ココロかくれんぼ
いじめられることには慣れている。
だから、俯き方を知っている。どんな涙を流せばいいのかも知っている。
それでも、それらを自分の中に押し込めるのは、隣に彼女が居るからだ。
お前なんかが居なければ、俺はもっと楽になれるはずなのに。
何度も、そう思った。口にした。
悲しそうに、彼女が顔を覗かせる。
そんな表情をされるから、自分が惨めに思えて、嫌になって、彼女のせいなのだとやつ当たって、結局自分が悪いことに気付くのだ。
「……これ、痛いでしょ」
腫れを感じる俺の頬に、彼女の細い指先が触れる。
「触んなよ」
俺は、その彼女の手を強く叩いて振り払う。
同情なんていらない。
俺はもっと強いはずなのに、彼女は俺を弱者を見るような目を向けてくる。
━━お前なんて、居なければいい。
━━お前が、いたから。
彼女はゆっくりと口を開いた。
「下、向いたらダメだよ」
「……当たり前だろ」
自分の視線が下がっていくのは、決して、俯いているからでは無いと信じたい。
「絶対、泣かないでね」
「ああ、絶対に……泣かない」
嗚咽が口からこぼれ落ちそうになるのを必死にこらえる。
「だから……わたしを、あなたの隣に居させて」
彼女が隣に居ることには慣れている。
だから、歯を食い縛ればいい。悔し涙を溢れさせればいい。
彼女が隣に居るから、俺は楽になれるのだ。
俺の心は、逃げも隠れもせずに彼女に姿を見せる。
━━やっと、見つけた。
彼女は、微笑んで呟いた。