3-2:それはそれ、これはこれ
七瀬葵を篠瀬葵へと変更しました。
おっぱいは、別腹だ。異論は認めない。
馬車を追う馬賊の前に立ちふさがると、賊の一人がこちらに向かって弓を引き絞る。それを確認するとファイアーボールを発動。六人いた賊全員が爆発と衝撃で落馬し、中心にいた三人は上半身の一部を失い死亡を確認する。
火のついた服で転げ回る残った賊にどうやって止めを刺すか考えていたところ、ライムがリュックから這いずり出してくる。
「ライムー、生き残りに止め刺せる?」
カードの節約とペットの実力測定を兼ねてライムに任せてみる。これは名案である。
ライムは賊の位置を確認する為か、全身を高く伸ばし上から眺める。落馬した賊達が体に着いた火を消そうと転げ回っていると、そこに地面から鋭い土の棘が生え、残った賊の頭を貫いた。
間違いなく即死である。そう言えば土と水の魔石をあげたことを思い出した。と言うことはライムは水と土の魔法を使えるのだろうか?
「ん? ああ、食べていいよ」
賊を瞬殺したライムがこちらを見ていたように見えたので許可を出す。狩った獲物を食べるときと同じように、体を伸ばして賊を包み込むと消化を開始する。
食事風景を見る気はないので、馬車が去っていった方角を見る。
「戻ってこなかったら、助けた意味ないよな」
盲点だったと言わんばかりに呟く。すでに馬車は豆粒のように小さくなっており、今から自転車で追いつけるか考えたが、流石に無理がある。かと言って「転移」のカードは残り少なく、使う気にもなれない。
幾ら素晴らしいものを見れたからと言って、タダ働きは勘弁してもらいたい。折角だから主人公補正で再会させてもらいたいものだ。そう思って追いかけるのを諦め、ライムの食事が終わるのを待つ。最近マナポーションで誤魔化してばかりいたからかよく食べる…馬まで食べてるよ。
(馬まで…と言うことは?)
そこで気づいた。馬を食べたんだから馬に変身させれば移動が楽になる。馬の乗り方はわからないが、意思疎通が出来るので何の問題もない。人間に変身させることばかり考えていたせいで、そこの辺りが綺麗に抜けていた。
「食べ終わったら馬に変身して乗せてくれる?」
最後の一頭を食べようとしているライムに声をかけると、ライムはすぐにこちらに向かって来て馬に変身する。食べ終わってからでも良かったのだが…これはもう十分食べたと判断して良いのかな?
馬具を拾い、馬に変身したライムに取り付けようとしたところで砂煙が見えた。さっきの馬車がこちらに向かって走ってきているのだろうか?
一先ずライムに変身を解いてもらいリュックの中に戻ってもらう。それを背負うと砂煙を見つめ、馬車がこちらに向かって走ってきていることを確認する。
凄いな、主人公補正。
それで予想通り、その後ろにも賊がいるわけである。その数は四…全員が馬に乗っている。逃げた先にも賊がいて方向転換してきたということだ。今度は止まってもらうつもりなので、すれ違うと同時に賊をなぎ払ってやろう。馬車を攻撃すれば確実だろうが…主人公がそんなことをする訳がないだろう?
予定通りに馬車がこちらの脇を通り過ぎると同時にファイアーボールを発動。さっきの女性がこちらに何か言っているが爆発音でかき消される。
同時に馬車を追っていた四人の賊が爆発と衝撃で馬から落ちる。賊同士の距離があったので、ファイアーボールでは二人しか仕留められず、残りは落馬の際にリュックから体の一部を出したライムが土の棘を出して仕留めてくれた。有能なペットである。
俺が賊をあっさりと全滅させたところ、馬車はゆっくりと方向転換してこちらに向かってくる。小声で「見つからないように」とライムに言って、こちらも歩いて馬車に近づく。
「こんなところに魔術師がいるとは思わなかった。先ほどは失礼した。こちらも逃げるだけで精一杯でな、警告くらいしか出来なかった」
馬車の手綱を握る大柄の男がこちらに詫びる。浅黒い肌に茶色の髪、鍛えられた肉体と眼光が屈強な傭兵を思わせる。
「『ジェサイ・ノキシ』だ…助かった。礼を言う」
そう言って深々と頭を下げる。思わず「フォースとか使えそうですね」と言ってしまったが、当然意味がわからないので流される。
そんなことよりさっきの女性はと馬車の中を覗き込もうとするが…その必要はなかった。
「ああ、よかった! 生きてたんだね! それと助けてくれてありがとう、助かったよ」
勢いよく馬車から飛び出してきた目から下の顔を隠した赤い髪の女性が、まくし立てるように早口で礼を言う。間違いなく、この溢れんばかりの胸は先ほど見た女性である。やや癖のある肩口まで伸びた赤い髪に小麦色の肌…目から下を隠していることもあり、アラビアの衣装を彷彿とさせる。
「『スラナダ』の連中はまだいる。今はここから早く離れたほうがいい」
そう言うと女性はこちらを見る。
今なら馬車で急げば今日中に最寄りの町へ辿り着くことが出来るそうだ。自転車を漕ぐのも疲れていたので丁度良い。乗せてもらうことにしよう。
「歓迎するよ。魔術師様」
ウインクをして「頼りにしてる」と言うと馬車に戻る。俺はさっさと自転車を回収して馬車に乗ろうとしたところ、女性が慌てて自己紹介をする。
「忘れてた! あたしは『パナサ・エラウィン』よ。名前教えてくれる?」
目から下が隠れているが、きっと笑顔だとわかる明るい声だ。
「『リョー・ホワイトロック』だ」
「お礼を期待してる」と言って自転車を取りに行くと、後ろから「任せといて」と自信に満ちた返答が来た。振り返るとパナサがその大きな胸を持ち上げてみせる。
それはつまりそういう事と期待して良いんだな?
女で痛い目にあってはいるが、今回は状況が異なる。ナニをするにしても…おっと、何をするにしても今は万能ペットのライムがいる。襲われたところで即、返り討ちである。
顔は半分以上隠れているが、俺の直感が告げている。「パナサは絶対美人である」と…ならばそこに理由は要らない。女に飢えているんだから仕方ないね。
夜の事情に関してはライムがいるから問題ないのだが、ライムは「ペット」であって「女」ではないのだ。超高性能で日本の技術者もびっくりな大人の機能が付いているだけだ。どこのオリ○ント工業だ。まあ、こっちは人形ではなく完全な人型だが…扱いとしては、そんな感じである。
やはり女でなくては満たせないものはあるのだ。姿形は人間でも、その仕草や表情にはどうしても違和感を感じてしまう。となればライムにもまだまだ発展の余地がある。もっともっと頑張ってもらいたい。
自転車の回収を終え、後ろから馬車に乗り込むと動き出した。御者はジェサイがやってくれるらしく、俺は周囲の警戒を頼まれた。よし、ライムに任せよう。視界がなくても探知が可能なスライムには最適だろう。
さてさて、彼らからは謝礼と迷惑料をどれくらい頂けるか楽しみである。馬車に揺られながらこの後について考え出した。
なんともまあ感情豊かな女性である。
それがパナサの印象である。とにかくよく喋り、よく笑う。こちらに来て初めて会うタイプである。話がしやすいせいか、つい色々と聞いてしまう。自然と話が続く女性とか随分久しぶりな気がする。多分最後は上司に連れて行ってもらったキャバクラの話し上手なおねえちゃんだろう。悲しいからこれ以上は止めておこう。
しかしこれは丁度良いと思い、ライムに自然な感情表現を作るための学習をしてもらうことにする。惜しむらくは目から下が見えないことだ。だが何かの役には立つはずだ。
なので「顔を隠しているのか?」と尋ねたところ少し驚かれた。ジェサイの話によると、パナサはシレンディでは結構な有名人らしい。何でもその美貌から教団の司祭に言い寄られたが、その誘いを断ったことで顔を焼かれ、見世物にされた話はシレンディの住む者なら誰でも知ってる程だと言う。
今から六年前、当時パナサは十五歳で芸だけで食べていけるほどではなく、体を売ることもあった。それでも教団とは関わりたくなかった彼女は司祭の誘いを拒絶した。結果、顔を焼かれ、醜く焼け爛れた鼻先と口元を衆目の下で晒し者にされた。その際に群衆の中で口を裂かれ、今でも裂けた口は元に戻らず目から下を隠して生きている。
だが顔を焼かれてもなお、男の目を引きつける体と踊りは衰えることはなく。教団に当てつけるように人々は彼女の踊りに声援を送った。このことで教団から「魔性の女」と呼ばれ、人を差し向けられるも踊りを見に来ている客の一人がこう言ったことで収める。
「俺たちは彼女の踊りを見に来てるわけじゃない。そのでかい胸が溢れるか溢れないかで賭けをしているんだ。顔を焼かれた醜い女の踊りなんて、一体誰が喜ぶんだ?」
この即興に周りが口を合わせたことで「魔性の女」はいなかったことにされた。以来、彼女が踊る度にその胸が溢れるか溢れないかで賭けが行われるようになった。
この話を聞いて思わず笑ってしまう。
「で…溢れるの?」
しかも第一声がこれである。我ながら女の扱いが上手くないなと自嘲する。
その質問にはパナサから「町で踊るから、リョーも賭けてね」と返答された。これで見ないわけにはいかなくなった。
思い出したかのように教団について聞いてみる。
やはりと言うか、話すだけも嫌なのか二人は不機嫌そうな声で教えてくれた。
「聖光教会」…教団、もしくは聖団と呼ばれる宗教組織が先ほど話に出てきた「教団」である。シレンディ神国の国教であり、この国を支配する宗教団体。かつて王はいたが、今は教王がそれを担っている。
「全ては神の教えのままに」との言葉を呪詛のように口にし、あらゆる悪事の免罪符となる魔法の言葉として用いる教団関係者を誰もが蛇蝎のごとく嫌っている。
それなら抗えばいいと思ったのだが、教団には「聖騎士」と呼ばれる精鋭がおり、彼らは少数でありながら国土を守るほどの力があるらしい。小さな町で反乱など起こしても一人いれば瞬く間に鎮圧されてしまうだろう、とのことだった。
しかも教団で地位を持つものならば「神の奇跡」と呼ばれる様々な術を行使出来るらしく、その力で教団の支配は確固たるものになっているそうだ。
宗教が支配する国とか絶対面倒事が向こうからやってくる。調べることを調べたらさっさとこの国から出ていこう。という訳で主人公補正はさっさとオフにしましょう。町も見えてきたし、何事もなく日が暮れる前に到着出来たのは良いことだ。
ちなみに「スラナダ」と言うのは、最近勢力を拡大させている馬賊の名称だそうだ。すでに村がいくつも飲み込まれているらしい。この件で、教団のお偉方が動かないことに皆不満を持っている反面、もしかしたら教団を打倒してくれるかもしれないと思っているんだとか。
そう、どうでもいいね。
町に着く頃には日は沈みかかっており、夕日が町を赤く染めていた。町の作りはローレンタリアやロレンシアと違い、中東のイメージが近い。石畳のように舗装された道はなく、街道のように「かつて整備した後がある」程度の砂と土の道である。建ち並ぶ家はレンガで作られたものが多く、町の入口からでも見えるモスクのような大きな建物が町の中心のようだ。
俺がそれを指差すとジェサイが「やめとけ」と注意する。関係者に見られると、どんな因縁をつけられるかわかったものではないそうだ。教団関係の建物だと言われなくてもわかった。
門をくぐると僅かな喧騒が聞こえてくる。町の入口から酒場が近いのがわかった。二人はここが目的地のようで、馬車をジェサイに任せるとパナサが降り、俺も来るように言う。荷物を持って馬車から降りると、パナサが俺の手を取って酒場へと向かう。
酒場に入るなりパナサが大きな声で挨拶すると、周りから我先にと挨拶が飛んでくる。
「今晩はここで踊るから、見ていって頂戴」
パナサはそう言って店主の元に早足で向かう。
「パナサ、そっちの男は誰だ?」
「シエントがスラナダに襲われた。それで逃げ出したときに追われていた賊をやっつけてくれた魔術師だよ」
恩人だから失礼なことしないでよ、と付け加えて周りから聞こえてきた質問に答える。すると周りから一斉に感謝の言葉が聞こえてくる。
「よく助けてくれた。感謝するぜ」
「一杯奢るぜ、好きなものを頼んでくれ」
「ありがとうよ、パナサの恩人なら俺の恩人でもある。何でも言ってくれ」
「おう、これは奢りだ。まずは一杯やれ」
「…飲め」
どうも俺が思っている以上に彼女は人気があるようだ。それと同時に困惑する。何というか、こちらの世界に来て初めてまともな住民に出会えた気がするのだ。あまり接してこなかったのもあるが、この「どこにでもいるようなおっさんらとの触れ合い」と言う普段なら絶対ご遠慮願うシチュエーションが、妙に新鮮に感じてしまう。
その後、特等席ということで最前列に座らされた俺は、彼女のための小さなステージを見る。不味くはない酒をちびちびと飲みながら、差し出されたチーズを食べる。癖はあるが酒にはあう。悪くない組み合わせである。果実酒のようだが、これは一体何の酒だろうか?
気になったので店主に聞こうとしたとき、踊るための衣装に着替えたパナサが奥から出てきた。
隠した顔はそのままで、白いチューブトップのようなものにその豊かな二つの膨らみを収め、白の腰布に裸足という格好で現れた。彼女が現れると酒場が一斉に沸いた。
そして「賭け」は始まった。
あっという間に彼女のステージが終わった。
一言で言おう。見とれていた。
初めこそ、弾む豊かな二つの膨らみに目が釘付けであったが、次第に彼女の太ももに目が行き、腰の動きに、艶やかな足に、挑発的な目に、気づけば踊る彼女を見ていた。
時間にして三十分にも満たなかった彼女の舞台は、その場にいた全員を魅了するには十分だった。彼女の人気にも頷けた。これは何度でも見たくなる。踊りを終えた後、激しい動きでかいた汗で白い衣装が透け、胸の突起がはっきりと見える。それを隠す素振りも見せず観客の声援に応えるよう手を振る。
こうして「賭け」は熱が冷めることなく終わった。
なお「溢れる」に賭けた俺は見事に外し、銀貨一枚を手放した。後でわかったことだが、今まで一度も「溢れた」ことはないそうだ。「溢れる」に賭けられた分は、その日の観客の飲み代のカンパに相当するらしい。つまり、俺はここにいるオッサンらの飲み代に銀貨一枚払ったということだ。それで「溢れない」に賭けられた分はパナサのギャラになるんだそうだ。
パナサは俺が「溢れる」に賭けるとわかってて言わなかったんだろうな。銀貨一枚を飲み代に提供されれば、オッサンどもがさらに盛り上がるのもわかる。これは魔性の女と言われても仕方ないだろう。
外も暗くなり、いい時間になったので宿を取らなければと、店を出ようとした俺に店主は「二階の部屋が空いている。泊まっていけ」とだけ言われた。酒を奢ってくれる時も「飲め」の一言だけといいダンディーな店主である。
パナサもここで泊まるらしく、部屋まで案内してもらう。部屋に入ると俺は荷物を置き、リュックにいるライムにベッドの下に移ってもらう。これで寝ている間も安心だ。
少し硬いベッドに腰を下ろす。それと同時にドアがノックされる。
「開いてるからどうぞ」
そう言うとドアが開きパナサが部屋に入ってくる。
「どうだい? お礼にはなったかい?」
踊り子の衣装から着替えたパナサが俺の前に立つ。水浴びでもしたのだろうか、汗の臭いもない。
「んー…賊を擦り付けた迷惑料にはなったが、お礼には足りてないな」
その言葉を聞いて「あっちゃー、そう言えばそうだった」と片手で顔を覆う。
「なーに、お礼だったら一晩パナサを好きにさせてくれればいいさ」
俺の提案にパナサは驚いたように目を見開く。
「…あんた、それ本気で言ってるの?」
「ああ、本気だ。踊りを見て、不覚にも勃起した」
何が面白いのかお腹を抱えて大仰に笑う。多分勃起が原因だな。
「はっはは…わかったわかった。本気なのはわかった。ちょっと待ってて、布が取れないようにしっかり縛るものがあるから、それを取ってくる」
そう言って背を向けるパナサの手を取る。
「必要ない、大丈夫だ」
「あんたねぇ」とパナサが呆れる。その目はこれまでも俺と同じように、彼女を抱こうとした男達の反応を知っていると語る。
だが、俺はこれまでの男とは違う。
使うものは「再生」のカード。当然実験も兼ねて、だ。何より彼女以上にふさわしい者はいない。
だから後は確認するだけだ。
「なあ、顔を見せてもらっていいか?」
その言葉にパナサが残念そうな顔をする。
「こんなものを見たいとか…少し悪趣味が過ぎるわよ」
そう言いながらもパナサは顔を隠すマスクのように巻いた布を外す。「はい、どうぞ」と投げやりな声が聞こえた。
想像以上に酷いものだった。聞いた通りなら口も裂けているとのことだ。
「なあ、治したいと思ったことはあるか?」
「はあ?」
「だからさ、その火傷と傷を治したいと思ったことはあるか?」
パナサは顔を伏せる。
「そう言ってあんたも騙すの?」
あ、これ地雷かもしれない。そう思った直後、彼女が喋るよりも早く喋る。
「今でも治したいか?」
「治せるものなら…治してみなさいよ!」
胸ぐらを掴み裂けた口で凄む彼女を見て、色々あったことくらいはわかる。
「わかった。治して欲しいんだな」
必要はないがパナサの顔に両手をかざす。それっぽく見せておいた方が理解も早いだろう。俺は「再生」のカードを使う。
(これで治らなかったら格好悪いってレベルじゃないな)
淡い青白い光がパナサを包み込む。驚愕の表情で自分を包む光を見ている。
光が弾ける度に顔の皮膚が再生していく。思った通りの効果に心の中でガッツポーズを取る。安心させるために「治るよ」と言うと、驚愕の表情のまま自分の顔を触る。
光が消えるとそこには一人の美女がいた。
いや、美女? がいた。いや、美女には違いない。ただその大きめの唇が少しバランスが悪いと感じる。そこで俺はあることに気づく。美女自体には見慣れてしまっているのだ。ライムが絶世の美女に変身出来るので、すっかり目が肥えてしまったのだ。
思わぬ誤算だったが、自分の顔を触り、涙を流すパナサにそんなことは言えないし、俺をベッドに押し倒して泣きながらお礼を言う女に「一晩好きにする」という予約も入れている。
いや、美女であることには違いないのだ。何の問題もない。
パナサは泣きながらも俺を見てにっこりと笑ってみせる。そして意を決したかのようにはっきりとこう言った。
「たっぷりお礼をしてあげるから、覚悟してね」
夜は長い。俺は俺の上に乗った彼女の踊りを存分に堪能することになった。
折角なので鞄からパンツを取り出し履いてもらった。小麦色の肌に白い下着が映える。おかげで第三ラウンド以降も色々取り替えることで乗り切れた。
パナサは「変わった下着ね」と感想を漏らしていたが、気に入ってくれたようで十枚ほどあげることにする。残念ながら彼女の胸に合うサイズのブラはなかった。Fでキツイと言われたよ。
朝になった。
隣にはパナサの姿はなかった。一階に降りると店主から彼女の言付けを聞かされた。
「しばらくこの町にいるからいつでも見に来て欲しい。部屋で踊って欲しいなら夜に呼んでね」
とのことだ。
結局、俺が心配していたようなことは何も起こらず、ただ盛り上がるだけだった。こちらでは会ったことのないようなサッパリとした性格に毒気は見事に抜かれてしまった。
こんな世界でも、息抜きってのは出来るものだなと彼女に感謝する。昨晩少し頑張り過ぎたおかげで疲れが取れていない。店主にもう一眠りすることを告げると部屋に戻る。
そこでライムがベッドの下にいたことを思い出し、適度に触れ合うことにする。
呼ばれたライムは嬉しそうに全裸の美女に変身すると俺を押し倒した。疲れているので勘弁して欲しかったのだが、ライムにしては珍しくおねだりを止めない。
まあ、一回だけならと疲れているのでライムに上に乗ってもらった。
凄かった。腰使いが完璧と言って良いほどパナサのものでした。
いや、確かに学習しろとは言いましたがね。感情表現を学習して欲しかったんですよ。
本当もう、うちの子は最高だな!
パナサを執拗にパサナと間違える。