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新しい街作っちゃうよ?

 俺達を乗せる馬車は、ごつごつした岩やサボテンが続く
舗装されていない道を、目的地を定めずに、ゆっくりした速度で
走る。ガタガタ揺れるその馬車の上は、一種異様な雰囲気が支配している。

さっきの凶暴女はもちろん一緒だ。

「あんたたち、どこへ行くつもり?」

 アンリが俺達の後方から、行き先を尋ねてくる。

 行き先なんてものは初めから持ち合わせていない・・

 無い物は言えないのだ。

 俺は何を言おうか苦慮してる間にも、気まずい雰囲気が馬車を包む。

 ピエールがその雰囲気を嫌ったかは、不明だが、俺より先に口を開いた。

「さぁね」

 おいおい、それだけですか、ピエールさん・・

 俺は呆れた顔で、飄々と馬車を走らすピエールの横顔を見つめる。

 でも、それは至極当たり前と言えば、当たり前。

 だって、俺はこいつの主人であり、ピエールは俺に絶対服従の従者。

 俺の要望を忠実に聞き入れ、その命令の通りにしか動かない。

 ・・・・たまに暴走はすることはあるが・・・


 その主人である俺が行き先なんてものは、頭の片隅にも置いてない。

 答えは「さぁね 」 無難だよな・・

「ピエール、どこか街を探してくれ。」

 取り合えず、俺は街に行きたい。

 街にさえ行けば、何か楽しい出来事が、棚から牡丹餅のように

 降って来るはずだ。

 俺はそんな短絡的な思考でピエールに気楽に言ってみる。

「街ですか?」

「地図もないし、今走ってる場所も分かりかねます。」

「どうしましょうか」

 さすがのピエールも今のこの状況では、肯定的な答えは返せないようだ。

 俺はこの永延と続くつまらない光景に、嫌気がさしてきたので

 新しい街を見つける打開策を、馬車に揺られながら練り始める。

 ・・・う〜ん、やっぱり携帯かな。携帯しかないような気がする。

「ピエール、ちょっと馬車を止めてくれないか」

「トイレしたいんだ。」

「できれば、俺の姿が馬車から隠れる、岩があるところに止めてくれ」

 俺は携帯を使用するところを、ピエールや女の子に見られないように

 俺の姿を覆い隠せる岩がある場所に止めるよう、ピエールに指示した。

 女だけじゃなく、ピエールにも見られたく理由は・・・・

 そう、俺はまだピエールを信用していない・・

 携帯で、しっかり俺に絶対服従の優しい従者と名打った。

 出てきたピエールの今までの行動を、観察した俺の感想を述べると

 確かに命令に背く行為はないし、俺に対しては従順で優しい調子で

 接してくれはするが、俺以外に大しては鬼畜とも言える犯罪行為を

 平気ではたらくピエール。

 そして、俺より行動力と実行力があり、頭の回りも格段に速いピエール。

 いくら従順に設定してるとは言え、どうしても俺の性格上警戒は解けない。

 こいつが携帯の存在を知った時、どういう行動に出るかが未知数な点も

 俺を不安にさせる。

 俺はこう見えても慎重な男だ。

 まだまだ、信用できない。
 
 ピエールとの旅路はこれからも、石橋を叩いて渡ることになるであろう。

「ここでいいですか?拓様」

 うん、確かに俺が隠れることが出来る岩があるな。

 俺は地面に軽く飛び跳ねて着地すると、岩場にこそこそ隠れる。

 岩場の影から、馬車の方をちらっと見る俺。

 ピエールは馬車の後方に顔を向け、体を捩っている。

 女としゃべってるな・?

 よし、こっち見ていないな・・

 俺はポケットから携帯を取り出すと、音を立てずに、そーっと開く。

 さて、何にしよう・・

 街に行きたいわけだが、街に行ったところで、普通の街では

 さっきと変わらない旅がこれからも続くだろう。

 そんな、つまらない世界を旅するために、ここに来たわけじゃない。

 そうだな〜・・・

 魔物が支配する街でどうだろう?

 でも、それだと優しい魔王の設定に矛盾は生じないだろうか?

 その優しい魔王の手下である魔物が何で街を支配してるの・

 いや、優しい魔王の手下だから、街を支配している理由はなにかあるんだよ。

 きっとそうだ!

 それに・・怖い魔物がいたとしても、街に入ってから、バリア張り続ければ

 俺に危害を加える事はできないはずだ。

 よし、決めた。ここから西に5kmの地点に街を作るぞ。

 どんな街にしようかな?

 そうだ、湖の真ん中に土砂を埋め、その上に建てられた水の都。

 俺は泳げないから、橋が4つあることにしよう。

 1つだと、いざって時、橋を一本封鎖されたら

 ジ・・エンドだからな・・

 よしそうしよう。

 携帯を打つぞ、ピエールは・・・

 見ていないな・・

 ここから西に5kmの地点にある湖の真ん中にある

 陸地から4つの丈夫な岩でできた橋でわたる事が出来る

 魔物が支配する街。

 OK!

 これでボタンを押すぞ。

 押したぞ!

 街追加〜!

 さぁ、馬車に乗って出発だ。
  
  

 
 
 

 

 













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