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まぶたの裏にびっしりリセットボタン

作者: 依澄

まぶたの裏にびっしりリセットボタン



不機嫌な猫 神様だって後ずさり



祈るのは指先がつめたいから



自分の意見も感情も他人に用意してもらって人間のつもり



まばたきは一時しのぎ 虹が追いかけてくる



瀕死のマットレス触るとあばら



日差しを背負ってぎっくり腰



鳩尾にズドン きみのかかとは除夜の鐘



もういっそ頭蓋骨をクッキーみたいに突き破り花を咲かせろ頭痛の種



枕は文句を言わない



メタセコイア見上げる頸椎は曲がり松



一寸先は華厳の滝よ 神様仏様百足様



バニラアイスをもちゃもちゃ食べる祖母の目は滲みけり



涙川から枕の海へ錆色の染み



新人サラリマン蛇尾を掴んで竜頭を語る



干し葡萄 ねだやし教徒よ呪われてあれ



病葉が恥じ入るように散り急ぐ その黄を惜しむひともあろうに



霜柱に口づけて余命宣告しずしずと



わたしはわたしの怒りのために餃子エビチリ炒飯大盛

ありがとうございました。

ぴんときた言葉の連なりが一つでもあれば幸いです。

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