば武器だ。普段はブレスレットとして身につけているが、起動に必要なパスワード、これはみんな一緒で、アルム・ベルズという言葉で起動する。アルムは持ち主の言葉にしか起動しない。例外もあるがそれはまた今度説明しよう。
 
 このアルムは起動すると持ち主の体にながれている魔力の少量を使い薄い魔力の膜を張り防御力を高める、この魔力は持ち主によってかわるし、魔力を増やしてさらに硬くすることもできる。そしてアルムの形はその人にあった形に変わる、詩織の場合は遠距離型だから杖。そしてその形によって能力が違う、基本的には魔力を補佐、増幅したりする。アルムは、元になる結晶に触れた人の魔力量や質に反応して初めてできる。強力なアルムには特殊な能力を持つレイスもある、例えば二つの形に変化できるもの。剣と杖二つになれたりするものだ。人には魔力の質によってそれぞれ変化させられる属性を持っている。風、火、水など様々だ。さらにその人にしかつかえないレア属性などもある。基本は1人1属性だが、魔力の質によっては二つや三つもつ人もいる。アルムの丈夫さなども持ち主の魔力量によってきまる。壊れても一日もすればだいたいはなおる。さらにアルムには安全処理設定が付いており本人の意思でつけられる

 ――あれ?そういえば詩織のランクってなんだっけ?

 この学園では制服の胸元についているバッチでランクを見ることができるのだ。俺は詩織のバッチを覗き見て、驚きの声をあげた。

「AA!? 詩織ってそんなに魔力高かったのか…」

 …清人は驚きの声を上げたが、詩織は前から有名だったので、清人以外の人はすでに知っていた。むしろ今まで一番そばにいて気づかなかったのが不思議なくらいなのだ。

 突然武器を出した詩織に、さすがの親衛隊長が身に危険を感じたのか、冷や汗をたらしている。

「あ、あの詩織さん? 何故アルムを…?」

 親衛隊の質問に詩織は体に大量の魔力をまといながら答える。

「あなた達、今清くんのことさんざん侮辱したわよね?」

「え?」

 詩織親衛隊隊長が気の抜けた声をだした。

「よくも清くんを侮辱したわね!絶対に許さない!!」

 そういうと詩織が杖を親衛隊に向け、杖に魔力を集中させる。杖先の宝石が魔力に反応し、魔力を増幅させながら青い光を放つ。

 魔力が溜まりきり、詩織が魔法名を叫ぶ。

「スプライド!!」

 魔法名を叫ぶと同時に、杖の先端から、まるでビームのように太い水が発射された。

ドバーーン!!、

 凄まじい音ともに親衛隊が吹き飛ぶ、水の魔法ならたいして致命傷にはならない。詩織はそのことを考えて水の魔法を選んだ…と俺は思っていたのだが、詩織の杖に雷が纏いだしたのを見て、自分の安易な考えを捨てた。

 さすがにとめないとやばいよな。ってかなんであんな怒ってんだ?

 詩織を止めるため、後ろから声をかける。

「おい詩織、それ以上はやめておけ」

「だいじょうぶだよ清くん」

「?…なにが大丈夫なんだ?」

「安全処理は解除してあるから」

「いやいや全然大丈夫じゃないだろ!? なにさらっと笑顔で殺人発言してんだよ!」

 しかし詩織はすでに獲物を狩るような目で親衛隊に狙いを定めており、俺の声はもはや耳に入っていないようだ。

 くそっ、マジかよ!

「消えなさい、ボルガ・」

「やめろ!詩織!!」

ガバッ! むにゅっ

「ひゃん!」

ガチャンッ

 なんとか間一髪のところで詩織を後ろから抱きつきとめることに成功した。

 危なかった、ってなんだこれ?

 俺は手の中に柔らかい丸い弾力のあるものを掴んでいることに気づくと、それがなにかを確かめるように揉んでみる。

 むにゅむにゅ

「ん…清くん…」

 詩織は熱っぽいような声を出してぇぇぇぇぇぇ!? これって!

 それが女性特有の物だと気づくと俺は慌てて手を離し、後ろに下がって頭を下げた。

「わわわわ、悪い!」

「う、ううん、べ、別に、全然いいよ! わたしも悪かったし、それより…」

 殺されると思ったが、余り怒っていない詩織の様子にほっとする。

「な、なんだ?」

 詩織は言いずらそうに口を開く。

「今朝のことまだ、怒ってる?」

 今朝のこと? 睡眠のことか?

 詩織は上目遣いで聞く。普通ならこれでたいていの男子は悩殺なのだが、清人はかなりにぶいのでそのことにあまり気づかない。

「いや、もう全然おこってねぇよ」

 そう言った途端、詩織は笑顔になった。

「本当に!? ってああ! 清くんほっぺから血が出てるよ!」

「ああ」

 そういえばさっき石投げられたんだったな。

「こんなの別に大したこ”ペロッ”……」

 突然俺の頬を詩織が舐めた。衝撃的な行動に、俺を含めた野次馬全員が言葉を失った。

「これで大丈夫だよ」

「あ、ああ」

 気の抜けた俺に再び視線の槍がささったが、さっきの出来事を見ていたためか、誰も陰口を叩こうとするものはいない。

 びっくりした~

「あ! その怪我じゃご飯大変だよね。今晩作りにいってあげる!」

「え? いや頬怪我したくらいで別に……」

「作りに行ってあげる!」

 いつの間にか握りしめていた杖を見せ付けながら元気よくいってきた。

「楽しみにしてるよ」

「まかせて!」

 なんで俺ばっかこんな目に…

「じゃあクラス分け見に行こう」

 そういいながら詩織は杖をもとのブレスレットに戻す。

「わかったよ」

 いつの間にか周りから野次馬も消えていおり、、親衛隊はさっき運ばれていった。ご愁傷様

「じゃあいくか」

「うん!」

 そういいながら俺たちは掲示板へと向かった。


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