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妄想少女 ガラシャさん 作者:天浮橋
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◆逃げちゃダメだよ


◆逃げちゃダメだよ

「さぁ、どうぞ。 清水さんが淹れてくれる紅茶は、とってもおいしいんだよ」
ミキさんは、ニコニコしながらテーブルの上のティーカップに手を向けて勧めてくれる。
吸い込まれそうに透き通った紅色が、綺麗なティーカップに満たされていて、とてもよい香りがしている。
うちで飲むティーバッグの紅茶とは大違いだなぁ・・と思いながらコクリと一口いただく。

鼻腔を香りが抜けていくとき、紅茶の香りが一段と引き立つ。
「おいしい・・・」
「でしょ、でしょ。 それに、このクッキーがすっごく合うんだよ~。 さぁ、どうぞ召し上がれ♪」
満月のような、まあるいキッキーと檸檬の形をしたクッキー。
あたしは、まあるいクッキーを取って、カリッと食べた。
今度は、ふわぁ~っとバターとミルクの香りが広がっていく。
また、紅茶をコクリと飲む。
また、紅茶の香りが鼻腔いっぱいに広がる。

『うわぁ・・ これはやみつきになりそうやわ~』
幸せそうな顔のあたしを見て、
「どう? 少し落ち着いた?」
とミキさんが聞いてきた。
「あっ、は、はい」
あたしはリラックスして、ついさっきまで逃亡計画を遂行中だったのをすっかり忘れていたのを思い出した。
「でっ、ガラシャちゃんの悩みなんだけどね。 やっぱり逃げちゃダメだよ」
ミキさんは、ズバリ核心を突いてくる。
『それにしても何であたしが逃亡中って分かったんだろう? やっぱりこの大きな鞄の所為かな?』

「で、でも。 話したって、パパは絶対に分かってくれないし!」
「それはどうかな?」
ミキさんは、首を傾げて、あたしをじっとみつめる。
「前にきちんと話しをしようと思ったときは、四の字固めでギブさせられたし・・」

アッハハッ
「それは大変だったねぇ」
「ミキさん。 笑い事じゃありませんよ」
「ごめん。 ごめん」
「だから今回は家出して、あたしの覚悟の程を見せたいんです!」
興奮してちょっと鼻息が荒くなる。

「う~ん。 でもさ、警察に捜索願いとか出されちゃうかもよ~」
「そ、そんなの、あたしには関係ありません!」
「で、行く先にあてはあるの? まさか野宿とか?」
「し、しばらくは、ビジネスホテルとかに泊まります」
「でも未成年でしょ」
「えっと、未成年だとホテル泊まれませんか?」
「いや、電話で予約してチェックインの時に年齢を誤魔化して書けば泊まれないことはないかもしれないけど・・」
「けど?」
「ガラシャちゃんって、二十歳過ぎには見えないし、身分証明書とかの提示を求められたらアウトだね」
「・・・」

「それに捜索願いが出されていると、そういう所にも警察から連絡がいってたりするんじゃない?」
「そ、それじゃ、お友達の家に泊めてもらう! すっごくお金持ちの子で、部屋だってたくさんあるし・・」
「でもさ、そのお友達に迷惑がかるかもね。警察とか来ちゃったら」 
『ミキさん、ちょっと意地悪かも』
「・・・でも・・あたし・・自分の夢を叶えたいんです。 それがそんなに悪い事なんでしょうか」
「ガラシャちゃんは、大学に入るまで待てないの?」
「あたし、大学に行きたいなんて思ってません! パパやママや学校の先生達の体裁やら都合なんです」
「そっか・・・よしっ。 それじゃお姉さんが人肌脱ごうじゃないの!」
「えっ?」
驚くあたしにミキさんは、ゆっくりと頷いてから、ピースサインを出した。
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