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私の知っている都会と違う

僕の知っている世界と違う

作者: KEITA

※別短編「私の知っている都会と違う」の裏話なので、読まれる方はそちらを先にどうぞ

※この世界の成人は16歳からですが、飲酒可能年齢は15歳からという設定です(半端!

 

 ――「お貴族さま」も「平民さま」も、両方が蔓延るこの世界はどこを見渡してもクズしか無い。厭わしくて愚かしくて、大嫌いでたまらない世界。



 貴族の妾腹なんていうと、世の人は大抵顔を顰める。というのもこの世界、貴族というものは悪い意味で目立つ階級だからだ。

「上流階級」「貴い富を受け継ぐ者」なんて呼び名が聞いて呆れる、現代貴族の立ち居地なんざ実際平民より低い。財力権力を欲しいままにした興盛は古代王政時がピーク、あとは時代と共に叩きのめされ、出る杭は打たれ、王制完全廃止と共に低く平らに均され「まあそれでも称号と財産くらいは残してやるよ、維持できるもんならやってみな」程度の情けで今に至る。元々身分社会ってのは民主主義とは両立しにくいもの、一時期「時代をまた貴族の手に!」なんていう空気読めない一部が頑張ってくれたお陰で、貴族への風当たりはますます強まった。そういうわけで、今じゃ貴族は立派に「平民さま」の奴隷だ。

 要は古代の王制から続く家系図と銀印入り証書を持っているかいないかの差でしかない。貧富の差が曖昧なのに付け加え、男の当主は貴族だからという理由で3K(キツイ・汚い・危険)な仕事を押し付けられたりもする。例えば政犯の拷問とか過酷戦線の指揮官とか。そんなん底辺の仕事より楽だろという奴の胸倉を掴んで問いたい、「職業軍人でもないお前はお前以外の者すべてが苦しむ職場で、精神を病まず職務をまっとう出来るのか」と。実際、それで何人もの貴族が病んだ。しかしそんな事実を知らない平民さまは言う、「お貴族さまっていいよな」と。代われるもんなら代わってやる。

 そんなわけで、妾の子供はそれだけで厳しい目にさらされるのだ。「お貴族さまの道楽で生まれたおぼっちゃまですか、いいご身分ですね、くたばれ」実際言われたことは無いが行動で何度も示された。学徒時代は座っていると上からゴミが降ってきたり歩いていると脚を引っ掛けられたりするので、用足しや貴重書物を抱えての移動はいつも周りの目を気にしながらだった。落ち着く場所といえば自宅しかない。

 怒りも悲しみも劣等感も悔しさも、小さい頃は人並みには感じていたがそれを表に出したところでどうにもならない。めそめそと泣きながら切り裂かれた本を修繕し、吐き気を堪えながら鞄から鼠の死骸を取り出して埋め、捨てられた靴の代わりに裸足で自宅に帰った。やられた相手に報復出来るまでの体力や虐めを回避出来るだけの知力が身につくまで、そんな毎日が通常だった。そうしていくうち、すべてをなあなあで流す今の自分が形づくられたのかもしれない。


 自分の母親は下町育ちの貧乏貴族である。先の王制廃止の波を受け、土地財産を維持出来なかったたぐいの没落一派だ。持っているのははした金にもならない家系図と称号だけ、下町育ちの半平民化した娘は宿場で働くうち、お忍びで飲みに来ていた金持ち貴族の当主と懇意になって身篭った。彼に迷惑をかけたくないと娘は行方をくらまし、子を一人で産んだ。それが自分である。ちなみに娘はその後、追いかけてきた貴族当主に強引に連れ戻され、半分脅しと泣き落としで妾となることを承諾させられた。

 そういうわけなので、自分が赤ん坊の頃はそれなりに悶着があった。異母兄は既に生まれていたので家督問題は無かったにせよ、貴族への風当たりが強い中での妾の存在、不倫によって生まれた子供が歓迎されるわけがない。色々とうるさかった親戚一同が最終的に黙ったのは娘が一応貴族の端くれであったこと、そして妾の立ち場から決して出しゃばらなかったこと等による。そして今の自分が心身共に無事に育ったのは他でもない、最も怒って然るべき正妻の子供達――自分のとっての異母兄姉だ――が家族の輪に迎え入れてくれたからだ。

 貴族当主の正妻は、ごく普通に自分達母子を厭った。それは当然のことであるが、彼女の子供らはそうではなかった。父親の不義の結果であり現代貴族の身では厭われる妾腹、なのにそんなことは子供には関係無いとばかりに異母弟を可愛がってくれて、不相応なほど厚く接してくれた。自分が学校で虐められていることを知り報復や回避の術を教えてくれたのは異母兄だったし、壊された道具の代わりとなるものを譲ってくれて、傷だらけの両足を手当してくれたのは異母姉だった。兄は「うちの家の者が馬鹿にされるのは赦さない、強くなれ」と叱咤し、姉は「お母様には内緒ね」と寂しそうに微笑んだ。それだけで、彼らもずっと耐えてきたんだとわかった。兄上も姉上も、ずっとこの馬鹿馬鹿しい社会で息を詰めながら、それでも自分に出来ることを精一杯やろうとしているのだと。

 愚かしい「お貴族さま」の枠組み、そんなところに自分達を引きずりこんだ父親は今でも嫌いだ。そんな父親を慕う母親も我慢ならないし、自分達を目の敵にする「奥様」も苦手だ。形ばかり平等を旨とし、その裏で貴族に八つ当たる「平民さま」も大嫌いだ。……でも、兄上と姉上は違う。大嫌いな世界の中で、それでも慕わしいものはある。矛盾する思い、しかし社会はそんな未熟な小僧の覚悟が固まるのを待ってはくれない。

 兄上が家督を継ぐ頃合い、その地位を磐石にするため政略結婚なんていう時代後れな縁談が持ち上がった。相手は金持ちの「平民さま」だ。貴族であっても男より女の地位は格段に低く、当主の血統さえ磐石ならその他は捨て駒同然となる。大好きな姉上が倍以上年上の相手に嫁がされることになり、しかもその嫁ぎ先は治安の悪い場所で有名と知り、その時ばかりは本気でこの世界をぶち壊してやろうかと思った。でも当の姉上も兄上も、静かに弟を諌めた。これがこの社会の普通なのだと。

「一見厭わしいものでも、そこに絶望しか見出さないか明るい未来を見つけるかは、自分次第なのよ」

「この縁談を不幸なものと決めつけるのはお前の姉に対し不孝であり、筋違いだ」

 悔しかった。彼らの器の大きさに及ばない自分が。そして彼らの思いに触れてなお、納得できない自分が。姉上は夜中にひっそりと泣いているくせに、それを兄上もわかっているくせに、どうしてそんな強がりを言う。どうしてこんな世界で、そんな理不尽を赦すんだ。自分はやっぱり、「お貴族さま」の世界も「平民さま」の世界も好きになれそうもない。

 姉上が嫁いで行ったその日、兄上に言った。「自分はこの家を出ます」と。

 せめてこの屑山ばかりの世界を、ゴミ溜めの片隅から、少しでも綺麗にしていきたい。



「なぁんだ、旦那様ってシスコンだったんですねー」

「その言い方やめてくれないかな」

「事実でしょ」

「……」

「ほぅら」


 けらけら、と笑いつつ目の前の女の子は硝子の器を呷る。飲酒可能年齢になってから、ちょっと試しに一杯やろうともちかけたこちらが悪かった。今じゃ完全に後悔している。

「旦那様のシスコン。あまえんぼー」

 まさか、こんなに酒癖が悪いとは。元々ずけずけ言う子だけど、酒が入ると主従の遠慮が完全に取っ払われるらしく、通常比1,5倍くらい口が悪くなっている。

「で? 大好きなねーちゃんにフられてやけっぱちになった旦那様は、やけっぱちのままお役所の一番キッツイ犯罪捜査係に就職したんですねー」

「……。色々訂正したいことはあるけど、まあ大体はその通りだよ」

「たんじゅんー」

 赤く染まった頬でうふふ、と笑う女の子。白く細い首がこくこくと新たな酒を飲み下し、つうっとその唇の端から雫が垂れるのを手の甲で拭う。年頃だってのに、どうして男の前でこんなに無防備なのか。

 ぷはあ、と息をついてから、潤んだ瞳がこちらを見る。

「だいたいー、『ゴミ溜めの片隅から、少しでも綺麗にしていきたい』って言っても自分がゴミ溜め作ってちゃ意味無いでしょ。このお屋敷に来たとき我が目を疑いましたよーあんまり汚いお屋敷だったから。なーんでこんなにも家事出来ないんですか。お掃除出来ないしー片付けられないしーお料理もヘタだしーいい歳してー独り身でーイロイロこじらせちゃってー。ダメダメじゃないですかぁ」

「……耳が痛いなあ」

 苦笑しながら、さり気なく酒瓶を手元に戻す。もうこれ以上の酒は毒だろう。

「あのですねえ旦那様、」

 むう、と唇を尖らせた女の子は、テーブルの上で身を乗り出して瓶を取り返そうとする。勢い余ってこちらの胸に飛び込んで、ぎゅっと服を握り締めながら見上げてくるこの一連の態度、計算でなく天然なのだからタチが悪い。

「旦那様はねぇ、もっともっとたっくさんのものを望むべきですよ。だってたっくさん苦労してきたんだから。望んでもないのにーお貴族さまの生活に入れられてー好きでもないのにー危ない仕事たっくさんやらされてーヘンな噂流されてーそれでも怒らないって有り得ないですよ。私だったらプンプンです」

「……君、人の話きいてた?」

「だーかーらー、もっとそういうのを外に出さなきゃ駄目なんですっ!旦那様がそんなんだからー近所のよく知らない人達に『胡散臭い』だの『貴族の道楽息子のお遊び』だの言われるんですっもーゆるせませんよ」

 そういえばこの子、最近屋敷を留守にするなあと思った。町内会に頻繁に顔出し、街のボランティア活動に精を出し、少しでもこのゴミ屋敷の主人の評判を取り戻そうと必死らしい。前に「別に構わない」ことを言っておいたというのに、本当にお節介な働き者且つお人よしな子である。

「だって、だってぇ。ゆるせない、んだもん」

 いつのまにかめそめそと、腕の中で泣き始めた女の子。どうやら絡み酒の泣き上戸だったらしい。これは参った。

 ぎゅっとこちらの胸に縋りつき、酒気で熱くなった吐息をこちらの首に浴びせ、そしてこんなことを言う。

「だんなさまのこと、だいすきなのに。だいすきなひとのこと悪くいわれるの、ゆるせない」

 本当に、参る。




 完全に酔いつぶれてしまった女の子を部屋まで運び、寝台に寝かせて傍らに水差しを置き、その場を離れる。部屋の扉を静かに閉めたあと、ごつん、と額をそこに打ち付けた。

『だいすきなのに』

「―――僕も、」

 自嘲混じりに、まだ伝えられない言葉を呟く。

「僕も、好きだよ。愛してる」

 俯いた先、また笑いが洩れた。ちっとも酔えなかったものが、ほろ苦い想いとなって零れ落ちる。




 二階の自室に入ってのち、散らかっている書類の山から適当に数枚引っ張り出し、それを前に頭を抱える。

 駄目だ、と思った。最も理想に近い具体案として手始めに画策してはみたが、この一案は廃棄せざるを得ない。ビリビリと細かくそれを引き裂いて屑籠に――見つからなかったのでその辺の紙に包んで床に放って、そしてまた新たな書類を引っ張りだす。山となったそこが崩れたが、重要書類には被らなかったので放置するとして。

 第二案。それは、あまり考えたくなかったものだ。なぜって、彼女を危険にさらすから。でも、最初の案が役立たずとなった今、考えられるのはこれしかない。


―――彼女を、「お貴族さま」の世界に引っ張り込む。


 本来なら唾棄すべき案だ。今までの自分であったならこれは最も避けたい愚挙であり、最も忌み嫌うやり方だった。それこそ、父親と似たようなことをするなんて。いや、それよりもっとひどい、身分からして詐称するのだから。罪も無い一般人を、平穏に暮らしていた人間をわざわざ波乱人生の道連れにするなんて、今の自分の職からしても信じがたい悪行だ。

 でも。

 数刻前の会話を思い起こす。自分の過去と同様、彼女もこの都に身一つでやってきた理由を隠さず語ってくれたのだ。


『私の家は、実は元地方領主の家なんです。領主って言っても平民だし、他の農民と比べてもちょっと保有畑多めなくらいの差ですけど。ご存知かと思いますが、最近は貴族との政略結婚が流行ってて。お貴族さまと縁があると、それだけで箔がつくからって、成金は単純にそう考えるんですよね。そういうわけで、私、成人したらすぐ近くの貴族の四男坊と結婚する手はずだったんです。でも……そういうの凄くイヤで。結婚相手が生理的に受付けないタイプだったせいもあって、逃げ出したんです』

 情けないですよね、と彼女は自嘲した。

『誰も私の言う事理解してくれなくて、頭っから「貴族と結婚するのはいいことだろ」って決めつけるんです。「これから贅沢できるぞ」って。私、確かに今までずっと我慢してた。五人きょうだいの末っ子で、小さいなりに働かないと役立たずにされる世界で……でも、だからこそ、結婚は本当に好きな人としたかったんです。そういう結婚が望めないなら自立してやろうって、そういう思いで実家を飛び出しました』

 酒が入り始めたその瞳が潤むのを、自分はじっと見つめていた。

『バカみたい。そんなんだから、始めっから大失敗するんですよね。自立とかなんとか言っときながら、物事が上手くいかないのをぜんぶ環境のせいにしてた。自分がこんな思いするのはここが田舎だからって。上京すればこんな思いしなくて済む、きっと好きな人がすぐ見つかって、幸せな結婚が出来るんだって、そう思ってました。本当、バカみたい……』

 潤んでさざめく彼女の瞳を見つめ、自分はずっとバカなことを考えていた。好きな女の子を抱きしめられないことこそ、一番の拷問なのだと。



 ……彼女の親元には連絡はつけてある。こう言ってはなんだがあまり褒められた親の態度でなく、穀潰しの役立たずな末娘を厄介払い出来て清々、という印象を受けた。腹は立ったが、彼女の上京理由に裏付けが取れたことに内心安堵もした。これで心置きなく身分を「偽造」出来る。目くらましとして、長男の息子に新たな縁談を宛がっておいた。逃した魚の大きさにも気付かず、精々狭い世界下で形ばかりの虚栄に驕っていればいい。彼女を絶対にあのような場所に戻さない、帰らせない。

 貴族の落とし胤はそれだけで火種の元となり得るので、然るべき場所で保護するのは当然だ。まずはそれを理由として、信頼のおける知り合いに売り込もう。彼女は今十五歳だから、デビュタントまでは一年ほど猶予がある。その間に色々と仕込んで、付け焼刃で構わないから一人前のレディとなってもらう。要領の良い子だから作法もきっとすぐ身に付く。渋られたときの理由は……それらしいのを言い立てよう。

 そんなことをざっと頭の中で纏め、書類に必要事項を書き込んでいく。書き損じを足下でくしゃりと踏み潰しつつ、インクの匂いにまみれながら階下で眠る人を想う。そして小さな声で謝った。


「ごめん。平民だと君のことを護れないから、貴族のままでいることにするよ」


 後からどんな謗りも受けるつもりだ。彼女を手に入れるためなら、どんなことでもしてやる。


 ・

 ・

 ・


 ――まあ、そういうわけで、自分はまんまと可愛い花嫁を手に入れた。

「旦那様のばかばかばか」

 ぽかぽかとこちらの胸をたたきながら、涙目で彼女は罵る。例にもよって力は入っていないし本気の罵りでもないので、全く堪えはしないが。

「役人のくせにこの横暴ッ信じられない、このペテン、詐欺師ぃ」

「ごめんね」

 どうしても君と一緒になりたかったんだ、と微笑むと、可愛い頬にぽっと赤色が点る。本当に素直な子だ。

 十七歳の立派なレディになった女の子は、真っ赤になった顔で俯いてごつごつと頭突きをしてきた。可愛いけれど、三十路も過ぎた胸板にそれはちょっと痛い。

「お、落ち着いて」

「ヤです。この三年間の私の杞憂を返してください。ハゲるかと思うくらい悩んだのに。せめてもっと早く旦那様が気持ちを伝えてくれてたら、私だってこんなに深く悩まなくて済んだんですよっ」

 あれだけアピールしてたつもりだったのに、気付いていなかったのか、この子は。というより、怒っているポイントが微妙に違うような。

「……身分を偽造されたことに、腹は立ってないの?」

「偽造されたことより、旦那様が今まで全部を黙ってたことに腹が立ってるんです!」

 きっと見上げ、真っ赤な頬と潤んだ瞳のままで彼女は言う。


「貴族とか平民とか、そんなもの好きな人と想いが通じ合うことに比べればどうだっていいんですよッ!」


 ああ、そうか。

 不謹慎ながら浮かんだ笑みに、彼女はますます憤慨した。

「反省してないでしょッ」

「ごめんごめん、そうじゃなくて、」

「ばかばかばか」

 ごつごつと痛いながら幸せな頭突きを食らいつつ、声に出して笑った。

 ――父上、母上。やっとあなた方の気持ちがわかった気がします。

 そんなことを胸の中で呟き、腕の中の妻を抱きしめる。頭突きを強制的に止められた彼女はしばらくもがいていたが、徐々に大人しくなり身を任せてくれた。

 そして、ぽつりと。

「旦那様のロリコン」

「忘れた頃に言ってくれるね君は……!」


―――世界は相変わらず屑山ばかり。でも、君がいる瞬間だけは、そのすべてに意味があるような気がするんだ。




「――旦那様、お義姉さまとはそれから逢っていないのですか」

「姉上と?……そういえば、逢っていないな。たまに手紙のやり取りはしてるけど」

「お元気なんですか。逢いたくないんですか」

「……子供が三人生まれてるんだ、忙しいだろうし、僕はこんな仕事をしているし……」

「これは私の勝手な想像ですけど。お義姉さま、きっと旦那様おとうとと逢いたがってらっしゃると思いますよ」

「……」

「大丈夫ですよ。だってお義姉さま、私と違って『逃げなかった』方ですもの。きっと嫁がれた先で、幸せを見つけてらっしゃいます。お義兄さまだってそうでしょう」

「……。なんだか、妬けるな」

「え?」

「逢ったことも無い人間のことを、これほどまで君は理解してしまう。なんだか悔しいな。まさか姉上と兄上に嫉妬するとは思わなかった」

「へ」

「ごめんね。僕、人間に対して割と淡泊かと思っていたけれど、君に関してはそうでなかったみたいだ」

「(のほほん笑顔がいつになく迫力…!都会の人間ってやっぱこわい…!)」

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― 新着の感想 ―
[一言] みてみんでイラストに惹かれてお邪魔し、「私の知っている都会と違う」「僕の知っている世界と違う」を続けて拝読しました。 主人公の女の子と旦那様の関係が堪らなくツボでした! しっかり者で頑張り屋…
[一言] 私の知っている~から、続けて一気に読ませて頂きました。 とっても面白かったです! 貴族社会から段々と移り変わる時代背景、とても魅力的でわかり易かったです。 そして何と言っても中盤の、ヒーロ…
[良い点] ほほう。お姉さまの結婚から、(きっと)幸せなラブラブうふふ物語がきになりました。お兄様もきっとね。
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