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2-7:幸運の力

 朝が来る。「探知」のカードを発動させ、何かあればすぐに影の中に戻れるようにゆっくりと影から出る。

 全身が影から出ても反応は何もなかった。探知で洞窟の奥を調べると、何かがはこちらに向かってゆっくりと体を引きずってやってくる。

 間違いなく昨日のスライムだ。

 知性の実を与えたスライムが次にどう行動するのか興味があったので、しばしその場で到着を待つ。三分程待ったところでスライムがその姿を現した。相変わらず動きが遅い。

 スライムは真っ直ぐこちらに向かってくる。いつでも危機感知の警報に反応出来るように身構えておく。だがそれは杞憂に終わり、スライムは俺の手が届くより少し離れたところで止まった。どうやら襲う気はないようだ。これは知性の実が効いたのだろうか?

 だとすると○○の実シリーズはやっぱり能力アップのアイテムで「魔力の源」は別系統のアイテムと見るべきか?

 早く高い鑑定能力を持ったカードかアイテムが欲しい。

 早速、実験を兼ねて剛力の実を使用する。これで貧弱な一般人の肉体とはおさらばだ。

 そう思っていたのだが…何の変化もない。試しにその辺の岩を持ち上げようとしてみたが無理だった。変化がわからないほど微量な増量なのだろうか? だとしたら微妙な効果と言わざるを得ない。

 次は知性の実を使おうと鞄から取り出す。するとスライムに反応があった。俺が手に持つ知性の実に触手のように体を一部を伸ばす。だが取る気はないようで、伸ばした触手をゆらゆらと動かしている。

「欲しいのか?」

 まるでおねだりするように触手を揺らすスライムに尋ねる。するとこちらの言葉が理解しているのか、体をプルプルと揺らし反応した。

 まあ、これも実験になるだろうと手にした知性の実をスライムの触手の上に置いてやる。触手が巻き取るように実を包み込むと、昨日と同じように全身を震わせ始める。そしてまた力が抜けるように潰れた球体状になると動かなくなった。


 本当に何なんだろうか?


 何かが起こっているのは間違いないのだが、どうなっているのかさっぱりわからない。昨日と同じなら暫く動かないだろうし、顔でも洗ってこよう。

 川で顔を洗い、水を汲んで拠点に戻ってきてもスライムは饅頭のような形のまま微動だにしていなかった。試しに知性の実を取り出して近づけてみたが反応がない。どうも眠っているとかそんな感じのようだ。

 それならば朝食にしようと火を起こし、汲んできた水を煮沸する。今朝もフランスパンに蜂蜜だ。ガチャは思いついたことがあるので夜まで我慢だ。

 今日は鞄の中を整理をしてから拠点作成の続きをしよう。




 まさかここまでとは予想外だった。

 作った三つのチェストが全てパンツで埋まってしまったのだ。しかもまだ鞄の中には僅かだがパンツが残っている。三百を超えた辺りで数えるのを止めたのだが、四百以上ないだろうな?

 結局もう一つチェストを作り、そこに一部の食料を保管することにする。野菜や果物をチェストに詰め込む。その際にリンゴによく似た果物を食べたが物凄く酸っぱかった。日本のように甘い果物はないのだろうか?

 そのまま昼まで拠点の作成に取り組んでいた。今回作るのは風呂である。川の近くまで行って穴を掘り、露天風呂のように岩を敷き詰めてそこにお湯を張るのだ。問題はどうやってお湯を調達するかなのだが、こちらは少しアテがある。今は形を作ることが先決だ。

 当然碌な装備がないので昼までで完成には至らず、昼食を摂ることになる。そして今回はちゃんとした自炊を試みる。

 まず、鍋に水をいれ火にかける。コンソメスープの素を入れて適当に切った野菜をぶち込み煮る。塩で味を調整してそれっぽいものが完成、である。後は硬い保存食のパンをスープに浸して食べる。意外と食えるものに仕上がった。俺の中でコンソメスープの素の株が上昇する。

 昼食を食べ終わり、優雅に自作のソファーに寝転がりくつろいでいるとスライムが動き出した。またしてもこちらに向かってくると、今度はこちらの手が届く距離で止まる。

 試しにスライムに触れてみる。ひんやりしたもちもちの手触りが何とも言えない。例えるなら大きくて弾力のある葛みたいだ。いっそのことこいつをペットにするのも悪くないかもしれない。そんなことを考えてしまうほど、この手触りと弾力は魅力的だ。

 ペタペタとスライムを触っていると、向こうもこちらに向かって触手を伸ばしてくる。しかも伸ばした触手の先が小さいながら手のように五つに分かれている。そして同じようにペタペタと俺の顔を触ってくるのだ。

(意外と可愛いかもしれない)

 そんなことを思いながら、スライムのペット化計画を考える。このスライムは何か便利機能とかあるのだろうか?

 愛玩用だけではなく、実用的な部分も欲しい。そう言えば初めて遭遇した時は影の中にまで入ってきていた。もしかするとと思い、スライムを呼んで体にまとわりつかせる。前回より大きくなってるため少し重いが、これくらいなら問題はない。そのまま影の中に入ってみる。するとスライムは俺と一緒に影の中にいた。

 これは良い発見だ。つまりこのスライムは連れ回すことが可能ということだ。

 影の中から出てスライムの使い道について考える。現状はこの感触を楽しむことと、殺した生き物の処理と言ったところか。

 意思伝達は可能のようなので、上手く使えば何かに使えるのは間違いない。残り二つになった知性の実だが、これを全て食わせればもっと色々出来るようになったりしないだろうか?

 そう思って取り出して見たのだが、前のような反応は見せない。差し出してみると体の中に取り込んだが吸収はしないらしく、知性の実が透き通った体の中にそのままの形で残されていた。


 ますますもってわからん。


 試しに他の実はどのような反応をするかも見てみよう。

 才能の実は良好な反応だった。三つあるので一つあげて変化を見るのも良いかもしれない。

 未鑑定品の五つのうち二つに反応した。早いうちに鑑定しておきたい。

 そして念の為に魔力の源を見せたところ、凄い反応した。二度目の知性の実を与えた時よりも遥かに激しく反応してる。魔力の源は現在二つ…だがこれ白金である。あげるのには躊躇する。

 悩んでいるとスライムが全身を広げてべっちゃりと地面に這いつくばっていた。お願いしているのだろうか?

 「これをやるからには役に立つんだぞ?」

 仕方ないと言った風に魔力の源を近づける。すると勢いよく俺の腕ごと取り込んできた。

 ちょっとびっくりしたがすぐに腕はスライムの中から吐き出された。スライムはと言うと、またブルッと大きく震えた後、プルプルと小さく震えて丸くなると動かなくなった。

「スライムの生態はわからんなぁ…」

 俺はそうぼやくと風呂の作成の続きに向かった。




 夕方になった。

 結局風呂は一日では完成せず、明日に持ち越されることになった。石を運ぶのが意外にきついのだ。軽く水を浴びた後、ヘトヘトになって拠点に戻るとすぐにソファーに倒れこむ。そのまま眠ってしまいそうだが、今晩は重要な実験がある。眠る訳にはいかない。

 俺は夕食の準備に取り掛かるべく立ち上がる。丁度、スライムも動き出したようでこちらに向かってきた。その姿を見て俺はため息を漏らす。


 またでかくなってるよ。


 魔力の源はスライムの体積を増やす効果があるようだ。つまり何らかの効果はちゃんとある。しかし俺が使ったときは何も起こらなかった。もし本当にステータスが上がるとして、割合で上昇すると仮定する。となれば魔力ゼロの俺の魔力の最大値は上がらない。まさかこういうことなのか?

 それとも他に何か使い方があるのか?

 念のため詳しいことがわかるまでは取っておこう。

 また大きくなったスライムを持ち上げる。おおよそ6kgと言ったところか。前は4kgくらいだったので2kg増加しているということは1.5倍の増量である。大丈夫なのか?

 それにこれは強化されていると言って良いのだろうか?

 わからないことを何時までも考えていても仕方がないので夕食の準備をする。昼と同じようにコンソメスープの素を使い、野菜を煮て保存食を浸して食べる。

 食べ終わって後片付けを行い、紅茶を淹れてまったりする。やはりガチャ産のものは良い。スライムはと言うと、才能の実をあげたらまた震えて丸くなったまま動かくなった。その体の中にある知恵の実は何時吸収するのか。俺は熱い紅茶を啜るように飲みながら、時間が経つのを待ち続けた。




 さて、時刻は23時38分。影の中で新たに出たデジタルな安っぽい時計を傍らに置いて、準備万全と言わんばかりに時が来るのを待っている。

 本日のガチャはまだ回していない。明日の分とまとめて回すのだ。

 そう…この「幸運」のカードを使ってな。

 中身を確認せずに連続百回を回し、カードの効果が切れる前に日付が変わると同時にもう百回回すという魂胆である。

 幸運のカードにどれほどの効果があるかはわからない。持続時間もわからないので、その実験も兼ねている。

 そして、時は来る。

「『幸運』のカード発動!」

 23時50分―実験は開始された。




 時刻は0時32分。

 俺は笑っていた。一体いつから笑っていたのか忘れるほど笑い続けていた。

 幸運のカードの効果は確かにあった。だが、効果時間が短いのか、本日の分のガチャにはその効果は見られない。だが、昨日の分の成果はそんなものでは色褪せない。その成果を比較してみよう。

 本日の成果。


 銀:カード×18

 金:カード×4 剛力の実×1


 昨日の成果。


 銀:カード×15

 金:カード×7 未鑑定の実×1 指輪×1

 白金:カード×2 武器×1 スキル玉×1

 黒:スキル玉×1


 豊作などという言葉では生ぬるい。黒一つに白四つが一日の成果なのだ。しかもスキル玉が二つもある。


 もうこれ神が「チート無双をやれ」と言ってるようなもんだな。


 さて、スキル玉は楽しみに取っておくとしてまずは新カードから見ていこう。こちらも期待出来るものが来ている。

 銀の新カードは二つ。「遠話」と「読心」である。どちらも名前の通りだろう。使い道がありそうなカードは幾らでも来てくれ。

 次に金の新カードは「反射」の一枚。これはいつでも使えるようにしておきたい。と言うかこのカードはもっと欲しい。

 そして白金からは新カードが二枚。つまり両方とも新種である。

 まず一枚目が…「疫病」である。多分…いや、間違いなく使うと色々不味いカードである。 

 それでもう一枚が「変☆身」である。

 何故間に☆があるのか疑問に思うところはあるが、カードの絵を見る限り魔法少女とかそんなものに変身するカードのようだ。誰が使うかよ。

 折角白金のカードが二枚も出たのだが、残念ながら使う機会はなさそうなものだけだった。

 だがその程度では今の俺にはダメージなぞ与えられない。何せ黒と白金のスキル玉がまだ残っているのだからな。さらに、白金から出た武器はどう見ても日本刀である。もう一度言おう。どう見ても、日本刀である。

 昨日の分と合わせて鑑定も三枚出ており、すぐにでも鑑定したいところだが…今は近接武器が必要なときではないので後回しだ。

 では、お待ちかねのスキル玉だ。前回は「水魔法」を得るも、魔力がないため魔法が使えず無用の長物となった。なので今回は使う前にスキル玉を鑑定してみる。

 その結果、白金のスキル玉は「変身のスキルオーブ」と出た。どうやらスキル玉の正式名称はスキルオーブと言うようだ。

 しかし変身か…丁度「変☆身」のようなカードが出ているとどうも嫌な予感がある。文字通り姿を変えることの出来る能力として、この能力は俺に必要だろうか?

 あれば使えるとは思うが欲しいとは思わない。何にどうやって変身するのかわからないのは少し怖い。最悪、能力を得ても使いたくても使えない能力だった場合、水魔法同様に無駄となる。今は取っておこう。

 それでは、本命の黒のスキルオーブである。

 その鑑定結果は「交換のスキルオーブ」と出た。


「交換」か…等価交換とか言って腕とか足とか持ってかれたりしないよな?


 だが黒のアイテムである。使わずにはいられない。デメリットがあったとしても、賭ける価値は十分にあるはずだ。俺はスキルオーブに触れ、念じる。そして三度目となる知識の流入を味わう。

 オーブが消え、俺は得た知識を説明書を何度も読み返すように確認していた。


 これは間違いじゃないのか?


 得られた「交換」に関する知識が信じられず、しつこく何度も確認する。すぐに埒があかないと思い、実際に使用としてみる。

 頭の中に出てくるY/Nの表記…俺は戸惑いながらもYESと念じた。


 そして、俺の前にレトルトカレーが現れた。


「交換」のスキルの能力はシンプルにして絶大。その能力は「一度でもガチャから出たアイテムをガチャポイントで交換する」と言うものだった。まさかガチャに干渉する能力だとは思わなかった。

 食料は交換出来た。カードも出来るのか、と「鑑定」のカードの交換を試みる。二十万ポイントで交換出来た。

 では「ICBM」は?

 交換出来…なかった。ポイントが足りなかったようで「ポイントが足りません」と出た。以前と比べて何故か増えたポイントでも交換出来ない。一体幾らかかるんだ?

 だが理解した。この「交換」があれば、ポイントの許す限りカードを増やすことが出来る。つまり、金が俺の力に直結するのだ。

 無双待ったなしの状況に俺は笑いながら鑑定のカードを交換する。四枚目の鑑定を交換し終えて、五枚目に行こうとしたところで交換が出来なくなる。

 疑問に思った俺は「交換」の能力の説明を一から全部見直した。どうやら交換は一日五回までのようだ。


 そんなことだろうと思ったよ。


カード

銅カード×55

着火×9 流水×7 送風×10 石突×9 消毒×8 応急処置×5 念動×7


銀カード×442

エアハンマー×17 治癒×13 解毒×9 鑑定×6 探知×11 遠見×6 検索×10 マーキング×4 複製×2 斬撃×2 遠話×1 読心×1

火属性:アロー×14 ボルト×12 ショット×15 ボール×14 シールド×11 

水属性:アロー×14 ボルト×11 ショット×8 ボール×12 シールド×14 

風属性:アロー×10 ボルト×10 ショット×10 ボール×9 シールド×7

土属性:アロー×16 ボルト×13 ショット×17 ボール×15 シールド×10

氷属性:アロー×12 ボルト×11 ショット×15 ボール×11 シールド×9

雷属性:アロー×15 ボルト×11 ショット×10 ボール×17 シールド×7


金カード×99

ヒール×4 透明化×2 開錠×3 千里眼×3 ボッシュート×2 麻痺×4 睡眠×2 抵抗×2 毒×1 神の見えざる手×1 緑の獣×1 赤い獣×1 反射×1

火属性:ストーム×6 ランス×5 ソード×5

水属性:ストーム×3 ランス×4 ソード×4

風属性:ストーム×4 ランス×3 ソード×3

土属性:ストーム×1 ランス×6 ソード×3

氷属性:ストーム×5 ランス×5 ソード×2

雷属性:ストーム×4 ランス×4 ソード×5


白金カード×9

消去×1 再生×1 蘇生×1 アイスバースト×2 サンダーバースト×1 リヴァイアたん×1 疫病×1 変☆身×1


装備品

武器:カース(クロスボウ) 祝福されたミスリルナイフ 未鑑定の日本刀

防具:なし

装飾品:危機感知のお守り

(以下未鑑定)指輪×3 腕輪×1 イヤリング×2 ネックレス×1

 

重要品

魔法の鞄×2 


魔力の源×1 剛力の実×1 才能の実×2 知恵の実×1

未鑑定の果物らしきもの5種類全部で9つ


変身のスキルオーブ



多分これであってるはず

現在のポイントは次回の予定

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[一言] 貴族にパンツ売ろうww はじめは変態扱いされるかもしれないけど、現代女性用のパンツをはやらせるチャンス! 男性貴族には「これを恋人や妻に履かせてハッスルすればお互いに興奮出来ますよ」っと…
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