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妄想少女 ガラシャさん 作者:天浮橋
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◆岩清水さん

◆岩清水さん

驚くことに数学の小テストの結果、あたしはクラスで2番、学年でも2番(決してブービー賞の方では無い)だった。
プリントを返される時、蕎麦野郎(更科先生)があたしの頭を撫でながら、次のように言った。
「細川くんは、優秀だねぇ。 常に本校トップの二階堂くんと2点差だったよ」
『あぁっ、 (4)が(5)にぃ・・・』
あたしは、負けず嫌いな性格である。 よって勉強もスポーツも手抜きはしない。
例え女子の中で生き難くなっても!

「細川さん、凄いねっ! 転校そうそう、あの二階堂くんと2点差なんて」
昼休みに、そう言葉をかけて来たのは、一見小学生にも見える岩清水さん? ・・だっけ?

『かわいい・・この娘欲しいわぁ』

長年の小芝居が染み付いているので、動作はあくまでもゆっくりだ。
「そ、そうかな。 たまたま前の学校でやったばかりの問題がたくさん出題されてただけだよ」
そう言いながらも、あたしの4コア搭載の明晰な頭脳は、別の妄想をマルチタスクで膨らませる。

『へへへ お嬢ちゃん。 この飴あげるからお姉さんのうちにおいでよ』
「わぁっ♪ 細川さんのお家に遊びに行ってもいいの?」
『へっ? しまっ・・ ひょっとしてI/Oが暴走した?』

見れば岩清水さんの掌には、ミル○ーが2つのっている。
これは、関西おばちゃん系の流れを継ぐ、あたしの常備品の”飴ちゃん”じゃないか。
いつかカワイイ娘がいたら、これで誘惑しようと思っていたが、それが思わず口と行動に出てしまったのか?

岩清水さんは、あたしが誘ったので放課後、のこのことあたしの家まで付いて来た。
あたしの家はと言うと、父親の転勤で会社が用意した高層マンションの18階にある。
エントランスのテンキーで暗証番号を入力して、オートロックの入口ドアを開ける。
引っ越してきた初日に、ただの自動ドアだと思って、おもいっきり激突した因縁のドアである。

高層マンションの上階に住むのに憧れる人がいるけど、それはエレベーターが故障した時の辛さを知らない人達だ。
階段を使うと、まるでこのまま上り続けたら家に着くより先に、天国に着くのではと思える。
まぁ、それは岩清水さんとは関係が無いことなので話しを元に戻そう。

「うわぁ、素敵なマンションですね~。 わたしも一度でいいからこんなマンションに住んでみたいなぁ」
『やっぱりね。 でも、急いでいる時に目の前でエレベーターに置いて行かれる苦労もあるんだよ、岩清水ちゃん』
あたしは転校初日に、それでおおいに焦ったのだ。

さて、高層マンションは、いわゆる一般的なオフィスビルと同じように内廊下になっている。
落下防止や風雨の強い時などを考えれば、必然的にそういう構造になるそうだ。
あたし達は、エレベーターを降りて、この内廊下をズンズン進んで突き当たりまで行く。

「ここが、あたしんちだよ。 いま鍵を開けるからちょっと待っててね」

インターホンを押さずにカバンからゴソゴソと時間をかけて鍵を取り出したあたしを見て岩清水さんが発言。
「細川さんって、鍵っ子なの?」
んっ? 岩清水さんが憧れるような目をしているのは気のせいか?

「う、うん。 それに両親とも夜遅くならないと帰って来ないから気兼ねしなくてもいいよ」

『おまけに防音性に優れているから、中の音は廊下には絶対に聞こえないしね・・うふっ♪』
なんとなく初めて彼女を家に連れ込む時の彼氏の気持ちが分かるような気がした。

「えっ、そうなんだ。 凄いね」
「んっ? あたし今何か言ったっけ?」
「うん。 中の音は絶対に外に聞こえないって」

『うぎゃー いかん、いかん。 またI/Oが暴走したのか?』

ひとりでパニクッているあたしに向かって、岩清水さんが首を傾げてキョトン顔をする。

キュゥーン
『ああ、胸が・・ くそっ カワユ過ぎだろっ!』

「あっ、とにかく上がってよ。 結構散らかってるけど気にしないでね」
仕事をしている両親は、ともに朝が早いので家を出るのは、いつもあたしが最後だ。
当然のようにダイニングテーブルの上は、朝食を食べたままの状態である。
ハムエッグを食べたお皿がカピカピの状態になっている。
ちょっと恥ずかしい。 せめてシンクの中に浸けておけばよかった。

リビングは一応セーフかなと思って、岩清水さんをロングソファに座らせたら、一点を見つめたまま固まっている。
その目線の先には、なんとパパのパンツが脱ぎ捨ててあった。

グギャー
あたしは奇声を発しながら、床に落ちているパンツを洗濯機の前まで、見事なドリブルで蹴り進んだ。
もしかしたら、なで○こジャパンからスカウトされるかも・・

「ご、ごめんね。 変な物見せちゃって」
「だいじょうぶです。 うちのお父さんもお風呂から出てくるとパンツだけの時がありますから」
岩清水さんは、パンツが落ちていた所を見詰めたまま、小さな声でフォローしてくれた。

すきがあったら今度こそ、パパに蹴りを入れてやろう』
パパは、空手、合気道、柔道も全て段持ちなので、あたしは不意打ちでしか勝ち目がないのだ。

そう心に誓い、あたしはダイニングキッチンに紅茶とクッキーを取りに戻った。
このとき、もし眠り薬があったら絶対に一服盛ったかも知れない。
だって、あたしはカワイイものを抱っこしながら眠るのが大好きなのだから。
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