Count.1.9 誤解
外ではタカシとユリが車内で待機をしている。病院に着いた時、マキは葉月に二人と一緒に車内で待つようにと言った。しかし葉月は従おうとはしなかった。困っている時だからこそ陽の側にいてやろう。マキは容易に葉月の心中を察する事ができた。それに少なからずアシスタント二人のことも気になったのだろう。マキは
「では葉月くんも一緒に行きましょう。」
と一言だけ告げ、車から降り葉月よりも先に陽の腕の下にもぐりこみ肩を貸した。
「今、陽くん診てもらってるから、葉月くんはここで座って待っててね。」
マキは葉月を1番後ろの診察室から遠い長イスに座らせた。やはり患者はたくさんいるが皆、診察室に近い前列に集中して座っているため後ろの方はそれほど人がいなかった。
「わかりました。」
マキは葉月の返答に軽い反応を示すと陽と医者、瀬名のもとへと向かった。
数分後、診察室から出てきたマキは気が気ではない様子で陽たちのいる待合室へと急ぐ。
“やはり外で二人きりはまずい。”
待合室の奥の長イスに座ってテレビを見ている二人を見つけた。もちろんテレビの内容はどのチャンネルに変えても電車事故のことしかやっていない。
「あなたたちは、強いわね…」
いつの間にか自分のすぐ側まで来ていたマキに驚く陽。
「マキさん…」
「こんな事故、誰も望んでいなかった…。誰も想像できなかった…。電車の運転士もそう…。」
「………。」
「聞いた?電車の運転士、勤務直前まで病気の母親の看病をしてたそうね…。夫は何年も前に他界して、母一人、子一人。まだ独身だったみたいね…。本当に皮肉よね…。」
その時黙ってテレビを見ていた葉月が急に立ち上がりマキに目を向けた。
「一体何なんですか…?あなたは……!あの運転士の味方なんですか……!?」
“葉月の声が震えていた”