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妄想少女 ガラシャさん 作者:天浮橋
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◆ベストを尽くすのみ


◆ベストを尽くすのみ

朝、パパとママが出かけた後、具合が悪いので今日は休むと久恵先生に連絡を入れる。
当然、仮病を使ってのズル休みだ。
もし、パパにバレたらブレーンバスターを食らうかも知れない。 いや、ひょっとしたらもっと大技かも・・
いや、いや、いや・・ これ以上危険な想像をするのは止めよう。
今日は大切な初オーディションだ。

取り敢えずの第一関門は、会場に行くのに通学時間帯と同じ電車に乗らなければならないことだ。
洋服はオーディションなので、地味な物では印象に残らないだろうから、思い切って勝負服を着て行く。
むろん仮病で学校を休んでいるので、クラスメイトに派手な私服姿で電車に乗っている所などを目撃されたら超ヤバイ。

しかも、あたしはガラシャと言う名前を意識して、髪はお姫様のように長く伸ばしている。
小さい頃から、いろいろ言われ続けたので、名前のイメージを崩さないようにしているためだ。

『あら、ガラシャって名前なのに、髪が短いのねぇ』
誰だってこんな言葉を何百回も聞かされたら、いちいち答えたりするのは嫌になるよねっ。
それで、この長い髪が目立つため、アップに結って目立たないようにした。
あとはママが歳の所為で最近しなくなった赤いフレームのサングラスをかけてみる。
姿見(鏡)に映った自分を見ながら最終チェックだ。
う~ん。 目立たないようにしているつもりなんだけど、返って目立ってるかな~?

まぁ、学校がある駅の改札はホームの真ん中辺だから、端っこの車両に乗れば、たぶんこの姿でも大丈夫だろう。

結局、最後尾の車両に飛び乗ったのだけれども、あたしの読みは大ハズレでクラスの女子が3人も乗っていた。
でも、転校して間も無なくだったし、サングラスもかけていたので何とか気づかれずに済んだようだ。

そして第二関門は、方向音痴のあたしが時間に間に合うように会場に辿り着けるかどうかである。
パパとママが出かけた後から仕度をして、指定された時間に会場に着くのは、元々ぎりぎりなのだ。
もし道に迷ったりしたら、完全に遅刻で受付してもらえないだろう。

でも事件は、いつでも予想を超えて発生する。
途中駅で違う路線の電車へ乗り継ぎをした直後、あたしは急にお腹が痛くなってしまった。
ぐぅーーー
歯を食いしばって痛みをこらえる。
押し寄せる腹痛の波に耐えていると、冷や汗が流れて来た。
もうダメかも知れない。 久恵先生に具合が悪いから休むと嘘をついたから罰があたったんだ。 一瞬、弱気になる。

『こんな事で諦めちゃダメ! 憧れの声優さんになってパパの事を見返してやるんだから!!』
負けず嫌いのあたしは己れに喝を入れる。 すると体の中心からみるみる力が溢れてきた。
そして会場の最寄駅に着いた頃には、腹痛はすっかり治まっていた。 きっと緊張してたのが原因なんだろう。

改札を出て通りを右手方向に3分ほど歩くとオーディション会場となっているビルが見えてくる。
受付開始まで後10分だ。
さあ、後はベストを尽くすのみ。 あたしの声優への道の第一歩が始まった。
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