Count.1.1 非日常が始まる
“それは一瞬の出来事だった”
オレは親友、葉月と出かけるため急行の電車に乗っていた。
「で今日は何よ?」
毎度のことながらも解りきったように葉月に尋ねた。
「そうだなぁ。どうする?」
「おまえいつもそうじゃねえか」
「いいじゃん。どうせヒマだろ?」
「うるせーよっ」
オレ、佐伯陽と新山葉月は高校入ってからの仲。高校ももう卒業して半年近くたとうとしている。二人とも進学は考えていたが、とりあえず一年はフリーターというものをすることにした。
電車の中、何気ない会話を交わしながら葉月がこう切り出した。
「おまえ、来週誕生日だよな?」
いきなりで驚く陽。
「えっ。覚えてたんだ。お前毎年忘れてるから」
「さすがに今年はな。へへっ。でさ。ちょっと早いけど」
そう言って持っていたバッグに手をかける葉月。
「えっ。マジで?」
葉月から何かをもらうという事が初めての陽は顔から笑みが止まらなかった。まして誕生日プレゼントだ。
しかし その時
「何か変だよね?」
「揺れてる…」
「いつもよりスピード出てない?」
乗客がざわつき始めた。
確かにいつもと違う。極端にスピードがでてる。
“やばい”
そう思った瞬間だった。非常ブレーキが作動したのか分からないがガラスを引っ掻くようなすごい音がした。しかし、直前に控えていたカーブには間に合わなかった。
脱線した。
“オレは他の乗客が宙に浮くのを見た。いや、浮いてたんじゃない。飛んでいた。オレに向かって前に立っていた奴らが飛んで来たのだ。
でも、どうして…”
その後すぐにオレは意識を失った。