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作者:キママ
 逆さに吊るした男は、未だに挑発的な言動を繰り返している。
 自身の結末が既に決まっていることによる諦めなのかどうか、わたしには分からない。
 わたしは、彼に熱湯を浴びさせてから、彼の隣のベッドにいる男に近付いていく。
 ベッドの男は逆さに吊るした男に対して、怯えきった表情である。
 わたしが手にしている刃物を見て、真冬に全裸の状態で外に放り出されたかのように、身体を震えさせる。
 わたしは、彼の腕の肉を切り取ると、彼の口にそれを入れた。
「腹が減っているだろう」
 わたしの善意に、彼は涙を流した。

***

「調子はどうだい」
 映像を眺めている彼女に向かって、わたしは問うた。
 しかし、彼女は何も反応を示さない。
 わたしの方を向くこともなければ、映像の凄惨さに怯えることもない。
 だが、わたしは彼女のその反応には慣れていた。

***

 屋上から街の景色を眺めながら、わたしは白い息を吐いた。
 今もあの街のどこかで、同じように苦しんでいる人間がいるに違いない。
 だが、わたしが力になることができるのは、大切な存在である彼女だけだ。
 己の行動が間違っていることは理解している。
 しかし、理解しているからといって、それを受け入れることとは話が異なる。
 わたしは、再びあの部屋へ向かった。

 彼女の苦しみの何万分の一でも味わわせてからではなければ、彼らに救いはない。

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