Count.1.6 謎の女
「君たち生存者?」
その女性は淡い水色のスーツがよく似合う人だった。女性にしては背も高い。165ぐらいありそうだ。顔立ちもすっきりしていて美人。髪も少し茶髪の長めだ。でもどう見ても20代前半だ。オレらとそんなに変わらないだろう。一体何の用だ?
「…はい…。そうですけど…」
女が葉月と目を合わせる。しかし葉月はすぐに目をそらした。
「私はマキと言います。よろしく。」
「え、名字?名前?」
「…。名前です。」
「はぁ…。」
オレと葉月は顔を見合わせ怪訝そうな表情を浮かべた。そして陽は“マキさん”とやらの人の後ろにいる犬に気がついた。
「その犬、あなたの犬ですか?」
マキは少し驚いた表情を見せた。
「そうよ。とりあえず私と一緒に来てほしいの。」
「え?どこにですか?」
「それはまだ言えないの…。」
陽はマキの目をじっと見つめる。
「……。葉月、肩貸してくれないか?」
「あ、ああ…。」
「いいわ。」
手を貸そうとする葉月をマキが手で遮った。
「私にまかせて。あなたも精神的とか色々と疲れてるでしょ。」
微笑むマキ。
「…。あの…本当にどこに行くんですか?」
葉月が尋ねる。
「心配しないで。ちゃんと病院にも行くから。」
周りがオレらを見てひそひそ話を始めた。
「じゃあ葉月くんも行こう。」
それに感づいたのか急ぎ始めた。
「は、はい…。」
そして、マキの肩につかまりながら陽が尋ねた。
「あなた、誰なんですか?」
「今は説明している暇がないの。でも大丈夫。
私を信じて。」
「…。分かりました。」
陽は少し考えてそう答えた。
なぜマキが葉月の名前を知っていたのか、という疑問を持たなくてはいけない事を二人は気付かなかった。