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Double Life
作:盗鬼



9−3



「風紀〜! 朝だよ〜!」

自分の部屋のベッドの上で、伸びをする。

いつものように、明日香の可愛らしい声で目覚めた俺は幸せものだ。

「ふぁ〜」

大きくあくびをして、パジャマのままドアを開ける。

「おはよ…」

目を擦りながら言う俺。

「おっはよぉぉ!」

いつものように、元気よく言う明日香。

「今何時?」

明日香が時計の方に目をやった後、

「10時過ぎ」

と、言った。

「へぇ〜10時過ぎか…って10時過ぎ!?」

因みに今日は、学園祭2日目。

「お前、完璧遅刻じゃん!」

キョトンとしながら俺の話しを聞く明日香。

服装は、まだパジャマのよう。

グッ…いつになっても、明日香のパジャマ姿には慣れないぜ。

「大丈夫風紀?」

「大丈夫も何も、お前全く焦ってないよな! 10時過ぎだぞ!?」

まだ、キョトンとしている明日香。

俺の言葉が理解できないのか!?

「分かってるよ? 私たち、今日後半組みだよ?」

「あぁ! 後半組みだよ! …あぁ、後半組みか」

納得する俺。

その理由は、俺たちの学校は、文化祭は何時に行ってもいいという。

だから、仕事が無い人は、家で休んでいてもいいし、文化祭を楽しんでもいいのだ。

それで、後半組みの俺たちは、12時から猫耳メイドカフェに入らなければならない。

逆に言うと、12時までゆったりとしていていいわけだ。

「おっけぇ…理解した」

俺がそういうと、明日香は「そっか!」と言って、いつもの満面の笑みを俺に見せてくれた。

「やっぱこれが俺の朝!」

明日香は不思議そうな顔をしたが、放っておこう。

ドアを閉め、パジャマから制服に着替える。

一応、文化祭でも制服で登校なのだ。

着替えてリビングへ行くと、明日香の制服姿がいつも拝めると言うわけだ。

分かるかいジョニー?(そんな登場人物は存在しません)

昼過ぎに登校するという、いつもと少し違う今日だった。





「おはよぉ〜」

12時1分。

俺と明日香は、着替えて店に出る。

「また仲良く二人で登校か?」

幸助が俺たちと同時に店に入ってそう言ってきた。

「まぁ、そんな感じ」

「いいねぇ〜アツアツカップルは」

「いや、カップルじゃねぇし」

ニヤーと笑う幸助。

「気持ち悪い」と俺は言っても、その表情は変わらず鼻歌まで歌い出すと言った感じだ。

幸助が自分の持ち場の飲み物を継ぎ終えると、

「沙希ちゃん!」と呼んで、コーヒーを渡した。

それにしても、沙希の猫耳メイド姿。

明日香たちとはまた違う見所があるな。

だって、いつも口悪いあの沙希がだぞ?

あんな格好…。

「プッ」

思わず笑いがこみ上げてしまった。

「何、笑ってるんだ風紀?」

沙希が俺の方を向いて睨み付ける。

「いや、何でもナイッス」

心の中では大爆笑。

「そう」と、言ってコーヒーを運んでいった。

猫耳メイドの格好をした2組のクラスの女が厨房の前にやってきた。

「イチゴジャム&プリンの盛り合わせのクレープ一つ」

クレープ…俺の番か。

「ういっす」

そう返事をして、俺はイチゴジャム&プリンの盛り合わせのクレープを作り始めた。

また、猫耳メイド姿の2組の女がやってきた。

「ヨーグルトと、ミカンのかき混ぜクレープ2つ」

またか…。

「ういっす」

と、またも返事して俺は、ヨーグルトと、ミカンのかき混ぜクレープを作り始める。

「風紀オリジナルクレープ4つ」

「ういっす…って何だよそれ!」

注文を受け取った人は「さぁ?」と言いながらその場を去った。

現在抱えているクレープの量、7つ。

明日香が店に入ったせいか…。

クソッ! どうしてこうも、明日香は人気なんだ!

俺の仕事を増やすなよ…全く。

溜息をつきながら、俺はクレープを作り始める。

それにしても、風紀オリジナルクレープを知っているのは部長だけのはず。

チョコとイチゴと、ヨーグルト和えは昨日考えたんだけどなぁ。

疑問に思いながらも、ひとつ、ひとつと作りはじめた。



「やっと終わった〜!」

俺は厨房で倒れ中。

何故か今日は異常にクレープの注文量が多かったな。

「お疲れさまぁ〜」と言いながら、殆どの男共が俺の上を跨って行く。

まぁ、その状態で大体20分ぐらいジーとしていると、ドアが開く音がした。

「大丈夫風紀?」

その声の持ち主は、明日香じゃなく…凛だ。

「あぁ、普通」

いや、普通じゃないんだけど。

体が動かないわけで、大丈夫なわけが無い。

「お疲れ様」

そういい、凛がスッとしゃがんだ。

その瞬間、俺の唇にやわらかい感触が。

「……」

「エヘ」

「……」

「ふ、うき?」

「……」

「あのぉ〜」

何故、俺が黙るのか教えてやろう。

理由は簡単。

女に触られ、その場所がマウス トゥ マウス。

口と口というわけだ。

この俺が失神しないのが奇跡だろう。

なんとか、まだ意識は保とうとしている。

そこまで必死に俺の脳が頑張っている理由は、俺の眼に映る人物が二人いたからだ。

一人は、俺にキスした凛。

もう一人は、その悲劇的な場面を目撃した明日香。

悲劇的な場面を目撃した方は1秒も立たずに、俺の視界から消えていった。

その後に、廊下を走る音。

ドテン! と、誰かがこけた大きな音がしたが、それは気にしないでおこう。

その後また、パタパタと廊下に響く音がした。

その音が、何故か俺の心に響いた。


















読んでいただき、ありがとうございます。
毎回、へんな時間に更新となっています。
もうしわございません…。









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