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黄金の時代  作者: 木村 洋平
トレマルク王国編
28/79

オーガとの戦い

――オーガ


体長三メートル、岩を削りだしたかのような大斧を携え、猛牛とオークの頭を混ぜ合わせたかのような醜い相貌。四肢は丸太をくっつけたかのような溢れんばかりの筋肉で盛りあがっており、不気味に光る大きな二つの目でセレシアたち四人を眺めていた。


そして、それは彼女達を敵としてではなく一方的に狩り尽くす対象としての捕食者の目つきだった。


獰猛な性格をする彼らはAクラス指定されている魔物の中でも冒険者達の間からさらに警戒されている。


オーガは立ちふさがる全てのものを喰らい尽くす凶悪な存在だからだ。


ある日、オーガ討伐に出かけたAクラスの冒険者達が依頼に失敗して帰還したことがあった。


そのうちの一人だけが命からがら逃げ出したようで、生き残った男は右腕が何かに食いちぎられたかのような痕が残っていおり、見るも無残な姿に成り果てていた。


ギルドは急いで男を治療し、そのときの状況を詳しく聞こうとした。けれど、中々口を開こうとしない。男の表情はなにもかも諦めたかのようなものだったが、度重なる説得によりぽつりぽつりと語り始め、その口から語られた内容にギルドは驚きをあらわにした。


――たった一体のオーガに魔法士を含めた四人の冒険者が目の前で喰らい尽くされていったのだ


今まで彼らが肉食だということは確認されていたが、まさか人間までも捕食するようになるとは……


冒険者の死亡報告は彼らの悲しい日課でもであったが、遺族にこのことをそのまま伝えるのはさらに躊躇した。結果として命を落とすということには変わりなかったが、それでも捕食されたという事実は彼らの心に重くのしかかったのだった。


そして、このような凄惨な事実が明らかになったことでギルドはすかさず大陸の全支部に連絡を行った。


Aクラス未満の者が遭遇した場合は直ちにその依頼を中止してでも撤退をすること、またAクラスの冒険者達であってもオーガとの戦闘をする場合はくれぐれも万全を期するようとの異例の通達だった。


その日以降、Aクラスの冒険者では彼らのことを人喰い(マン・イーター)という恐怖の代名詞として認識されていったのである。


(……まずいな、よりにもよってこのときか……)


彼女は悔しげに目の前の怪物を眺めていた。


怖気づいたわけではない。昇格試験を受ける際、オーガが出ることを最初から想定はしていた。だが、予想しうる限りで最悪のタイミングであった。あとほんの少しでクヴィクトの森を出られるところだったのだ、その直前に現れるとは何ということだろう。


(だが、私達なら勝てない相手ではないはずだ……今までだってこうしたピンチは何度も潜り抜けてきたんだ、ここでやられるわけにはいかないッッ!!)


彼女は気持ちを奮い立たせて仲間達に指示を下す。


そして、オーガとセレシアたちとの戦いが今ここに幕を開けたのだった。


◆◆◆


「ソイルッ!!やれッ!!」


彼女の声を聞いた瞬間、ソイルはすぐさま魔物殺しの大弓をオーガに向ける。この距離ならば確実に当たる、彼は弓をギリギリと引き絞り、必殺の一撃を放った。


乾いた音が響き、オーガを射殺さんと矢が高速で飛んでいく。その速さは最早肉眼では識別不可能な程で、たとえオーガだろうと見切ることは出来まい。ソイルはそう思った。


しかし無情にも彼はその期待を裏切られることになる。


「なッ!!」


四人の目の前で信じられないことが起こった。オーガがいきなり大斧を目の前に構えたと思ったらソイルの放った矢をガードしたのだ。彼はまず頭よりも確実に当てられると踏んだ肩を狙った。しかし、オーガはあの一瞬でソイルの弓の軌道を読み、すかさず大斧で弾き返すという芸当を見せたのだ。


そして、彼女達が一瞬ひるんだところにオーガは大斧を構え強靭な二本の足で突撃を開始した。


「ッッ離れろッ!!」


その声に、四人は弾けたかのように一斉に散開した。


グレイン、エーニス、ソイルたちがその場を離れた瞬間、


彼女達の元いた場所はベキベキと何かが折れるような音が聞こえてきた。オーガが周りの木々を大斧でなぎ払ったのだ。


「やばいぜ……こりゃあ……」


グレインは茂みの中に素早く隠れ、間一髪のところで難を逃れていた。そしてもうもうと土煙や木の破片が立ち込める中その一部始終を見ていたのだった。


倒された木の一本一本はそれなりの太さだ、それを一気に破壊するとはなんて馬鹿力。あと少し遅かったら彼の体もあの木々のようにばらばらになっていただろう。そのことを思い出したのか、体中から冷や汗が流れだしていた。


「それよりもあいつらは……っておいっ!!エーニスッッッ!!!」


「え……あっ……」


グレインははっとエーニスの姿を見ると、彼女は尻餅をついて動けなくなっていた。彼女は目の前でおきたあまりの出来事にぼうっとしてしまったのかオーガの方にまで気が向いていない。


そしてオーガはそんな彼女を狙い定めるかのようにじろりと見ていた。


(クソッッ!!間に合えッッ!!)


彼は一目散に走り出した。一刻も早く助けなければエーニスは死んでしまう。オーガに斬りかかるという思考よりも先にグレインは彼女の命を優先させたのだ。


オーガはエーニスに向かって大斧を振りかぶる。その動きは先程とは違いゆっくりとしたものだったが、それでも彼女は動かない。いや、恐怖で動けなかった。


そして、再び森は凄まじい音が響き渡り、辺りは土煙が舞った。


「グレイン!エーニス!無事かッ!」


セレシアは危険を承知で叫んだ。オーガという怪物を前にして自分の居場所を知らせるという日頃の彼女にあるまじき行動だったが、それでもこの日まで苦楽を共にしてきた仲間だ、二人を見捨てることなどセレシアに出来るはずも無かった。


視界が開けると、彼がすんでのところでエーニスを助け出したようだ。守るかのようにグレインは彼女を抱きしめ、すぐさま茂みの中に隠れるのを確認した。エーニスのいた場所はすっかり誰もいなくなっていたが、オーガの繰り出した大斧の衝撃で彼女の後ろに立っていた木は粉々になっていた。あんなのをまともに受けたらひとたまりも無い、彼女達が無事で本当に良かった。


(グレイン、流石だッッ!!帰ったら説教ではなく褒めてやらないとな……)


「ソイルッ!」


体勢を立て直すため、森のどこかにいる彼に援護をするよう指示を下す。


そして、彼の弓が放たれると同時に彼女は森の中を駆け抜ける。ソイルが注意を引いている間にセレシアはオーガに見つからないよう慎重に行動した。とにかく、あれは正面から一人で戦ってどうにかなる相手ではない。足止めするならまだしも、倒すのなら四人の力が絶対に必要だ。特にエーニスの魔法を使わなければ勝ち目は無い。セレシアはそう悟り、すぐさま二人と合流することを決意するのだった。


◆◆◆


「あっぶね~……エーニス、怪我は無いか?」


「ッは、はい!私は大丈夫です!おかげで助かりました。それよりもグレインさん、その傷……」


「ん?ああ、これか?全然大したことはないぜ」


グレインは腕に怪我を負っていた。どうやらエーニスを庇った際、飛び散った木の破片で腕を切ったようだ。けれど、彼はそんなことは気にしていないとばかりに彼女に応える。


「……本当にごめんなさい……私がしっかりしていなかったからこんなことに……」


「俺は普段エーニスたちに迷惑をかけてばかりだからな。これくらい出来なきゃ三人に申し訳が立たないし、気にすんなっ!」


「グレインさん……」


エーニスはそんなことはないと声を大にして言いたかった。あんな強大な魔物を前にしてすぐさま行動に移せる冒険者はそういない。彼女が以前入っていたパーティなら最初のオーガの突撃でやられていただろう。彼女にはグレインに対しいかに凄いことをしたのか説明したかったが、オーガが近くにいる以上そんなことは出来ずじまいであった。


「エーニス、グレイン!ここにいたか!」


すると、セレシアが二人を見つけて近寄ってきた。息が荒い、それほどまでに急いできたのだろう。それほどまでに事態は急を要するみたいだ。


「今ソイルがオーガをひきつけてくれている。私達はすぐに彼を見つけて合流し、奴を倒すぞ」


「……倒すってどうやってだ?あんな攻撃、俺じゃ防ぎきれないぞ」


「防ぐんじゃない、避けろ。または受け流せ」


「ちょっ!!相変わらず無茶なことを……」


「できないと死ぬだけだ、グレイン。さっきのを見ていたぞ。咄嗟にあれだけのことが出来たんだ、お前なら大丈夫。それにちゃんと私がフォローに回る、だから安心しろ」


「お、おう。わかったぜ……」


いきなり彼女から褒められたため、思わずそう返事をしてしまったグレインであった。


「私とグレインの二人は魔法の発動までの時間稼ぎだ。エーニス、やれるな?」


「はいっ!三十秒……いえ、二十秒くださいっ!!それまでに何とかしてみせますっ!!」


「グレイン、エーニスの言ってくれたように、ソイルと合流したら二十秒だけオーガを二人でひきつける。決して近づけさせるなよ」


そうして三人は移動を開始する。


オーガという強大な存在を前にして、決して怖気づくことなく立ち向かう彼女達の姿は間違いなく冒険者というものを体現していたのだった。


◆◆◆


「くッ!!」


ソイルはセレシアの指示を忠実に守っていた。


元々単独行動が多い彼は次々と弓を射る場所を変え、しつこくオーガを射殺さんとつけねらっていた。


だが、オーガはその図体とは裏腹に時折予想外の動きをする。彼の放つ矢を常に大斧でガードし、挙句の果てには片方の手でそれを掴み取ることがあったのだ。そして、ソイルのいる場所に岩や木を投げつけて反撃してくるため、彼はその突飛な行動に苦しめられていた。


(オーガ……噂以上の魔物ですね……しかもこのままでは……)


ソイルは今回のオーク討伐で大量の矢を持ち込んでいた。だが、それもオーガにことごとく防がれていったため、残り十本も無かった。それ以外にも彼は短剣と投げナイフを持ち込んでいたが、あの速度の矢を掴み取るということはこれらの武器も全くの無意味だろう。彼の焦りの表情が色を濃くしていくのだった。


だが、そんな彼の前についに逆転の兆しが見えた。


そう、セレシア、グレイン、エーニスの三人がオーガと対峙するのを目にしたのだ。


(何とか合流できたようですね。私も行かなければ……)


ソイルはすぐさま三人の茂みの近くへ走り出した。恐らくエーニスの魔法を発動させるための時間稼ぎをするつもりなのだろう。彼女の意図を理解した彼は走りながら残り僅かの矢に手をかけたのだった。


◆◆◆


その頃、二人はオーガの猛攻を辛うじて凌いでいた。エーニスは魔法に集中しているのか全く微動だにしない。任された時間は二十秒。だが、大斧の繰り出す衝撃で彼らの足元は揺れ、思うように立ち回ることが出来ないでいた。


「うお!!」


頭上を大斧が通過していき、グレインは思わず身をかがめる。一瞬でも気を緩めればあの世行きなため、彼はとにかく避けることに専念していたのだった。


「ッ!」


一方セレシアはレイピアを翻し、オーガへ単身攻撃を仕掛ける。彼女はグレインと違い、徐々にだがオーガに傷を負わせていった。


思わぬ反撃に苛立つオーガ、そして一気にけりをつけようと彼女に向かって大斧を振り上げる。


しかし、彼女達に意識を向けたのが間違いだった。


次の瞬間、


――オオォァアアァ!!!!!


オーガの苦悶の声が二人の耳に聞こえてきた。


ソイルの魔物殺しの大弓から放たれた矢が命中したのだ。当たったところは武器を持つ利き腕ではなかったが、それでも深々と突き刺さり、そこから大量の血液が噴き出していた。


「グレインッッ!!」


「よっしゃあッッ!!」


ここぞといわんばかりに彼の大剣が唸りを上げ、負傷したオーガの腕を一刀両断する。


――アガァガガァァァ!!!!!


更なる反撃に手痛いダメージを受けるオーガ。今まで数々の冒険者を貪り食ってきた怪物がついに一歩後退する。


そして、信じられないという表情で彼女たちを睨みつけるオーガ。その目は強者である自分が負けるという事実を認識できないでいるようだ。


そしてついにそのときを迎える。


「時間だッッ!!離れろッッ!!」


ここにいては危険だ、セレシアとグレインはすぐさまオーガから離れていった。


「いきます!!」


彼女の杖先から魔力が迸り、超常の力が発動する。




『エア・ハンマー』




エーニスが行使することの出来る魔法の中で最大の威力を誇るそれは、圧縮された空気となって片腕となったオーガを叩き潰す。


その破壊力には確かなものがあり、三メートルもある魔物の巨体が一瞬のうちに地に伏せ、その後はもうもうと土煙が舞い上がり、周りの地面も大きく窪んだことからもそれは明らかだ。



そして、セレシアたち四人はついにオーガを討ち果たしたのだった。



◆◆◆



「……」


人喰い(マン・イーター)の異名を持つ強大な魔物が沈んだ瞬間、四人の誰もが声を発することが出来なかった。全員肩で息をし、ソイルもいつの間にかそばにいたが、そのことに気を配ることが出来ないほど彼女達は疲弊していたのだ。


「……いよっしゃあああああああ!!!!!!」


しかし、そんな疲労を気にしないかのようにグレインは歓喜の叫び声を上げた。


オークを八十体以上を倒した後、オーガを討ち取ったのだ。しかも全員生還して。こんなこと、どの冒険者パーティも成し遂げていない快挙であることは間違いなかった。


グレインはその前代未聞の出来事で感動に打ち震えていた。



「……ッ!!」


エーニスの場合、自分がオーガに止めをさしたという事実に感激していた。


ライレンではレスレック魔法学院の入学試験に落ちてしまったという苦い経験があった彼女。


セレシアたちと出会う前は、冒険者達に忌み嫌われることもあった。けれど、そのつらい過去を全て払拭するようなことが彼女の手で為され、思わず涙ぐんでいた。



「はぁ……流石に疲れましたよ……」


ソイルはどっかりとその場に座り込んだ。普段は落ち着いた雰囲気を持つ彼だったが、これほどの大仕事を終えた後ではさすがのソイルも限界だったようだ。


「お疲れみたいだな、ソイル。だが仕方ないか」


そこへセレシアも歩み寄る。彼女の足取りもやや疲れたものがあったが、それでも三人に比べれば力強いものを感じ取れた。


「ええ、まあ……私はあの二人みたいに喜べません。この一日で何度寿命が縮む思いをしたことか……」


「グレインと合流する際は一人で任せてすまなかったな。でも、最後の一撃は助かった。ありがとう」


「あれはセレシアさんのおかげです。貴方がオーガの注意を逸らしていなければ当たりませんでした。それよりも、あの距離でオーガと互角に渡り合うセレシアさんの方が凄いですよ……」


ソイルの見た中でも一番に挙げられるくらい先程の戦いは印象深かった。グレインを手助けしつつ、オーガの豪腕から繰り出される攻撃を紙一重で避け、受け流す彼女の姿は『戦女神』の二つ名にふさわしいものだった。


「……そうか!ならリーダーとしての面目を保てたということだな。こう見えても私だけあまり活躍が無いように感じていたんだ……うん、それなら良かった」


(……本当に貴方という人は……)


この人には一生敵わない、ソイルはそう思った。



◆◆◆



「しっかしよ~オーガの部位は証拠として集めるとして、こいつらはどうする?これも俺達の手柄にするか?」


四人の目の前にあるのはうず高く積まれたオークの死体。ギルドでは一体ごとに金額を設定されており、それに応じて金が支払われる。そのため、彼女たちにとってはこのオークの死体は金のなる木も同然だった。


「……好きにしろ。だがもうすぐ日が暮れる。なるべく早く済ませるんだぞ」


「わかったぜ、セレシアの姉さんっ!!」


そう言ってグレインは比較的損傷の少ないオークの死体から部位をかき集めていく。先程は集めるのは苦手だといっておきながらこの変わりよう。彼もまた冒険者としてしたたかだった。


「しかし、これだけの量をオーガがやったとなると……少しぞっとしますね……」


「……確かに。この森では予想以上にオークがたくさんいた。しかも過去に類を見ないほど。一体どういうことなんだ……?」



――夕陽がクヴィクトの森を不気味に照らし出す。それはまるでセレシアたちを黄泉路に引きずり込むかのように。



そんな赤く光る夕陽を眺めているうちに、


(まずいッッッ!!!!!!!!)


セレシアの脳裏に驚愕の真実がかすめたのだった。



――それが彼女達の死のカウントダウンが始まる合図でもあった。



「三人ともッッッッ!!!!!今すぐここから離れるぞッッッッ!!!!!!」


セレシアはかつて無い大声で叫んだ。


「どうしたんですかい?セレシアの姉さん?そんなに慌てて」


「……何かあったんですか?」


「そうですよ。どうしたんですか?」


セレシアの取り乱しように一同は騒然とした。こんな彼女の姿を今まで誰も見たことがなかったからだ。


「説明する時間が惜しいッ!!いくぞッ!!!」


「お、おい!」


彼女がすぐさま駆け出したのを見て、三人は荷物を背負って慌てて走り出していった。


そしてオークの死体たちは死んだ目で彼女達を見届けていた。


――無駄な足掻きだとあざ笑うかのように



◆◆◆



「どうしたんですかっっ!?セレシアさんっっ!!」


走りながらソイルは彼女に尋ねる。彼女の美しい横顔は悔しげに顔を歪ませていた。


「いいかッッ!今回のオークの異常な数には理由がある!そもそもありえないんだ、オークたちがあんな集団でいること自体が!」


オークは基本的に十体でひとまとまりだ、今回の依頼ではセレシアたちが確認しただけでも二十倍近い数がこの森にいたということになる。通常、こんなことはありえない。




――ありえるとすれば、彼らが何かに脅かされてさらに大きな集団で行動せざるを得ないときだ。




「つまりだ!!!奴らはオーガから逃げてきたんだ!!!その一部のオークたちがさっきの場所を襲い、それが私達の依頼に回ってきたんだ!!!」


「さっきの奴ですかい?」


「違うんだグレイン!私達は今までオーガが単独で生活をする魔物だと勘違いしていたんだ!」


「それって……まさか!?」


エーニスがセレシアと同じ考えに至ったとき、森の中からがさがさと何かが蠢く音が聞こえてきた。


そして、ぬらりと地獄の淵から蘇るように彼らは現れた。


――猛牛とオークの頭を混ぜ合わせたかのような醜い顔。四肢は丸太をくっつけたかのような溢れんばかりの筋肉で盛りあがっており、不気味に光る大きな二つの目で彼女達を敵としてではなく一方的に狩り尽くす対象として眺めていた。



そうして、オーガの集団が四人の前に現れる。



――彼女の生死を分けた戦いがいまここにはじまったのだった


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