英雄学園・ブランときーくん
復讐したい相手がこの学園の勇者学科にいることが判明したため、復讐を果たすためにオレも勇者学科に入った。
「そういえば、アイツってまだこの学園にいるのかな」
入学してから今までアイツを捜し続けているが、いつの間にか三年になってしまった。アイツはもうとっくに卒業してしまったかもしれない。
「テメーがチンタラしてっからだろうがクソが!」
耳に入ってくるのは間違えようもなく自分自身の声で。
「そんな言い方はだめだよ、ブラン」
ちゃんと自分の意志によらず口が動くのも感じている。
本当はこの体の主は口の悪いあっちなんだけど、訳あって今はオレがこの体の所有権を有している。
普段は勝手に体が動かないように意識してるんだけど、今は周りに誰もいないからまぁいっかなって。
オレはきーくんと呼ばれていて、この体、ブラン・キッツェに幼い頃から寄生している寄生植物だ。
相性が悪いと発芽しただけで宿主が死んでしまうんだけど、オレとブランは相性がよかったみたいで、宿主ともどもいままで成長できたし、左手の甲にはきれいな花まで咲いている。
もしかしたらブランが木属性だってことも関係あるのかもしれないな。
あ、ちなみに多年草だから、毎年新しい花が咲くよ。
「オレだってちゃんと探してたんだよ?」
「噴水んとこでバァサンに占ってもらったり植物園いって一日中交配相手探してたりかァ?!」
「彼女って言ってよ。自家受精できないんだから、子孫を残すには大切なの。
それに、トエおばあちゃんにはちゃんと、在学中に捜し物が見つかるって言われたじゃないか」
「ソレはテメーの交配相手だろうがッ!!」
「そ、そうとは言い切れないじゃない」
「テメーあん時オレの捜し物は見つかりますかってはっきり言ってたじゃねーか!」
「お、オレの捜し物はブランの捜し物でもあるんだから、き、きききっとあれは──」
「テメーの考えてることなんざバレバレなんだよ!」
「え!? オレのことなんてお見通しだって? 愛のちからかな?」
「ざけんな」
(仮)様のトエばあちゃんをこっそりお借りしました。