ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
47話→完成!


「なんで、わたくしたちに黙っていたんですの!?」

風呂場で、なんとか大事な部分を洗われるのを回避して逃げるように部屋に戻ってきた俺を待っていたのは、気まずそうにしているアリスと俺を睨んでくるルナとニル。


それと、目に涙を溜めて今にも泣きだしそうなチョコだった。


チョコの言葉から察するに、他の姫様達にも俺が帰ってしまうことがバレたのだろう。


「・・・はぁ」


俺はため息をつくと、チョコの目を見て質問に答える。


「俺は、ただ嫌な思いをさせたくなかったんだ」


俺の言葉に、目を見開くチョコ。


「はやとのあほぉ!!わたくしは、話してもらえなかった、はやとが他の女の子とだけ何か秘密を共有していることの方が嫌でしたわ!」


そう言って、涙をこぼし始めるチョコ。


「わたくしは、こんなにもはやとを心配して、はやとのことを思っているのに・・・・・何で気づいてくれませんの?」


そう言って、ぺたりと膝を着くチョコ。


アリスと二人の姫様がチョコの傍に行って、慰める。

俺はただ、その様子を呆然と見ていた。


悲しい顔が見たくないから、嫌な気持ちをさせたくないから。


そう思っていたのに、逆にそういう気持ちにしてしまったなんて・・・・。


「ごめん・・・気づいてやれなくて」


せめて、心の底から謝罪した。


俺が何かして笑ってくれるなら何でもしよう。


なぜかそう思えた。


そして、昔と今の違いを実感した。


昔は嫌なことから逃げていた。


今は、違う。真っすぐ向き合える。


どんな過程でこっちの世界に来たかはわからないけど。


あの時、飛行機事故で死んでいたはずの俺が生きていて、性格も少し変わって・・・・・。


そんな『奇跡』をくれた神様と、俺を変えてくれたみんなのためなら。


そんなみんなのためなら何かしたい。


そう思った。


「本当に、ごめんな」


俺のために泣いてくれた、ただそれが嬉しくて。


チョコを優しく抱き締めて、また謝った。


・・・・・・。


そして、自分がしたことの愚かさを呪った。


風呂から上がってきたのだろう。


抱き締めた瞬間に部屋に入ってきたリリィとルミナス。


どこから湧いてきたのかアイリス。


先にチョコを慰めていた3人。


全員の視線が痛すぎる。


めっちゃ殺気こもってるんですけど・・・・。


一時の沈黙。


それを破ったのは理事長だった。


「よっ!はやと、風呂ぶりだな・・・・・って何で抱きついてるんだ?」



「・・・・・・ごめんなさい」


俺は、チョコから離れるとすぐさま土下座した。


理事長は、わけがわからない、といった感じで首を捻っている。


しかし、今謝らなければ本当にやばいかもしれないのだ。


「お仕置きが足りなかったようですね?」


「みたいですね」


頷き合うリリィとルミナス。


さっきの風呂のはお仕置きだったのか・・・。


「はやと?そんな羨まし・・・じゃなくて、いやらしいことを人前でしていいのかな?」


口の端をヒクヒクさせるアリス。


「なんかすっきりとしないわね〜」


「確かに、ですね」


不満げに眉をひそめるルナてニル。


「はやと様は・・・・・・ウフフ」


なんか一番恐いアイリス。

俺は逃げようと腰を浮かせるが、焦りすぎて倒れてしまった。


「理事長!助けてっ!」


「若いって、いいねぇ」


感慨深げに頷く理事長。


「見捨てんなぁ!何しに来たんだよ!」


助けに、とかじゃないことはわかってる。


うん、わかってるよ?


「・・・・・・あ、忘れてた」


理事長はそうつぶやくと、親指を立ててニカッと笑う。


「アレ、完成したぞっ!」

・・・・なるほど、俺は今すぐにでも帰れるらしい。

俺は理事長の言葉を頭の中でリピートして確かめ直す。


そして、帰れるという期待に胸を躍らせた。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。