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3回目:初めての大学
入学式の日、キャンパス内はどこもかしこもサークルの勧誘で必死だった。

ぱっと見ただけならあたしの耳が不自由だなんて誰も気がつかない。
それが聴覚障害者の良いところでもあり、悪いところでもある。
真新しいスーツを着たあたしの周りを先輩たちが取り囲んで、話しかけてくる。

今はもう、ゆっくり話してくれたなら口の形で何を言っているかはだいたいわかるのだけど。
ダメだ、速すぎる。
あたしは口を閉じたまま、おじぎをして立ち去ることしかできない。
だけど、通してくれない。
腕をつかまれて、先輩たちは話し続ける。
あたしは無理に間を抜けていく。そのとき肩が少しぶつかった。

「なに、あの一年」

「チョーシ乗ってるね」

なんて言ってる。きっと、言ってる。
でも、耐えるんだ。
あたしはまだ、障害者でないあたしでいたかったから。
四年間も過ごす大学だ。
最初の数日ぐらい、あたしもふつうの子として。。


あたしは入学前から決めていたことがあった。
それは手話サークルに入ること。
手話サークルのみんなならきっとあたしの障害を理解してくれるし、手話で会話もできる。

やっとふつうの友達があたしにもできるんだ。
そう思うと嬉しくて仕方なかった。
大量に渡されたビラの中から手話サークルを探し出す。
あった。
そこに書かれた文字を読む。


第一回新入生歓迎コンパ4/12(土) 岬町駅前ロータリー17:30集合


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