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  幻界創世記 作者:冬泉

わだかまりの解けた二人の絆は更に強固になる・・・
第二章「仲間と呼ばれて」
STAGE02◆「仲間、と呼ばれて」-SCENE#8
■UNO学院/学部棟/屋上→リフトホール

 屋上を後にすると、翔と彰はリフトホールへの階段をゆっくりと下った。途中、折り返しの踊り場を抜けたところで、翔がおもむろに口を開いた。

「彰。ちょっと聞いてくれるかい?」

 翔の声は真剣だった。彰は、いいぜ、話してみろよと気軽に応じる。

「自分の自己満足だって事は判っている。それでも、これからの君とのことを考えると、どうしてもはっきりさせておきたい」
「何をだよ?」
「僕は、君のことを羨んでいたんだと思う」

 大きく息を吸うと、翔はゆっくりと先を続けた。

「僕と違って明るくて、決断が早くて何でもできて・・・正直、君に嫉妬していたと思う」

 黙って、聞いている彰。

「漸く自分で出した結果も、君に取られるかも知れないと思った。神和姫先輩にも指摘されたけど、本当に自分でも嫌気がさすよ。それでも、僕は君と友人でいたい。こんな僕でも友人でいさせてくれるなら・・・」

「ざーけてんじゃねぇよ、翔」

 彰は、翔に仕舞いまで言わせなかった。顰めっ面をしながら、彰は強く言った。

「俺のセリフを取らないでくれよ、翔。だいたいな、俺の方こそ、お前に謝んなきゃならないことがある」
「彰が?」
「そうさ。俺こそ、お前のことが羨ましくなっちまったのさ」
「えぇ?!」

 心底驚いた表情の翔に、彰は、何だよ気が付いてなかったのか? と、呆れた様な笑みを浮かべた。

「あぁ。お前は俺には無い才能を持っててよ、俺よりも真面目で物事をとことん追求する。そんな殊勝なこと、俺には出来ない。正直、先輩とサシで話しているお前が羨ましかった。俺も参加したかったが、自分の実力じゃどうにもなんないってことも判ってた。だから、ちょっと卑怯な手を使っちまったよ」

 はぁ、と彰は肩を僅かに落として溜息を付いた。

「でもな、先輩の言葉を聞いて──これじゃアカンと思ったんだ。このまま、翔と袂を分かってしまっていいのかってな」
「それは──ぼくもそう思った。最後の最後で・・・ここで踏み留まらなきゃ駄目だって思ったら、自然に言葉が出ていたんだ」

 翔は自分の言葉に苦笑いしながら言った。

「それもこれも、その事を気づかせてくれた人のおかげだけどね」
「そっか。そいつはホントによかったな」

 そうだね、と頷く翔。

「お互い、動機は似た様なもんだったってことか・・・」
「そういうことだな」
「そうか」
「そうだぜ」

 何時しか、二人の表情には笑みが浮かんでいた。あははは、と笑い始めると、それが止まらなくなる。二人で腹を抱えて涙が出るまで笑った。

「なぁ、翔」
「なんだい?」
「もっと気兼ねなく、お互いに色んな事を話そうぜ。こんなこたぁ、もうこれっきりで御免だぜ」
「そうだね。僕もそう思う。彰とはずっと友達でいたい。だから──隠し事何かしたくない」
「なら、友情の再確認と行くか!」
「ははは、全く彰らしいね」

 がっちりと握手する二人。二人の絆が、今まで以上に固く組み合わさった瞬間だった。彰は、翔の手を握りながらもにやりと笑って宣言した。

「でもな、翔。神和姫先輩のことは簡単には譲らないからな!」
「はぁ、まだそれかよ、彰」
「それ以外に、何かあるって言うんだよ翔!」

 ここがポイントなんだぜ、翔はホントに判ってないな、などと一人で盛り上がっている彰の傍らで、賞は大きく溜息を付いた。はたして彰と友人を続けるのは本当に賢い判断だったのか、今一自信が持てない翔だった。

☆☆ SCENE#9に続く ☆☆
 言葉にしないと、旨く伝わらないことがあります。自分の価値観を相手に押しつけると、無用な軋轢を生みます。相手の価値観を認め、自分の価値観を話してみる。お互いの、相互理解への第一歩です。翔も彰もまだまだ未熟ではありますが、それでもお互いの事を理解しようと勇気を振り絞りました。この一歩は、きっと今後の二人にとって大きな力となることでしょう。


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