Count.1.5 名前
「陽…」
辺りを見回す葉月。
近くに何人もの人間の下敷きになっている陽を見つけた。咄嗟に駆け寄り陽の呼吸を確かめる。
「よかった…。生きてる…。待ってろ。今助けてやる」
しかし力が出ない。ショックのあまり気が動転しているのだろうか。人一人動かす事もできなかった。
「くそ。誰か呼んでくるから、もう少し待っててくれ。」
『ちょっと待てよ。おまえどうやって出たんだよ?救急隊が来た時はちゃんと扉閉まってたんだぞ。』
『それが…覚えてないんだ…。きっと無我夢中だったんだと思う…。』
思いつめた表情で葉月を見つめる陽。
そして電車から出たオレは色んな人に助けを求めた。
「すいません!中に友達がいるんです!助けてください!」
「下敷きになってて動けないんです!お願いします!」
でも 誰も 相手に してくれなかった…。
『………。仕方ないじゃんか。みんなパニクってるのは解るだろ。それにそういう風に助けを求めてたのはきっとおまえだけじゃない。気にすることない。現にオレはこうして生きてる。おまえのおかげだ。ありがとう…。』
どうしようか考えてた時おまえがオレの名前を呼ぶのが聞こえたんだ。
「葉月ー!葉月ー!」
オレは必死になって声がする方に走った。
ちゃんと伝わった。誰かが助けてくれた。うれしかった。
葉月が照れたように笑いながら言う。
「おまえもオレの事探してくれてたの、うれしかったよ。」
「だってオレら親友じゃんか。」
そこに一人の警察官が近づいて来た。
「生存者かい?悪いが名前を教えてくれないか?」
「オレは佐伯陽です。」
「サエキ…ヨウくんだね。ありがとう。」
そう言ってメモを取り終わると警察官は行ってしまった。
「えっ?オレは?」
葉月の言葉を遮るように一人の女性が話し掛けてきた。