表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
趣味人な魔王、世界を変える  作者: 海蛇
1章 黒竜姫
2/474

#1-2.魔王様と黒竜姫

 翌日、夕方の話である。


「納得行かないわ、なんで私達が戦地に出られない訳!?」

黒髪水色眼(すいしょくがん)の黒ドレス。怒号が城を揺らす。

本来なら涼やかな美しい声はしかし、身の毛もよだつ威圧感を含んでいた。


 ここは魔王城より遥か南西に位置する黒竜族の城。

ラミアによって魔王よりの戦闘禁止の命を受け、案の定黒竜族の長・黒竜翁(こくりゅうおう)は激怒した。

激怒したが、『これからどんどん苦情を送りつけてやる』といわんばかりに睨み付けながら、とりあえず伝えにきたラミアには手を出さずに帰す事にしてくれていた。

そしてこれからどうするかと頭を抱えながら城から出ようとするラミアを、今度はその娘が無理矢理自室に引っ張り込んだのだ。


 娘は黒竜族の間で『黒竜姫(こくりゅうき)』と呼ばれ、その呼び名は魔界では知らぬ者は居ないという程知れ渡っていた。主に暴力や口の悪さなどの悪い方向で。

そんな彼女は、美しく艶やかな黒いストレートヘアーを雑に振り分け、怒りのままにラミアに苦情をぶつけていたのだった。

「戦ともなれば、竜族、とりわけ私達黒竜族は多大な戦果を挙げられるはずよ。それを魔王はなんで――」

「それは貴方の父上にも伝えた事だわ」

感情をそのまま言葉にしてぶつけてくる黒竜姫にいよいよ頭痛がし始めたラミアは、頭を押さえながら努めて冷静に返答。

無論、そんな(黒竜姫的に)誠意の欠片も無い返事に納得するはずもなく、黒竜姫は今にも暴れださんとしていた。

「そんなので納得行く訳ないでしょ。父上はあんな弱腰魔王になんで遠慮なんてしてるのかしら!!」


 その不遜かつ横暴な態度は誰であっても変わる事は無い。

今代に限らず、残虐で知られた先代の魔王相手であっても、気に入らない事があれば一歩も退かず暴言を吐き続けたというのだから、筋金入りである。


 ラミアはこの黒髪の、一見絶世の美女な娘とは長い付き合いのある間柄であった。

おかげで黒竜姫も好き放題に言う。言われるが、ラミアも聞き流す。

しかし、その聞き流しもいい加減面倒くさくなってきたのだ。限界なのだ。

こうして黒竜族に話しに来ると毎回こうなっているのだから無理も無い。

毎度のように黒竜姫の愚痴と文句を聞かされるのだからたまったものではないのだ。


「ああもううるさいわね! そんなに文句があるなら自分で言いに来なさいよ。いい加減ね、貴方達の相手するのも面倒になってきたわ!!」

だから、ついラミアも、普段の魔王への腹いせもかねて、挑発してしまった。

「え……」

「だから、言いたい事があるなら自分で言えって言ってるの。私にばかり好き放題言わないでね」

付き合いが長いとは言っても、ラミアの方が遥かに年上なのだ。

年下の小娘の我侭を何度も聞かされれば、いかに冷静沈着なラミアでもストレスが溜まっていってしまう。

ただでさえ、変な魔王の相手を毎日させられてイライラしているのに。


 当の黒竜姫は、純粋に驚いていた。

この付き合いの長い知り合いは、自分の意見なんていつも聞き流してばかりで、まともに取り合おうとしないものと思っていたから。

そんな、愛想の欠片も無い冷徹蛇女のラミアが、珍しく感情的になって自分の意見を言ってきたのだ。

もっと言うなら、キレて自分に投げっぱなしにしたのだ。今までの人生でも初めてみた光景だった。

そんな驚きの場面に出くわし、一時豆鉄砲を受けたように呆けてしまったが、よくよく考えればそれはラミアの失策のようなものであり、自分にはとても都合の良い話なのだと気づく。

そこに気づいたら、後はもう勢いに乗るばかりだった。


「いいのね?」

「えっ?」

今度はラミアが驚く番であった。

黒竜姫は、ラミアの挑発に素直に乗る事にしたのだ。

「魔王と謁見して、好き放題言っていいのね?」

「……や、やればいいじゃない。できるものならね」

ラミアはというと、自分で挑発しておいて、頬に汗を流していた。

流石に先代魔王の時ほど緊張感はないにしろ相手は魔王なのだから、そんな相手にこの小娘が好き放題に言いたい事を言いだしたら、どうなるか解ったものではないと理解しているのだ。

しかし、黒竜姫はノリノリだった。

「そういうことなら是非会わせてもらうわ。待ってなさい、今仕度をするから」

「い、今から? 仕度って何する気よ?」

「頭おかしい? 登城の為の仕度に決まってるでしょ」

馬鹿なことを聞く女ね、と悪態をつきながら、黒竜姫は早足で隣の部屋へ入っていった。

侍女に手伝わせ、湯浴みなり着替えなり化粧なりするつもりなのだ。

どれだけ悪辣(あくらつ)な暴力娘でも、一応外に出るためにおめかしするのは欠かさない辺り、若い女性としての自覚はあるらしく、そこだけは可愛らしく思えるかもしれないとラミアは思った。

まあ、可愛げがあるのは本当にそこだけなのだが。

パーセンテージで言えば99%凶悪生物なのだが。


 二時間ほどして、黒竜姫は仕度を済ませ、再びラミアの前に現れる。

先ほどまでとは打って変わって、それと知らなければ男の方から声をかけそうな程美しく清楚な青のドレス姿であった。

心なし、うっすらと化粧をしていたり、どこからか甘い柑橘類の香りが漂う。

「馬子にも衣装って言葉が頭に浮かんだわ」

「つまんない事言ってるとなますにするわよ蛇女」

みたかこれが私の本気よ、と言わんばかりに豊満な胸を強調して腕を組む黒竜姫。

同性のラミアから見ても、その美しい顔立ちと合わさってとても強力な武器になるのではと思ってしまう。

まあ、この娘の場合は物理的な力の方が強すぎて、同族であっても恐れられ言い寄る男がいないらしいのだが。

その残念美人はというと、侍女に何となく色々持たせて、早速魔王城へと登城する準備をしていた。

「お父上にはお話しないの?」

曲がりなりにも彼女の父が一族の長なのだから、何をするにも許可はあるべきだと思うのだが、ラミアの問いに対してはさほど気にしている風もなく「父上が私のする事に何か言うとは思えないわ」と聞き流す。

泣く子も逃げる化け物、黒竜族の長は娘に激甘らしかった。



 魔王城は魔界の極東最奥、地の果てに存在していた。

魔界のどの領主の城からも離れていて、到底徒歩では辿り付けないほど険しい山脈の中央に、それはあった。

そんな人外にとってすら魔境な地だが、それぞれの地域に点在する上級魔族の城にはそれぞれ魔王城への転送の陣を張る事を許されていて、それによって一瞬で来る事が出来るようになっている。

つまりラミア達はこれによって、一瞬で魔王城に戻ってきたという話なのだった。


「ふぅん、ここが魔王城なのね……初めてきたわ」

黒竜姫は、物珍しそうにキョロキョロと城内の装飾を見回していた。

「貴方は覚えていないだろうけど、貴方、産まれてから少しの間、ここに居た事があるわよ?」

そんな黒竜姫に、ラミアは昔を思い出したのか、少しだけおかしそうに呟く。

「産まれてから少しって……よくそんなの覚えてるわね」

「貴方だけじゃないわ。ここに居た子は、皆覚えてる」

ラミアにとって、この城とは自身の歴史の大半だった。

優秀な頭脳を持つ彼女は、城内で起きたあらゆる事を記憶している。

勿論完璧にではないが、それでも魔族としては驚異的な記憶能力である。実際生き字引としても重宝されていた。

「……ま、昔話はその内聞かせてもらうわ。今は謁見が優先よ」

少しだけ年相応の娘のようなノスタルジーを漂わせていたものの、すぐに本来の目的を思い出し、元の鋭い目つきに戻る。

「いいわ、案内してあげる」

ラミアは、少し頭痛が治まった頭で、どうにかして問題がこれ以上ひどくならないような方法はないものかと模索し始めていた。

まあ、大方の所無駄な努力というか抵抗というか、そんな結末に終るのは解った上で。


 豪華絢爛。荘厳。

魔王城なんておどろおどろしい名前とは正反対の、人間の王城を更に豪勢にしたかのような、この世で最も巨大で贅沢な城だった。

そんな城の回廊を歩く事約十分。

一際目立つ赤の絨毯に敷き詰められた分岐に出て、更にそこを進んだ先に、変わった絵画の飾られたやや狭めの通路があった。

それは回廊というには狭く、人間サイズの魔族が三人も並べば壁に当たってしまうくらい。

下半身が大蛇となっている所為で人というには大柄過ぎるラミアと、長身で色々と人間の女性の平均以上な黒竜姫には、並んで歩くにはやや狭く感じられた。


 変わった絵画というのは、かつて魔王が戴冠前に、自分の領地に引きこもっていた頃から飾っていたお気に入りの少女の絵。

通路は、ちょうどその少女の眼の真下を通るような作りになっていた。

「……どこからか視線を感じるのだけれど」

黒竜姫は違和感を感じて、キョロキョロと落ち着かない風だったが、ラミアは無関心そのもので、「誰も貴方なんて見ないわよ」といつものように聞き流した。


 程なくして魔王の私室に到着。

謁見などというから玉座の間に通されると思っていた黒竜姫は、少々呆気にとられてしまった。

「ねぇ、本当にここであってるの?」

「ええ、とても残念な事に、陛下はあんまり玉座の間にはいないのよ」

割と本当に残念そうに、ラミアは溜息混じりに現実の虚しさを伝える。

「そう。ここに魔王が居るのね」

「ええ、いらっしゃるわよ。いくら貴方でも、粗相が無いようになさいね」

「誰に言ってるのよ、無粋な奴」

珍しく神妙な面持ちになったかと思えば、ラミアに余計な事を言われ、黒髪の美貌はぶすったれた。

それから、わずらわしげにノックを三回。

……反応なしだった。

「……」

「……」

無言が世界を支配する。それを最初に奪い返したのはラミアだった。

「きっと気づいてなかったのよ」

「そうかしら?」

更にノックを三回。少し強めに、ゆっくりと。

誰が聞いてもそれと解る位には大きな音を立てて。少しドアをへこませながら。

……しかして、それに対する反応は全くなく、再び沈黙が世界を――

「ああもう、この私が来てやったのに、なんで顔一つ、返事一つよこさないのよ!!」

時を支配したのは沈黙ではなく、黒竜姫の怒りであった。

「頭きた、もういいわ。乗り込んで言うだけ言ってやる」

「ちょ、ちょっと待ちなさい、いくら何だってそれは――」

相変わらずの短気短絡に呆れながらも、それはまずいとラミアも必死で抑えようとしたのだが、やはりそこは種族の差で、化け物そのものの圧倒的暴力の前には、非力な蛇女は目の前のドア同様、何の足止めにもならない代物に他ならなかった。



 ドカン、と部屋にやかましい音が鳴り響いたのは、魔王がいつものように人形の手入れをしていた時の事だった。

部屋に無数にある人形達が、ドアが吹き飛ばされると同時に入ってきた衝撃波で壁際まで吹き飛ばされていく。

まあ、人形達は特殊な造りをしているので、吹き飛ばされるくらいなら傷一つつかないのだが。

「うん?」

そうなって、ようやっと魔王は、呼んでもいない来客に気を向けたのだった。

当然、黒竜姫が計6回もノックした事など微塵も気にせず。完全無視の姿勢だった。

「貴方が魔王ね? 私、ずっと聞きたかったことがあるの。ちょっと話に付き合ってくださるかしら?」

口調はそれなりに丁寧に。しかし言葉の端にはギシギシと威圧を込めて、黒髪の娘は魔王と対峙した。

「いきなり尋ねて質問かね。まあ聞くだけ聞いてやろう」

しかし黒竜姫の方を一瞥(いちべつ)もせず、魔王はいつもどおり、机の上の人形の方ばかりを向いて手先を動かす。

「……」

その様に、黒竜姫は唖然としていた。今日は彼女的にとても呆気にとられることが多い日である。

こんな事はそうそうないのではないかと思うほどには。

わずかな沈黙の支配の下、解りきっていた事ながら黒竜姫は怒りをあらわにした。

「こっちを向きなさいよ!!」

「今忙しいのだ。用事があるならこのまま聞いてやるから、早く言いなさい」

「なっ――」


 泣く子も滅びる乙女の怒鳴り声に、魔王は耳障りな虫の羽音程度の気持ちで嫌な気分ながら聞き流していた。

その様に、余計に黒竜姫はフラストレーションを溜める。

自分と話をするにあたって、まるで自分を大したものではないかのように扱うその存在に、かつてないほどの怒りを覚えたのだ。


 そこには、理不尽さに対する怒りも含まれていた。

例えば二時間かけて湯浴みをして相応に化粧や装飾や衣装にも気を遣って、入る際にはきちんとノックまでしたというのに、当の相手が居留守を使い、挙句部屋に入り自分が話しかけても顔すら見ようとしないという理不尽に対して。

なまじ先代魔王相手にすら好き放題言っていた経験がある所為で、この魔王のこの態度に、どうしようもない憤りを感じてしまったのだ。

元々短気な彼女が、そんな理不尽極まる態度に堪えられるはずもなく。

黒竜姫は、激怒していた。


「ふ、ふ……ふ……ふざけ――」

「あ、ちょっと、やめなさいっ」

ラミアの制止を無視し、ドン、と一歩踏み出し、怒りのままに魔王に飛びかかろうとした矢先。

事態はまさかの形へと進む。

一歩早く、黒竜姫に魔王が迫り、喉元に手を伸ばし、その勢いのまま壁に叩きつけていたのだ。

「――あっ、ぐっ――」

突然に首を掴み叩き付けられ、激痛が黒竜姫の喉に襲い掛かった。

恐ろしいほどの握力で、そのか細い喉は押し潰されそうになっている。

か細い、などと言っても、全生物中最上位に入る剛性を持つ皮膚に覆われた自身の首筋が、素手で握りつぶされようとしている事に、黒竜姫は驚きを隠せなかった。


「くっ……」

突然の事に、黒竜姫は混乱していた。

していたが、首を絞めている腕をはがそうと必死に魔王の腕を掴んでいた。

そうこうもがいている内に、魔王は娘と顔を近づけ、澄んだ水色の瞳をザラリと覗き込む。

「貴様、誰の部屋に入り込んでいると思っている!?」

その形相たるや、先代魔王の比であっただろうか。

誰も見た事のない、見たら魂を奪われるのではないかと思うほどの眼光。

変人だとか放蕩魔王だとかいう噂などブラフだったのではないかと思わされる程に、その面持ちは威厳に満ちており、とても魔王らしかった。


 しかし、黒竜姫とて恐怖の権化と言われる程の暴力種族の長の娘だけあり、それだけで恐れおののく程胆は小さくない。

すぐに睨み返し、腕を引き剥がそうとその細腕に力を込める。


――だが、抵抗はそこで終わった。


「こ……これ……は」

目の前には、更に信じられない光景が広がっていた。

無数の――彼女は今まで背景くらいにしか思っていなかった物だが――人形達が、彼女に向けて様々な武器を突きつけていたのだ。

(これが、不死の兵団……?)

噂程度に聞いていた『ドール・マスター』という魔王の通り名と、今目の前に広がる光景にようやっと繋がりが実感でき、そして同時に戦慄していた。

自在に動き回る呪いの人形に対してではない。それらが持つ、様々な武器にだ。

一番目立つ、上品な服の金髪の人形が持つ長剣。

他にも、曲刀やレイピア、果ては何の冗談かペーパーナイフまで。

(どれも、ドラゴンスレイヤーじゃない。どういう事なのこれは……?)

驚愕が彼女を支配するのに、そう時は掛からなかった。


 ドラゴンスレイヤーとは、特殊な鉱石を用いて造る対竜加工の刃。

人間世界において数少ない、竜に対抗する手段として、巨大なカタパルトや機械仕掛けの滅竜槍の先端部分等にわずかに使われている。

金持ち国家が辛うじて各砦に配備する事ができるくらいの稀少な品の為、当然店には売ってないし、個人が持つ事などとんでもないはずなのだが、その稀少な品を魔王はふんだんに使い、果物ナイフだとかペーパーナイフだとかにしたりして人形に装備させていた。

勿論、ちゃんとした武器を持たせている人形も多いのだが、癒しは必要だろうというだけの為にそうなった。


「気づいたか。この子達が持つ武器は、全てドラゴンスレイヤーだ。果物ナイフに至るまで、な」

(そんな、馬鹿な……人間世界ですら貴重な品なのに、どうやってこんな……)

「貴様ら黒竜族の、その全てを狩り尽くせる程度には、私の手元にはドラゴンスレイヤーがあるぞ」

(そんな……こんなことって……)


 当然、それは竜族にとって数少ない脅威足りうる存在で、今の彼女は、いわば処刑台の上にいるのと大差ない状態だった。

生まれてこの方そんな目にあったことのなかった黒竜姫は、頬を伝う汗に、初めて自分の中にも恐怖という感情が存在するのだと自覚した。

次第に首を絞めている手から力が弱まっていくのを感じ、ヒュー、ヒュー、と小さく呼吸できるようになる。

しかし、喉の苦しみから解放されて尚、黒竜姫の身体にはぞくり、ぞくりと得体の知れない感覚が走り回っていた。


「――失せろ。次に許しなく入り、無礼な口を利いてみろ。種族全てが根絶やしにされると思え」

後ろに居たラミアが絶句するほど、魔王の威圧感は重かった。

「は、はい……申し訳……ございませんでした」

黒竜姫はというと最早覇気もなく、完全に萎縮してしまい、魔王が首から手を離すや、小刻みに震え、涙目になりながらぺこりと頭を下げ、そそくさと部屋から逃げ出してしまった。


「ラミア」

「は、はいっ、こちらに……」

しかし、それだけで収まらないのか、魔王の怒りの矛先はラミアにまで向けられていた。

「二度とあのような真似を私の前でさせるな。次はないと思いたまえ」

「はい。勝手な真似をしてしまい、申し訳ございませんでした」

思わず背筋が伸び、寒気がしたのは言うまでもない。

黒竜姫が恐れて涙目になるような恐怖だ。

ラミアが堪えられるはずもなく、震えが止まらなかった。

よくよく忘れられがちだが。この中年男は、魔王なのだ。


「ふん。今は機嫌が悪い。さっさと失せろ」

「か、かしこまりました、それでは失礼致しますっ」

間髪をいれず、言われるまでもなく、ラミアは部屋から出て行った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ