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Double Life
作:盗鬼



3−3



2日目の朝。

俺はいつものように明日香の可愛い声で起きた…かった。

「おい、風紀朝だぞ!」

その声は男くさいがよくよく聞いてみるとかっこいい声。

清水 亮平。

体を揺らされ徐々に瞼が開いていく。

「やっと起きたか」

ポリポリと頭を掻きながら、面倒くさそうにしている。

「おはよ…」

目を擦って伸びをする俺。

「早く着替えろよ。今日はキャンプに行くらしいから」

「そうだったっけ」

良く見ると亮平は昨日のパジャマとはもう違って、普段着に変わっている。

亮平を見た後時計の方に目を持っていく。

「11時!?」

思わず声を上げてしまった。

そう、俺の記憶が正しければ11時に下に集合なのだ。

「亮平! もっと早く起こしてくれよ」

服を脱ぎながら言う俺。

「10分ぐらい起こし続けたよ…」

呆れながらこちらを見る目。

痛い、痛いよその目は。

さっさと普段着に着替えて、下に直行!

階段のギシギシと鳴る音を無視。全体重をかけて、2段抜かし。

玄関の前に到着。

「あ…れ?」

そこには誰も居なかった。

「お前、まだ10時だぞ?」

ゆっくりと2階から階段に座って見下ろしてくる亮平。

「…へ?」

玄関に置いてある時計を見る。

…10時。

もしかして見間違えたのか?

うわぁ、恥ずかしい!

「今からキャンプの準備をするから、明日香の部屋に来てって言ってたぞ」

そう言ってゆっくりと亮平は立ち上がった。

俺も俯きながら階段を上がる。

そして、明日香の部屋の前に来てコンコンとノックをし入る。

「おはよ〜!」

明日香が満面の笑みでいつものように言ってくる。

やはりこれが俺の朝だな。

「さっきすごい音がしたけどなんだったの?」

「…」

思い出させないでくれ明日香。

「なんでも…」

なんでもないよ。と言おうとしたが、俺のその言葉はあっけなく亮平の言葉に遮られた。

「風紀が10時と11時見間違えてさ。急いで玄関まで走っていった音」

3秒ぐらい間があって明日香と沙希が笑い出す。

俺も俺で笑うしか出来なかった。

「風紀って少し馬鹿だよね?」

沙希が笑いながら言ってくるから余計むかつく。

「うっせぇ! そういやキャンプの準備するんだって?」

俺は話をそらすために、キャンプの話を持ち出した。

「明日香、俺と風紀は何すればいいの?」

明日香は少し悩んだ後、

「お母さんに聞いて」

と言った。

その言葉を明日香が発した後、タイミングよく明日香のお母さんが入ってきた。

「うんうん。皆集合したわね」

頷きながら明日香のお母さんが言っている。

「じゃあ今から皆で車にキャンプの用意を入れましょうか」

「は〜い。」とみんなの声がそろった。

10分後、亮平が一番頑張って、車の中に荷物を乗せ終わった。

「つかれたぁ…」

これがみんなの口からこぼれた言葉。

明日香のお母さんは人使いが荒いな。

自分は何にもしていないのに…。

「さぁ、出発しますか!」

そう言って手を叩く明日香のお母さん。

どこか仕草が明日香に似ている。

そして、俺たちは車に乗り込む。

当たり前のように明日香のお母さんは運転席。

明日香は助手席で後ろの席に左から沙希、亮平、俺と言う順番だ。

ちょっと高校生が3人乗るときついのだが、乗れないことも無い。

「レッツゴー!」と言って明日香のお母さんは車を発進させた。

車の中では俺が一番大人しいかも。

沙希と亮平は二人で話しているし、明日香は明日香のお母さんと話している。

まぁこの座席の席からすると自然にこうなるのだ。

亮平は女子と話すときは噂の話をしない。

昔、それを話したことで女の子に嫌われたことがあるかららしい。

「はぁ…」と溜息をついて外を見た。

自然がいっぱいで空気がよさそう。

30分ぐらい車に乗って、目的地に着いた。

「到着〜!」

明日香のお母さんが車の外に出てそういった。

俺は明日香のお母さんの次に車から出て空気を吸う。

…うまい。

2回、3回と吸う。

やはりうまい…。

意味もないのに俺は何度も吸い続けた。

「…おい馬鹿」

俺の頭に衝撃。

亮平が俺を叩いたのだ。

「痛ってぇな! 何だよ!」

と、言って後ろを向くと「おい馬鹿。」の意味が理解できた。

みんなはキャンプの用意を運んでいる。

「…はい分かりました」

そう呟いて、俺はみんなと同じように、荷物を運び始めた。

荷物も運び終わり、キャンプが始まった。

「キャンプをしよう」と言っていた明日香のお母さんはまたもや何もしていない。

明日香も沙希も「焼くのは男の仕事!」と言って食べる準備だけ。

俺と亮平は溜息をついて野菜と肉を焼き始める。

「…あまり食えないな。」

俺は肉を裏返しながら亮平に呟く。

「そうだな」

やっぱり亮平も思っているらしい。

何で俺たちがそういうこと思っているのかというと、

「風紀君! お肉まだぁ?」

明日香のお母さんが俺の後ろでスタンバイしているからだ。

「あと少し待ってくださいね?」

明日香のお母さんだ。キレることは出来ない。

そして、出来上がった肉を明日香のお母さんの皿に入れる。

「小母さん食べすぎですよ」

笑いながら亮平が言う。

亮平がそういった直後俺たちの顔は硬直した。

ズゴォォォォン!

熊も驚くフックが亮平にあたったのだ。

「ぐぉっ…」

亮平はそのまま意識なし。

うずくまって倒れている。

「あら、どこに小母さんなんているのかしら。」

その亮平を殴ったのはもちろん明日香のお母さん。

「お母さん!」

明日香が明日香のお母さんに近づく。

「大丈夫、骨は折れないところをつついたから」

…いやいやつついたじゃ収まらないですよ。

「まぁ、そのうち目覚めるからそこらへんにでも寝かしておきましょう」

ニコっと笑って俺を見た。

「そ、そうですね」

としか言わさない顔をされ、俺は亮平を運ぶ。

大丈夫か亮平?

もう死んだのかと思うぐらいすごい音がした。

「風紀君! お肉まだぁ?」

…絶対に逆らえない。

俺は初めてと言う位、心の底から思ったのだ。






















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