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Double Life
作:盗鬼



8−3



明日香が遅れて、俺たちのところへやってきた。

その足取りは重く、今にも倒れてしまうのではないかというぐらいにフラフラだ。

「だ、大丈夫か明日香!?」

俺は明日香に駆け寄る。

「う…うん」

言葉に力が無い。

「そ、そうか」

抱き寄せることも出来ない俺。

せめて、肩を貸してあげれればいいのだが…。

「ちょっと、あそこで休もう」

俺はそういい、ベンチに座らした。

明日香は、ここまで走ってきたのだろう。

置いてくるんじゃなかったな。

30秒後。

「もう大丈夫!」

すくっと立って、元気をアピールする明日香。

その元気ぶり、まぶしすぎる…。

俺と明日香は凛の所へ。

……。

やはり、凛の手の中にはメイド服が。

信じがたいが、これが真実なんだろう。

すると、俺の頭にある提案が。

「なぁ、明日香。それ一回着てみろよ」

冗談交じりで言ってみる。

「うん!! わかったぁ!」

そうだよな…無理だよな。

…って、え? いいのかよ。本当に着るのかよ。

そのまま、明日香は試着室に入って行った。

数分後。

「ジャ〜ン!」

と言いながら、試着室のカーテンを開ける。

俺の目に飛び込んできたのは、

藍色のひらひらスカートの下に白く、細い足があり、猫耳をつけて秋葉系が見たら鼻血を出すような顔立ち。

俺は、自ら固まっていることに気が付く。

「あ…ぅ…え…と」

俺は、何を言いたいんだ!

何をするでもなく、俺は俯いた。

「ど、どうしたの風紀ぃ?」

凛の心配する声が聞えてくる。

「な、なんでもない」

なんでもないこと無いのに、そんなことを言っている俺。

そして、顔を上げると明日香の猫耳メイド姿が。

「どうかな?」

と言いながら、明日香はくるくる回っている。

率直な感想は、やばいですよ?

育ち盛りの男には、有害ですよ?

「い、いいんじゃない?」

まぁ、そんな事も言えず、おれは褒めておいた。

周りの視線が気になるのは…気にしないでおこう。

「じゃあ、私も着るぅ!」

そう言って、凛は猫耳と、メイド服を持って試着室に入った。
いやいや、もういいですから。

これ以上は耐えられません!

理性を保ちつつ、待つこと2分。

勢いよく、試着室のカーテンが開き、凛が出てきた。

……。

KO

その場で、意識が朦朧とした俺だった。

「だ、大丈夫?」

明日香が俺に近寄ってくる。

「む、無理!」

意味不明な言葉を俺は言う。

「な、何が!?」

明日香がそう聞いてきた。

まぁ、当たり前の返事なのだけど、俺の思考は今ぐっちゃぐちゃ。

自分でも、何を言っているのか分からない。

「お、お前等! まず、着替えろ! 早く! 20秒以内!」

そう言って、その場を逃走した俺だった。

5分後、通常理性を取り戻して、あの地獄の間に戻る。

戻ってみると、明日香と凛は私服にちゃんと戻っていた。

「よ、よし。会計するか」

猫耳18個、メイド服18着を会計所に持っていく。

当たり前のように、店員に変な目で見られ、恥ずかしい思いをしてしまった。

クソッ。

何で、俺がこんな恥ずかしい思いをしなければならないのだ。

涙目の俺に店員は気付いたのだろう。

会計は10秒ほどで終わった。

いや、終わらしてくれた。

大量のメイド服と猫耳を持って、明日香たちが待つ所へ行こうとする。

「はやくぅ!」と言う凛。

「風紀〜!」と呼ぶ明日香。

俺は駆け足で明日香たちが待つ場所に行った。

「次は、細長い紙を大量、メニューが載るような紙を大量か」

まぁ、簡単に見つかりそうな物だな。

いや、メイド服も簡単に見つかったといってもいいだろう。

探し続けること15分。

…無いぞ?

何で〜?

1階から7階まであるここに、何故雑貨屋がないんだ?

おかしいだろ。

一度、1階まで降りてみることにした俺は、あることに気づいた。

…地下1階。

エレベーターの横に、ひっそりと書かれていたのだ。

ひっそりと書く理由は、俺にも分からない。

だが、あきらかに地下1階の隣に雑貨屋と書いてあるのだ。

苦労の15分間はなんだったんだ?

「風紀あったよぉ!」と凛が叫ぶ。

その発声は、俺がひっそりと地下1階と書いてあったのを見つけてから30秒ほど経ってからだった。

エレベーターで地下1階まで降りる。

その途中、窓ガラスになっているエレベーターで、はしゃいでいる二人。

はぁ、と溜息をついたせいか、エレベーターの動きが変な風になった。

いや、止まった。

「……」

「……」

「……」

「「「え〜!」」」

3人の声が重なる。

「と、止まったよね!?」

と言ったのは凛。

一番焦っているように見える。

「うんうん!」

と言っているのは明日香。凛の次に焦っていると見られる。

生憎、他の乗客者は居なくて、俺たち3人だけ。

俺は、冷静を取り戻して、エレベーターにある非常用のボタンに手を掛けた瞬間。

ガタン!と言い出してエレベーターが動き始めた。

「「「へ?」」」

と、またもや3人の声が重なった。

地下1階に行くと、何事もなかったような行動をするお客と店員。

いや、何かがあったことを知らないのだろう。

明日香と凛も、先ほどの出来事を忘れたかのように行動している。

どうなってるんだぁ!

と、心の中で叫ぶ。

しかし、その心の叫びは無情にも誰の心に響かなかった。

「風紀ぃぃぃ!」

メイド服の時と同様、遠く離れた所にいる凛が俺を呼ぶ。

しかし、同じ過ちは二度とやらないのが俺。

今度は明日香と一緒に凛の待つ場所へと向かった。

今度は驚かない。と心に誓っていたのに…。

如何にも、メニュー用です! と、言わんばかりのものがある。

それに続いて、如何にも、注文を取る紙です! と言わんばかりの紙もある。

「……」

またもや驚いてしまった自分が情けなくて、涙目が倍増した




















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