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妄想ライブラリー 作者:廣瀬 るな
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4 俺の彼女がこんなに可愛いはずがない

 コスプレって言うと、普通はいつもしない格好を思い浮かべると思う。例えば、メイド姿とか、チアリーダーとか。でも最近は、制服路線だと俺は思う。ハルヒもそうだし、もしドラも、けいおんだって、そうじゃね?
 って事で、やっぱ俺にとってのコスプレMAXは、制服。しかも、自分の学校の。ある意味しょぼいかもしれないが、それにはそれで訳が有る。なにしろ朝香はいつも俺の前ではジャージばっか着ているから。
 別にそれが不満だって事じゃ無い。きっぱり言わせてもらうが、朝香はスタイルがいい。身長は、ぎゅって抱きしめたとき、彼女の頭が俺の胸にうずまるくらいの高さで、体に手を回すと、腕の中にすっぽりと気持ち良く収まる。超可愛い。それからウエストは俺の両方の掌でくるっと包めちゃうんじゃないかってくらい細くって、でも、意外と出るべき所は出ている。彼女に体重を聞くと平然と答える。
『49キロ』
それって女子基準だとかなり重いらしいけれど、朝香はそんな事気にしないタイプで、よく食べて、よく動く。だから触った時、痩せ過ぎた女みたいにカサカサした貧乏臭さがない。むしろ弾力のあるマシュマロ系で、このままずっと抱きしめていたいって、マジで思う。もう、俺の好み、ど真ん中。というか、惚れた弱み? 俺の好みは一直線に朝香そのものだ。その凄く
“いい感じ”
な所が、ジャージだと手に取る様に分かる。
 ちょっとオーバーサイズのジャージを着た時のシルエット。でも、彼女が動く度に本来のフィギュアが浮かび上がって、俺と二人っきりでいる時のあのラインを彷彿とさせてくれ。あ〜、朝香って好い女だなって思わせてくれる。でも他の誰かにとって、彼女のそんな姿は
“モッさくて、イケていない”
そのギャップが俺には嬉しい。
 なんて言うか、他の男達の目が節穴で、俺ばっかいい思いをしているって言う、優越感、みたいな 
 だからジャージ姿はジャージ姿で構わない。でも、何となくそれだけじゃつまらない。だってそうだろ? 制服姿の朝香とは、ほとんど一緒にいた試しがないから。
 あいつと俺とは、なぜかこの三年間クラスが違う。それに、人目が有る所であいつと会う限り、いつだって距離が遠い。だからって、
『制服姿の朝香といちゃいちゃしたい』
なんてリクエストするのって、なんだか妙に気恥ずかしい。いい年したオヤジが女子高生に
“制服姿をじっくり見せてくれ”
ってお願いする感じで、絶対、
“何? 変態??”
って思われる気がするんだよな。ああ、ジレンマ。
 それでもやっぱり、制服ならではのアクシデントってのにも期待してしまう。例えば二人で制服姿で手をつなぎながら歩いいて、他愛もない事で盛り上がっていると、不意に強い風が吹くわけ。すると
『!』
みたいに声にならない叫びってヤツで、朝香はあわててスカート押さえたりして。で、手をつないでいるから、自然に俺の手もスカート押さえていてさ。
『お前さ、そんな短いスカートはいてるからだよ』
な〜んて事、偉そうに言ってみて。でもって朝香はうつむきながら口ぶり尖らせて
『馬鹿。陽介がミニスカ好きだろうなって思ってるから、陽介の好みに合わせているんだぞ』
とか、拗ねるんだ。彼女の顔を覗き込むと、真っ赤になっていてさ。それを気づかれたって感じた朝香は、今度は思いっきり手を振りほどくんだ。俺は落ち着いた声で、
『分かってるよ』
大人〜な感じで余裕の対応。
『だからそんな、拗ねるなよ』
とか言いながら、彼女の腰に手を回してさ。
『制服、すげぇ似合ってるし、朝香、超可愛いし』
そして怒っているはずの彼女は
『うん』
って、頷いて、俺に擦り寄るんだ。それから俺の耳もとで囁く。
『私ね、陽介に嫌われたら、もう、学校にだって行けなくなっちゃうかもしれない。それぐらい、陽介の事が好き。大好きなんだから。わかってよね』
……もう、最高! 
「陽介」
あ〜、もう一度名前呼んでくれない?
「陽介」
だから
「もっと名前呼んで欲しいな」
そこで俺は目が覚めた。
「おい、大丈夫か?」
覗き込んでいたのは、誰でもない、男。しかも、安倍氏だった。
「陽介〜〜〜」
そして首を傾げた。
「マジで、打ち所、悪かった??」

 どうやら俺は図書館で倒れてしまったらしい。というか、逃げようとして(マダム岡崎が他の人にした説明した内容は、それとは違っていたが)本棚にぶつかり、落下してきた本が頭を直撃し、倒れてしまったらしいのだ。
 一度目が覚めると、頭の中ははっきりしていた。起き上がった俺に養護教官が話しかけ
「まぁ、大丈夫みたいね」
と保証してくれ。それを聞いた安倍氏は、
「良かったな〜」
とか言いながら上の空で、携帯をいじっている。なんだか俺は丸無視?
「……所で、委員会、どうなった?」
時計の針は四時を回っていて、すでに始まっている時間。さすがに今回の様な事が有ったんだから、あの大島優子(仮名)も俺を責める事はないだろうと思いつつも、責任を感じ聞いてみると、
「そうなんだよ! 図書選挙だよ!」
安倍氏は突然食い付いてきた。
「お前、こんなんで出れないだろう? だから公式にお前の代理で参加させてくれ!!」
願ったリだ。
「じゃあ、ここにサインして」
差し出された用紙には、
“私、篠崎陽介は、不慮の事故で委員会への出席が不可能となりました。因って、クラスメイトの安倍友和に図書委員長選出の権限全てを譲渡し、代理として出席してもらう事を依頼します”
明らかに安倍氏の字……無駄に用意、良くね?
「ああ、まぁ、いいや、はい」
すると彼は
「彼女が家まで送って行ってくれるって言うから、呼んである〜〜〜〜」
と、訳の分からない事を言い残し、突風の様に姿を消した。
「誰だよ、彼女って」
首をひねりながら、
「あ〜一人で帰っちゃ駄目」
と後ろから呼び止める声を無視し、バッグを取り上げる。
「もう大丈夫です。お世話になりました」
なんだか今日は果てしなくついていない。その上、身に覚えのない
“自称彼女”
に登場されたら、堪ったもんじゃない。いや、それ以前に、どうせ朝香は俺が思うほど、俺の事なんか気にかけてくれやしなんだ〜、なんて思いながら携帯を開く。あっ、やっぱり。着信無し。
 と、ここで油断したのがまずかった。ドアを開けた瞬間、どしんと俺にぶつかってきた誰か。
「きゃっ!」
って悲鳴と、まくれ上がったスカートと、見ちゃったら犯罪的な太腿と、眼鏡越しに見上げるあの視線。
「あっ、朝香!」
そこに倒れていたのは、彼女だった。
「この、粗忽者!」

 頭を打って、脳震盪を起こして、安静が必要だったはずの俺。足首を挫いて
「痛い……歩けない」
って、ちょい恨み入った声の朝香。でも彼女に
「おんぶ……」
なんて言われ、素早くしゃがみこんで背中差し出してしまう忠犬な俺。
「校門前にタクシー来てもらうから、家まで送っていって」
俺の首に腕を絡み付けながら携帯を押す彼女、耳もとで聞こえる、囁く様な電話の声
「もしもし」
後ろから見たら、スカートが相当ヤバい事になっているんじゃない? って事、心配なはずが、背中に当たっている柔らかな膨らみと、彼女の体から立ちこめる香りが俺の理性を奪って行き。俺達を見てざわめくギャラリーも、冷やかす様な声も全てスルー。彼女がしがみつき
「さっきはご免、粗忽者なんて言っちゃって。本心じゃ、ない。」
の一言で、俺・in・パラダイス。
 みっともないって思われても、自然に顔が笑えてくる。
 安倍氏がどこまで知っていて、朝香を呼んだかは分からない。でも今の俺は、この幸せにどっぷり浸かっていたい感じ。
 もしもだよ、これがどっかのラブコメだったら、夢オチとか来るかもね。いや、そんなの、ファッPさ。妄想抜きの、目の前にいる朝香が一番好きだ。

 おしまい
高校生の男子らし〜〜〜所が書けていたら嬉しいっす♪

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