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神様の気紛れトリップ集

異世界は貞操概念がおかしい。

作者: Α・Ω

※ゲス男の話題が多かった時に生まれたネタです。ラブコメです。ふざけてます。

※過去品と似たような設定被ってるけどごめんね!←あんまり考えてないからです。

※15禁はぼかした言語の事だけです。ぼかした言語は察して下さい。

 知識がないからいい加減だけどね!


※浮気 ダメ 絶対!←これ大事。

「で、出来心だったんだ。俺が一番愛してるのは柚だけだっ。信じてくれっ。」



 数日前まで本当に愛していた人だったけれど、一度の浮気でその愛情も冷めきった。

目の前で必死に謝る姿を見ても愛しさすら戻らない。

ただ信頼を裏切られたという気持ちと、所詮はその程度にしか愛されていなかったんだなという思いしか浮かばなかった。



「でも他の女の誘惑にのる程度の愛情しか私にはなかったってことでしょう?

 悪いけどもう終りにしましょう。」

「!?ま、待ってくれよ柚っ!」



 人の多いカフェの一角でのもつれ話に周囲の視線が集まっていたけれど知ったことじゃない。

コーヒー代をテーブルに置いて立ち上がる私の腕を掴んで止めようとするけど、私はその手を乱暴に振り払って最終通告を宣言した。



「…浮気だけはしないでねって、私最初にお願いしたでしょう?

 そんな簡単な約束も守れないなら私にはこの関係を続ける意味が無いわ。」



呆然と立ち尽くした彼を置いて私はカフェを後にした。




 たった一度の浮気でそれは厳しいんじゃないのっていう意見があるかもしれないけど、今でも人目を気にせずラブラブな両親を見て育った私には浮気なんてもってのほか。有り得ない事だ。

 自分で言うのもなんだけど、私は可愛いというより母に似て外見はクールな美人系の顔立ちだ。

でも心は乙女一色で父の様な素敵な相手に巡り合い素敵な夫婦になることを小さい頃から夢見ている。

しかし父のように博識で優しくレディファーストな男性を見つけ出し、恋人になったとしても数年後浮気をされて別れるはめになるのはこれで2度目の経験だった。

 こちらとしては人柄に惚れ込み告白をして付き合ってもらって、愛情を注ぎ尽くしているというのにそれを裏切られ半ば人間不信というか男性不信になりかけている。

別に過剰な束縛や愛情を注いでるわけではないけれど、両親の様に愛した人は甘やかしたいし尽くしたいとは思っている。

けれど友人に言わせると私のそれは「あんたは男をつけあがらせてダメにする魔性の女だわ。」になるらしい。そんなつもりは全くないんだけど。

ただ、今度の恋人は友人の助言を元に「パパさんみたいにママさんの魔性に耐えうるちょっと天然な男の方がいいんじゃない?」と言う少し天然なのほほんとした人を選んだつもりだったんだけど、私の男運は最低だったらしい。







 彼と別れた後はコンビニでやけ酒だ!とビールに焼酎、ウオッカ諸々を買い込みほろほろ歩きながら飲み歩く。飲まないとやってられない気分だからしょうがない。



「はぁああ…。なんでこうなるのかな…。」



こちちは真剣に結婚という未来まで見据えて大事に愛を育もうとしていたのに、どうして相手は同じように真剣に愛してくれないんだろうか。

こちらに落ち度があったのなら言ってくれれば改善するし、そうやっていい関係を一緒に築いていきたいとも思っていた。

 ただただ大好きな人と年をとっても仲良くニコニコ笑っていられる両親の様になりたい。

そんな自分と同じ思いを相手に望むのは贅沢な望みなんだろうか。



「今度はきっと上手くいくと思っていたのに…。

 運命っていう奇跡って存在しないのかしら…。」



 涙をぐっと我慢しながら歩道橋の上でやけ酒を煽り、流れていく車の列をぼんやりと眺める。

自暴自棄で自殺を考えてるわけでもないけど、ただ今は何にも考えたくない。

 しかしその何も考えたくなくて酒を煽るだけ煽ったのがまずかった。

酔いを自覚しほろ酔い気分になってきた所で帰宅しようとしていた私は見事に階段の上から足を滑らした。

あっと思う間も無く体は落下して痛みと衝撃に耐えるため反射的にギュッと目をつぶり、どんっとやってくるだろう衝撃に備えた。

けれど思っていた程の痛みと衝撃がなくて恐る恐る目を開けるとハリウッド俳優のレベルを遥かに超える銀髪で青い目の精悍なイケメンの顔が目の前にあった。

どうやら私は今、あの世からお迎えに来た使者にお姫様抱っこをされているみたいだ。

しかし驚いているのは私だけではなく目の前の彼も何故だか目を見開いて驚いている。



「私…死んじゃったのね…。ああ、なんて呆気ない最後なのかしら…。」

「いや、そなたは死んではいないと思うが…。」

「ここ天国か地獄でしょ?あなたお迎えでしょ?

別にもう死んじゃったんならいいのよ死んだで。

 次生まれ変わるときはもっといい人生を歩むから。」

「いや、だからだな。そなたはどう見ても…」

「大体神様もちょっとは乙女な夢を叶えてくれたっていいと思うの!

 見た目とはちょっとギャップがあるって言われるけど私は余所見もせず常に一途だっていうのに!

 ただ、私だけの運命の相手をいっぱい愛してそして愛されたいだけだったのに…っ」



 酔っているせいと死んで終わったと思い込んでいたこともあり、私は子供のように彼の腕の中でわんわん泣き散らかした。おまけに泣く私を慰めようとおろおろする彼にコンビニで買った酒の残りを無理やり分け与え、愚痴に愚痴を重ね絡みに絡んだ。

…と、翌日ふわふわのベットで目覚め、女の人に身支度され、案内された先にいたあの世のお迎えだと思っていた彼、エリオットから前日の私の痴態を聞かされた。


 そしてよくある話のよくある設定のように、私は階段から落っこちた時にこのルバブーティエルという世界のエンディバンという国の王宮騎士団長様の執務室の中に現れて、この国の第三王子でもある騎士団長様の腕の中に落っこちた私は《迷い人》として保護されることになった。

 昔私と同じようにこのエンディバン国に《迷い人》として異世界からやって来た人が王妃となった過去があった為、私の扱いは伝説の王妃様再来だと歓迎された。

伝説として語り継がれる王妃様とはどうやら同郷の黒髪黒目の日本人らしく彼女が残した多くのものが今もこの世界に多く浸透している。

伝説として今も語られるのは彼女のそうした功績で国が発展し、国民達の生活も向上したから今も伝説にされ愛されているようだった。

お陰で馴染みのあるものも多くて生活がし易くそこはありがたく思っている。

 そして第一発見者としてエリオットが私の生活から身元までを保護しようとしてくれたのは本当にありがたいのだけれど全てを任せてしまうのは申し訳なくて、私は気持ちだけ受け取って彼の乳母の姉(貴族ではあるものの商人に嫁いだらしく)が経営する街の一般食堂で住み込みで働かせてもらうことにした。

 慣れないうちは失敗もあり覚えることもいっぱいで大変だったけれど、半月ほどもすればウエイトレスの仕事にも慣れた。

 私の容姿が他人にどう映るかは昔からよく知っていたから、《美人店員がいるお店》という口コミでお客が増え店に貢献できることはうれしかった。

ただ増えるのは男性客ばかりで、普通の男なら簡単にあしらう術は身に着けていたからそれほど困ったことにはならないのだけれどガラの悪い男達には困らされた。

笑顔でスルーして対処していたけれど下品な言葉を飛ばしてくるし、健全な食堂なのに夜の店の様に体に触れようとする。

そいつらのせいで一般客も逃げていくしで本当にいい迷惑だった。

 そんな鬱憤もあったある日、やってきたゴロツキ男に俺の女にならねぇかと腕をつかまれセクハラまがいのことをされたので私は笑顔で急所を蹴り上げ、うずくまった男の頭を上から力強く踏みつけてやった。



「もう少し女性の口説き方をお勉強してから出直してきてくださいませんかしら。お客様?」



 私の言葉に男は勿論逆上した。

私もそれなりに護身術を習っていたのでさっと身構えたのだけれど、とてもいいタイミングでエリオットが共の騎士を連れて店に現れたので男は難なく取り押さえられ連れて行かれた。

 エリオットはとても過保護な人で、働き始めた頃は毎日店に私の様子を見に足を運んでくれた。

心配してもらえるのは嬉しいのだけれど彼が騎士団長という立場なので、さすがに一週間続いた後もう少し来店頻度を抑えてもらい一週間に一度の訪問にしてもらった。

ただ今日はその日ではなかったのでエリオットが現れた事にはさすがに驚いたけれど、素直にお礼を言っておいた。

 けれどこの日を境に騎士を引き連れたエリオットは毎日街を巡回し、仕事終わりにはこの店に現れるようになった。

こんな事件が起きたので心配だと言って、どうしても来れない日は別の騎士の方々が見回りといってやってくるようになった。

 事件様々ではないけれどこれを境に騎士の方々を身近で見ようと若い女性客も増えるようになったし、一般客も戻ってくるようになった。

それに私の知り得る日本食もどきのメニューもいくつか追加されてそれも順調に好評を得て客足に貢献出来ている。


 そんな順調な日々を送っていたある日エリオットに休日に街や自然溢れる場所に気分転換に出かけないかと誘われるようになった。

 彼が真面目で堅物で誠実だというのは彼の部下である騎士の皆さんからよく聞かされるし、最初の出会いがあってなお軽蔑されることなく良くしてくれるエリオットには信頼しかないので休日のお出掛けは私も楽しみにしていた。

 もう当分恋愛はこりごりだった心境からエリオットともよき友人として接していたんだけど、知れば知るほど彼が完璧超人過ぎて困っている。

 王家の血を引いているから血筋もマナーも完璧。

レディファーストも完璧だけど、軟派な感じはなく誰彼構わず優しい訳でもない。

騎士として完璧で、人の上に立つ風格と強さも完璧。

人として完璧過ぎる彼に恐れ多すぎるんだけど、殆どの休日を彼は私と過ごしてくれる。

 毎日お疲れだろうから休日は体を休ませて欲しいと気にかけても大丈夫の一点張りだし、むしろ気分転換になるとさえ言われる始末。

 沢山の時間を一緒に重ねるうちに私は当然のように彼に惹かれていたけれど、言葉にはしなかった。

ただ少しは態度に出てしまっていたかも知れないけれど、二人で過ごす穏やかな時間が崩れるのが嫌で言えなかった。今のまま小さな幸せに浸っている位が未来に怯えなくていいと思ったし、不安になるのも嫌だった。

 初めて会った時に散々愚痴ったからエリオットも知っているけれど、わたしはもう裏切られたくない。

裏切られるのが怖くて不安にもなりたくない。だから友人のままがいい。

 そう思っているからやんわりとエリオットを突き放すこともある。

 誠実な彼が休日になれば私だけを誘いに来て次の約束をしていく意味を私もわからないほど子供でもないから。


 彼は言葉にはしないけれど決して強引ではない態度で好意を示してくる。

別れ際、挨拶の時に手の甲にキスをしながら真っ直ぐに見つめてくる事や、休日のお出掛けでの手繋ぎ。

好きというストレートな言葉ではない好意の言葉。

 押し切れない焦れったい私に苛つくことも急かすこともしない。

だから私は少しづつ彼への信頼を固めながら確実に彼に心を向けていた。

 

 恋人ではなかったけれど、周りからそう言われても可笑しくない時間を私達は過ごしていた。

そして一年程経ったある日、私達の関係は動き出した。

 

 それは休日でもない平日の真っ昼間。

エリオットも城で働いている時間帯だし、お客さんか沢山いる時間帯でもあった。

 だからエリオットが入店してきた時には本当に驚かされた。

 


「エリオット!?…どうしたの、こんな時間に。」



 何か事件でもあったのかと思ったけれど、彼は私の手を掴んで予約席へと座った。


 

「エ、エリオット?私仕事中なんだけど…。」

「大丈夫だ。話はちゃんと通してある。少し私の話を聞いてくれないか。」 


 

 彼はそういって向かいの席を勧めてくる。

訳の分からない私は困って厨房の方に視線を向けるとお世話になってるスタッフの皆がウンウンと頷いているのが見えた。

事前に彼が来ることを聞いていないのは私だけだったみたいで、仕方なく促されるまま彼の前の席に腰を下ろした。

 そのタイミングで彼は小脇に抱えていた箱をテーブルの上に置き私の方に押し出してきた。

 良く見ると箱の上にはリボンのついた小さな可愛らしい鍵も置いてある。

 ????でいっぱいの頭のまま箱からエリオットに視線を向けると、彼は座っていたイスから腰を上げて私の足元に跪き、私の手をとって懇願するように額をつけた。


 

「ユズ、私は今日そなたにお願いをしに来た。

 私は気持ちを隠す気はなかったからそなたも気付いてはいただろう。

 ただ、傷ついているユズの心に無理をさせるのは憚られ今まで側で見守ってきた。

 けれど私は初めて会った時からユズの純粋な心に惹かれて側で私が見守りたいと思ってしまった。

 会う度に思いは溢れ嬉しい度に切なくなる。

 ユズの心ごと抱き締めたいのに抱き締められないことがとても苦しい。

 だからユズ、結婚を前提に私の恋人になってくれないだろうか。

 共に過ごし、愛し、いつまでも側で笑っていて欲しいんだ。」 

 


 思ってもいないプロポーズに私は驚き固まってしまったけど、どんどんと涙が溢れてきた。

とても嬉しいのに信じて裏切られる怖さがしこりの様に心の奥にはやっぱりまだあって。

 今は愛してくれてても、この人も心変わりをするかもしれない。浮気をするかもしれない。

自分じゃない人の心なんて私には見えないから、また裏切られるかもしれないと思う心がブレーキをかける。

 


「…ユズ、私はユズの心の不安を理解している。だが、心配はいらない。」



 テーブルの上の箱(とその上の鍵)を私に握らせると静かに蓋を開いた。


 

「結婚を誓った二人が身に着ける愛の証だ。

 互いに身につけ鍵を肌身離さず持つ。

 私はもう身につけている。

 だからどうかユズにも身につけて欲しい。」

 


 箱の中のとんでもない物を見せられて、嬉しさも不安もぶっ飛ぶ位驚いた私は彼から蓋を奪って慌てて閉めた。

 見間違いかと思いたかったけどじっくり10秒は固まって見てしまったので勘違いではないと思う。

 驚きで涙は止まったけど、まさか完璧超人にこんな趣味があったなんて……。


 

「ご、ごめんなさいっ。

  わ、私無理よっ!エリオットの事は好きだけどそんな趣向はないからっ!」

「……趣向?」


 

 キョトンとした顔で首をかしげるエリオットがなんだか可愛かったけど、今は可愛いなんて思う心の余裕はない。

 彼は“これ”を“今”身につけているんだから。


 

「私SM趣味と無いしっ、エリオットにはもっと他の人が似合うと思うっ。」


 

 エリオットはいい人だしきっと同じ趣味の人とすぐに出会えるはずだからとそう訴えたら、両手首を捕まれて真剣な顔を向けられた。



「“えすえむ”という物は分からないが、私はユズだけを愛しユズだけに愛されたい。

 良い夫として尽くし二人で穏やかに暮らしていきたいと思っている。

 ユズの信頼を裏切るような真似はしない。」

「……っ!?…………!?」

 


 も う わ け が わ か ら な い。


 話が噛み合わない事にさらに混乱してしまった私は感情が振り切れて子供の様にわぁわぁと泣きだした。

 


「ユ、ユズッ!?……ど、どうした?」

 


 おろおろしているエリオットが慰めようとしているけれど、私だってどうして良いのか分からない。

もう何も考えたくないというのが本音だったけど、ふわりとエリオットに抱き上げられ椅子に腰かけたエリオットの膝上に座らされた。

 


「……ユズ、不安があるなら沢山話し合おう。

 話し合って二人で良い道を探していこう。

 泣いて怒ってもいい。最後は二人で笑えるように。」


 

 エリオットの極上笑顔を向けられる。

これが何でもない普段の生活の中で向けられた物だったら完全に胸キュンだったのに、お尻の下に意識がもっていかれる。

 

 下着ではあり得ない、鉄壁ガードの様な硬い物。

 

 私の脳内の許容範囲が振り切れて、本当にぷっつりと気を失った。

 

 

 

 

 

 

 目覚めると私は自分の部屋のベッドの上にいた。

ベッドの脇の椅子に腰かけていたエリオットも私が目を覚ますと心配そうに覗き込んできた。

 悪い夢を見ていた様で頭が凄く重かったけど、エリオットがいる手前寝ているのも申し訳なくて上半身だけでも起こす。

 けれどそのせいでベット脇のテーブルの上の箱に気付いてしまった。

 気を失う前に見た悪夢の元に顔からさーと血の気が引き、そんな私の様子を見ていたエリオットは私の手を握って静かに問いかける。

 私の慌て様と拒絶の原因は何なのか急かすことなくじっと待ってくれたので、私はたどたどしくも言葉にする。

 そして問題の“それ”の二人の間の認識の違いに私達は驚いた。

 彼曰く、この世界での“それ”は伝説となった王妃様がもたらした夫婦の愛の証らしい。

 一夫多妻の王家の法則もそれにより一夫一妻になり政略結婚は恋愛結婚重視へ、身分に関わらない教育制度の確率、死語とも身分制よりも能力重視に制度を変え、女性の身分向上、道路や水路整備、とにかく様々な事に貢献した伝説の王妃様が浮気防止の愛の証としてもたらしたものなので身分問わず婚約の際に渡すものだと浸透しているらしい。

 …確かに私の世界でも昔は妻の不義を防ぐ為に着けさせていた貴族もいたという話はあるけれど、現代では大人のSMプレイ等に使用されていると思うという話を噛み砕いて話すとエリオットは固まっていた。

 こちらの世界では神聖で結婚指輪の代わりの物でも私の世界ではアブノーマルな趣向の人が使う物だからその認識の違いに私の混乱もよく理解してくれてとても謝られた。

 ただこちらの世界では結婚を誓い不義を起こさないために互いに贈り合うことはもう日常と同じ事なのでそれも否定せず受け入れられなくても文化としてゆっくり理解して欲しいと言われた。

 ただそう言われて街中で暮らしている人々の中で結婚している方々が全員“あれ”を身につけている事を想像してしまった私はまた頭がパンクして気を失ってしまった。


 

 

 

 

 

 まぁそれからどうなったのかと言うと……

 

 私はエリオットのプロポーズを受け入れ今は婚約者として彼の屋敷で暮らしている。

 仕事は今まで通り続けているけれど、毎日エリオットが仕事終わりに迎えに来てくれて一緒に帰るのが日課になっている。

 ……例の“あれ”については一先ず保留をいただいている。

ただ、本音は私だけは一生関わらずに過ごしたい。

でもエリオットの方の“あれ”の鍵は愛の証だからと断ることが出来なくて持たされている。

 この件さえなければ本当に求めていた両親の様な愛の溢れる幸せな日常だし、文句の付け所のない究極の運命の相手だと思う。

 ……まぁ幸せだから今は目をつぶっておくけど。

 

 

 それからエリオットが王家の血筋の人だから、お城に行って王様達にも婚約の報告と挨拶をした。

その際、エリオットは私にお城に飾られた伝説の王妃様の絵画を見せてくれた。

 長い黒髪の美しくて色気のあるナイスバディの王妃様とその隣には少しエリオットに似た美男子の王様の二人の姿絵は本当に素晴らしかった。

 でもこの淑やかな人が“あれ”を後世に残したとはとても思えないと思っていたらエリオットに別室へ案内された。

 王家だけが入れる秘密の部屋には沢山の絵画があったけれど、その中の一際大きな絵画には例の伝説の王妃様の姿と王様の姿があった。

 ただ先程の淑やかな姿とは一転、黒のボンテージスーツに身を包み、首輪をつけて四つん這いになっている王様の背中に片足を乗せて首輪の手綱を引いている女王様モードな姿ではあったが。

 話によると王妃様はこの姿でこの世界にやってきて王様と出会ったらしい。

 お二人とも恍惚とした表情をしておられるのでこれもまた愛の営みなのでしょうが、……ドン引きでした。

 

 同郷である今は伝説になった王妃様はこの世界をずいぶん調教……いや謳歌して逝かれたんだろうなと絵画の笑顔で思う。

 後世に残された中にありがたい物も有るものの、浮気防止という名目で残していった愛の証だけは本当にありがた迷惑以外の何者でも無い。負の遺産だ。

 

 異世界の貞操概念はおかしいと思ったけど、おかしいのは異世界じゃなくて発端は同郷者なので……ちょっと文句が言いづらい。むしろ謝らないといけないかもしれない。

 変な文化を押し付けてごめんなさい。

 私も今、本当に苦労してるから!

 

 

 

 

 《終わり》

 

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