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ナウザーの冒険者

作者: タンガロア

二人称による、強引な展開とひどい内容の作品です。

決め付けられるような表現は許せない、と、言う方はブラウザバックした方が精神衛生上、宜しいかと思います。

 剣と魔法の世界ナウザーへようこそ。

 あなたはテンプレな異世界トリップでこの世界にやってきました。


 あなたは、このナウザーで、かつてない冒険を体験することになります。

 そして、その冒険が終わったとき、あなたは一回り成長した自分を発見するでしょう。

 さあ、勇気を持って冒険への第一歩を踏み出して下さい。



 《SELECT JOB》


 あなたはテンプレなルートで召喚されたばかりです。

 まず自分のキャラクターを設定しなければなりません。

 次のジョブから自分の性格にあったものを選んで下さい。


 1  戦士

 2  僧侶

 3  魔法使い

 4  商人

 5  忍者

 6  芸人

 7  乞食

 8  盗賊

 9  謎の東洋人


 ジョブを選んだら、いよいよ冒険の始まりです。



 《START》


 あなたは今、大きなお城の前に立っています。

 ここはナウザーで最大の大陸、その名も、まんまなナウザー大陸の、東部に位置するルルリエ王国の首都ラーラルルネです。

 そして、あなたの目の前にある大きなお城はルルリエ国王、シノマク三世の居城なのです。

 実は3カ月前に国王の末娘アリエス王女が、お忍びで出かけたところを何者かに誘拐されてしまったのです。

 もちろん、国王は全ての騎士を動員して王女の行方を探し出そうとしたのですが、ちょうどその時、隣国のテテメス帝国がこのルルリエ王国へ攻め入ろうとしているという知らせがもたらされたのです。

 いくらアリエス王女の身の上が心配でも、この状況下では、シノマク三世は国王として騎士を私事に使うわけにはいきません。

 なによりも、王太子として擁立された第一王子が、アリエス王女の救出よりもテテメス帝国への対応を優先すべしと発言し、主だった家臣のほとんどが、それに賛同している状況では、王女を溺愛する国王としても、いかんともしがたいところです。


 そこで、王女の行方を探し出し、無事に連れ戻してくれる人間を一般公募する事になったのです。

 選んだジョブはどうあれ、召喚されし冒険者たるあなたは、この一般公募に応じずにはいられません。

 ついでに、うまく行けば王女と結婚して次の国王になれる、という打算もあなたは持っています。

 無論、邪魔な第一王子を始めとする、他の王位継承者は始末する事も画策しています。

 否定しても無駄です!

 あなたはそーゆー人間なのです!!


 かくして、あなたはこの大きなお城の前に立っています。

 あなたはこの大きなお城の中で、まず、国王に拝謁し、そして、あるアイテムを貰わなくてはなりません。

 あなたは堂々と正面から城門へと向かいます。



 《CONTINUE》


 あなたが城門をくぐろうとすると、衛兵があなたを誰可します。

 あなたは自分の名前とジョブをここで名乗らなくてはなりません。

 さてここで……



 《RESULT JOB #7》


 乞食のジョブを選んだあなた。

 あなたはこのお城に入る資格がありません。

 乞食の分際で、高貴な王族の居城へはいれると思っていたのですか。

 とっとと帰りなさい。

          【GAME OVER】



 《RESULT JOB #8》


 盗賊のジョブを選んだあなた。

 あなたもこのお城に入れません。

 なぜなら、あなたが自分のジョブを名乗った途端、あなたはその場で逮捕され、即刻首を切り落とされるからです。

 自分が犯罪者だということを忘れないで下さい。

          【GAME OVER】



 《RESULT OTHER JOB》


 他のジョブを選んだ常識的なあなた。

 あなたはこのお城に入る資格があります。

 ようこそルルリエ城へ。



 《CONTINUE》


 あなたは早速、大広間へと案内されます。

 大広間の奥の玉座には国王シノマク三世が座っています。

 威厳に満ちたその容貌は、しかし、今は心労に憔悴しきっているように見えます。


「そなたがアリエスをわしの元へ連れ戻してくれると言うのか」

「ははっ」


 あなたは自信に満ちて国王の言葉にそう答えます。


「ふふっ、元気なことよのう。そういって今までに多くの者が旅立ち、そして、二度と帰ってこなんだわ」


 国王は深い苦悩もあらわに、この冒険がいかに困難かをあなたに告げます。

 しかし、そんなことでめげるようなあなたではありません。


「私は、他の連中とは違います」

「よかろう、そこまでいうならやってみるがよい」


 国王が合図をすると、近従の者が3人、それぞれ、赤、碧、黄色の宝箱を抱えて現れました。


「この中から好きな物を選ぶが良い。おそらく、危険に陥ったときにおまえの役に立ってくれるじゃろう」


 さあ、選んで下さい。断っておきますが、一つしか選べません。

 二つ以上は持ちきれないからです。



 《SELECT ITEM》


 1 赤い宝箱

 2 碧い宝箱

 3 黄色い宝箱



 《CONTINUE》


 宝箱を選んだあなたは、それがしっかりと封印されていることに気がつきます。

 いよいよと言うときまで、開けてはならないからなのです。

 そういうわけで、どれを選んでも、今はあなたはその中身を知ることはできません。

 さて、アイテムを手にいれたあなたは……



 《SELECT ACTION》


 1 さっそうと旅立つ

 2 未練がましく、まだ残っている



 《RESULT ACTION #1》


 1を選んだあなた。

 あなたは、その場で捕らえられ、鞭打たれることになります。

 なぜなら、あなたには思慮が足りないからです。

 だいたい、あなたはアリエス王女がどんな女性か知っているのですか?

 そーゆーことを調べもせずに、さっさと旅立つようなそそっかしさでは、これからの冒険を無事乗り切ることは不可能です。

          【GAME OVER】



 《RESULT ACTION #2》


 2を選んだあなた。

 賢明なあなたはアリエス王女の肖像画を見せられることになります。



 《CONTINUE》


 肖像画に描かれたアリエス王女は、スレンダーな、じつに美しい少女です。

 その肖像画を見たあなたは、何としても、この王女を無事救い出すのだと心に誓います。


 念のために断っておきますが、この時、

「もう少し、幼い方が……」

 とか、

「どっちかっつーと、巨乳のほうがいいんだけどな」

 などといってはいけません。

 ちら、と、思ってもいけません。



 《CONTINUE》


 さあ、これでいよいよ旅立つ準備ができました。

 あなたは元気よく、ルルリエ城を後にします。

 行く手には、広々とした草原が遥か彼方まで続いています。

 足元には、犬のフンが転がっています。

 天気はどんよりと曇っています。

 何と旅立ちにふさわしい日なのでしょう。



 《CONTINUE》


 前方に怪しげな森が見えてきました。

 いかにも、と言った感じのオドロ線でいっぱいの雰囲気です。

 さて、ここであなたは……



 《SELECT ACTION》


 1 その森を避ける

 2 思い切ってその森へはいってみる



 《RESULT ACTION #1》


 1を選んだあなた。あなたにはこのナウザーで生きていく資格がありません。

 ここは冒険の世界で、あなたは冒険者です。

 そーゆー安易な選択でどーするのですか。

          【GAME OVER】



 《RESULT ACTION #2》


 2を選んだ勇敢なあなた。さあ、進んで下さい。



 《CONTINUE》


 森の中をしばらく進むと、やがて怪しげな洞窟が見えてきました。

 いかにも、と言う感じのオドロ線でいっぱいの雰囲気です。

 さて、ここであなたは……



 《SELECT ACTION》


 1 そこで引き返す

 2 思い切ってその洞窟へ入ってみる



 《RESULT ACTION #1》


 1を選んだ学習能力の無いあなた。

 もう説明の必要はないでしょう。

          【GAME OVER】



 《RESULT ACTION #2》


 2を選んだあなた。

 さあ、進んで下さい。



 《CONTINUE》


 あなたは持っていた松明に火をつけ、慎重に洞窟へと入っていきます。

 おおっと、いきなりモンスターが現れました。

 オーガタイプのモンスターのようです。

 さて、ここであなたは……



 《SELECT ACTION》


 1 逃げ出す

 2 戦う



 《RESULT ACTION #1》


 1を選んだあなた。

          【GAME OVER】



 《RESULT ACTION #2》


 2を選んだ勇敢なあなた。さあ、存分に戦って下さい。

 と、いいたいのですが、さて、あなたのジョブは……



 《RESULT JOB #1》


 戦士のジョブを選んだあなた。

 あなたは別に問題はありません。

 あなたは堂々と戦い、そしてモンスターを倒します。



 《RESULT JOB #2》


 僧侶のジョブを選んだあなた。

 不殺生の誓いを立てて、僧侶の道を進んだあなたは、いかなる戦争、戦闘を否定します。

 あらゆる争いは、対話で解決すべきと考えています。

 もちろん、モンスター相手に対話が成立するわけがありません。

 あなたは死にました。

          【GAME OVER】



 《RESULT JOB #3》


 魔法使いのジョブを選んだあなた。

 あなたは早速、究極の恐るべき呪文を唱えます。

 この呪文は、超古代のある文明を一夜にして滅ぼしてしまったと言うほどの、強力な呪文なのです。

 たった一匹のモンスターに大げさすぎる、などと考えてはいけません。

 敵の力量がわからない以上、自分のもてる最大の力を最初にぶつけるのが正しい戦略のあり方なのです。

 あなたは呪文を唱え、それにつれて、暗黒の彼方より、恐るべきエネルギーを招来しつつあるのを感じます。

 何という凄い呪文なのでしょう。

 しかし、何事にも欠点というものはあるものです。

 この呪文の欠点は、ちょっと長いかなーということです。

 あと、もう少しで呪文を唱え終わる、と言うところで、モンスターが襲いかかってきました。

 まぁ、通常、後衛職ですもんね。

 単独でモンスターに立ち向かえる筈もありません。

 あなたは死にました。

          【GAME OVER】



 《RESULT JOB #4》


 商人のジョブを選んだあなた。

 あなたは確かに戦闘能力とゆーものに欠けています。

 しかし、あんさんにはゼニっちゅーもんがおます。

 世の中、何ちゅーてもこれに優る物はおまへん。

 地獄の沙汰も金次第と言います。

 魚心あれば水心。

 例え話は通じなくても、ゼニは通じます。

 あなたは袖の下をモンスターに渡し、危機を脱しました。



 《RESULT JOB #5》


 忍者のジョブを選んだあなた。

 あなたはいきなり、くノ一の術を使います。

 つまり女装して、色仕掛でモンスターをたぶらかそうとゆーわけです。

「フンギャアアアアアアアアアッッッス」

 おっと、突然モンスターが異常に興奮しているようです。

 色仕掛けが、うまく行き過ぎてしまったようですね。

 あなたは逃げる間も無くつかまり……


 すいません、レイティングの関係で、以降の「ふぉおおおおん」な描写は省略します。

 合掌。

          【GAME OVER】



 《RESULT JOB #6》


 芸人のジョブを選んだあなた。

 あなたも戦闘能力はありません。

 しかし、あなたには芸があります。

『芸は身を助く』

 あなたは助かりました。



 《RESULT JOB #9》


 謎の東洋人のジョブを選んだあなた。

 あなたはいきなり片衣を脱いで、桜吹雪の入れ墨をあらわにします。

「ゲッ」

 モンスターが(何故か)驚いて怯みます。

 そこをすかさず、とっつぁんの先祖のように、投げ銭で目を潰します。

「ギャアアアッ」

 モンスターはたまらずに顔を押さえてうずくまります。

 チャンスです。

 パ~パラパ~、と言うトランペットの効果音が、どこからか聞こえてきて、あなたは素早くモンスターの後ろに回り込み、口にくわえていたかんざしをモンスターのぼんのくぼに、ブスッと突き刺します。

 急所を刺されたモンスターはビクンと身体を硬直させ、そして死にました。

 あなたは完璽と笑って一言。

「これにて、一件落着」



 《CONTINUE》


 モンスターを倒したあなたは、さらに洞窟を進みます。

 おや、行き止まりのようです。

 おおっと、いきなり地震です。

 頭上から大きな岩が落ちてきました。



 《CONTINUE》


 やれやれ、何とか命拾いしたようです。

 しかし、落ちてきた大きな岩で、完全に出口を塞がれてしまいました。

 あなたは途方に暮れます。

 その時、落ちてきた大きな岩が光り始めました。

 よく見ると、それはただの岩ではありません。

 何と、魔法のクリスタルの原石ではありませんか。

 それも、滅多に入手できない転移魔法のクリスタルです。


「これを使えば、アリエス王女の所へまっすぐにいけるぞ」


 あなたは自分の幸運を神に感謝して、思わずそう叫んでしまいます。

 もちろん、あなたは


「安直な展開だ」


 とか、


「ご都合主義だなあ」


 などと、少しも考えたりしません。

 さあ、この魔法のクリスタルで、一気に王女の元に翔んで下さい。



 《CONTINUE》


 魔法のクリスタルで空間転移したあなたは木造の巨大な建物の中にいることに気がつきます。

 この建築様式は、ナウザー大陸中東部に特有のものです。

 そして、その地方に位置するのは……テテメス帝国!


「まさか、ここは……」


 あなたは、ある事実に気がつき、愕然とします。

 そう、ここはルルリエ王国の隣国、テテメス帝国の皇帝ザーザの居城なのです。

 何と、アリエス王女を誘拐したのは、ルルリエ王国に攻め入ることが噂されていたテテメス帝国の陰謀だったのです。

 いわゆる後方撹乱のために、王女を誘拐したのでしょう。

 この、全く予想もしていなかった、実に意外な事実にあなたは……


 いいですか、あなたはこーゆーことを全く予想もしていなかったのですよ。

 他に固有名詞が出ていないからといって、こーゆー展開になるのは当然だ、などというものではありません。

 宜しいでしょうか。

 さて、本当に、全く、完璧なまでに予想もしていなかった意外な展開にあなたは呆然となり、そして、怒りの感情が涌いてくるのを感じます。


「おのれ、テテメスめっ」


 卑劣なテテメス帝国許すまじ。

 あなたは激しい感情と共に、宣戦布告のおたけびを上げました。

 もちろん、敵の城内でそーゆーことをしたのですから、敵兵がどどどどどどっと現れるのは当然です。

 もはや選択の余地はありません。

 あなたはそれらの敵兵と戦うことになります。

 さて、ここであなたのジョブは……



 《RESULT JOB #1》


 戦士のジョブを選んだあなた。

 あなたは勇敢に戦い、次々と敵兵を倒していきます。

 しかし、多勢に無勢。

 あなたは死にました。

          【GAME OVER】



 《RESULT JOB #4》


 商人のジョブを選んだあなた。

 あなたは次々と敵兵に袖の下を渡して、見逃して貰おうとします。

 しかし、相手の数が余りに多すぎました。

 ついに手持ちのお金がなくなります。

『金の切れ目が縁の切れ目』

 あなたは死にました。

          【GAME OVER】



 《RESULT JOB #6》


 芸人をジョブに選んだあなた。

『芸は身を助く』

 あなたは助かり……ません。

 あなたの芸が通じるのはラーラルルネ周辺だけです。

 ここテテメスにおいては、あなたの芸はもう古いのです。

 残念でした。

          【GAME OVER】



 《RESULT JOB #9》


 謎の東洋人をジョブに選んだあなた。

 あなたはわらわらと寄ってくる敵兵に向かって一喝します。


「ええい、静まれぃ。静まれ、静まれ、静まれぃ」


 そして、懐から取り出した、三つ葉葵の印籠を掲げます。


「この紋所が目に入らぬか、頭が高い。控えおろう!」


 あらゆる蓋然性を超越して、敵兵が全員平伏しました。

 まぁ、お約束と言いますか、ご都合主義と言いますか、アレも立派なファンタジーと言いますか。

 そういうわけで、あなたは危機を脱しました。



 《CONTINUE》


 さて、ひどい方法で危機を脱したあなたは、王女を求めて城内の奥へ奥へと進みます。

 やがて、あなたは、ある扉を見つけます。

 その扉には

『アリエス王女を閉じこめてある部屋』

 と、書かれた紙が貼ってあります。

 さあ、ここであなたは……



 《SELECT ACTION》


 1 罠だと思って無視する

 2 とりあえず、入ってみる



 《RESULT ACTION #2》


 迷わず、2を選んだあなた。残念でした。

 滅多やたらに突進するばかりが冒険者たるものの行動ではありません。

 あなたは罠に掛かって死にました。

          【GAME OVER】



 《RESULT ACTION #1》


 よく考えて1を選んだ思慮深いあなた。

 あなたはさらに奥へと進みます。



 《CONTINUE》


 あなたはもう一つ扉を見つけます。

 その扉には、

『アリエス王女がいるのはここじゃないよ。

 本当だよ。僕ちゃん、いままで嘘ついたことないもん』

 と、書かれた紙が張ってあります。

 さて、ここであなたは……



 《SELECT ACTION》


 1 素直にその扉の前を通り過ぎる

 2 扉を開けて中に入る



 《RESULT ACTION #1》


 1を選んだあなた。やっぱり、人間は素直なのがいちばん。

 『素直であること』が成長し続ける人間の第一条件であるということは、多くの人々が指摘するところです。

(しかし、そう主張する人たちの多くが余り素直な性格といえないのはどういうことなのでしょうねえ?)



 《RESULT ACTION #2》


 まあ、そーゆーわけで2を選んだあなた。

          【GAME OVER】



 《CONTINUE》


 通路を、さらに先に進むと、また扉です。

『あなたに朗報!この扉を無視すると絶対に儲かります』

 などと書かれた紙が張ってあります。

 さあ、ここであなたは……



 《SELECT ACTION》


 1 素直に無視する

 2 ためらわずに中に入る



 《RESULT ACTION #1》


 1を選んだあなた。

 こーゆーのは素直とは言わず、単純と言うのです。

 絶対に儲かる、などという話を信じてはいけません。

          【GAME OVER】



 《RESULT ACTION #2》


 2を選んだ聡明なあなた。

 あなたはその部屋の中で、ついに囚われのアリエス王女を発見しました。



 《CONTINUE》


 王女は、拘束されこそしていませんが、長い軟禁生活のせいか、かなりやつれているようです。


「あなたはだれです」


 王女にそう問われて、あなたは、恭しく一礼して答えます。


「王女をお救いすべく、ルルリエ国王より命を受けた者です」

「父君が……」


 アリエス王女は、あなたを上から下までじろじろ見つめ、呆れたように呟きます。


「父君も酔狂な。このような得体の知れぬ者をよこすとは。せめて戦士なり、あるいは魔法使いでも雇えばいいものを」

「えーと……」


 あなたは頭をポリポリ掻きながら、なんとも言えない表情で、あさっての方を向いてしまいます。


「ともかく、ここから逃げ出しましょう」


 と、あなたが王女へ手をさしのべた時、


「そうはさせぬぞ」


 不意に後ろから凶々しい声がしました。

 慌てて後ろを振り向くと、漆黒の鎧姿の大男が立っています。

 不気味な仮面をつけた、何となく妖気すら感じさせる大男です。


「テテメス皇帝……」


 アリエス王女の震える声で王女が、目の前の大男……テテメス皇帝の恐ろしさを身にしみて知っていることがわかります。


「よくぞここまできた。だがおまえの命運もこれまでだ。わしが直々に引導を渡してやる」


 テテメス皇帝は大剣を引き抜きながら、凄味のある低い声でそう宣言しました。

 絶体絶命のピンチです。

 いよいよ、ルルリエ城でもらったアイテムを使うときです。

 さあ、あなたの選んだ宝箱は……



 《RESULT ITEM #1》


 赤い宝箱を選んだあなた。

 あなたが箱を開けると、その中に『スカ』と書かれた一枚の紙切れが入っています。

 まあ、福引きなんかの抽選でも、たいてい赤い玉ってのはハズレですよね。

 残念でした、またどーぞ。

          【GAME OVER】



 《RESULT ITEM #2》


 碧い宝箱を選んだあなた。あなたが宝箱を開けると、中から青い、柔らかな光りが溢れあなたを包みます。

 それとともに、あなたの躰の中から不思議な力が満ちてきました。

 これは『愛と希望の光』と呼ばれている魔法の光なのです。

 愛と希望。

 それは、人間にとって、最も大事なものです。

 いかなる困難にあっても、愛と希望さえあれば、必ずそれを克服できるのですから。

 といっても、それも時と場合によりけりで、この瞬間、あなたの頭に振り下ろされた大剣に対しては、全く意味がありませんけどね。

          【GAME OVER】



 《RESULT ITEM #3》


 黄色い宝箱を選んだあなた。

 あなたが宝箱を開けると、中から召還魔法の宝玉が出てきました。

 これは、強力なモンスターを呼び出し、敵を倒すためのアイテムです。

 あなたは、迷うことなくこの宝玉で召還を行います。

 すさまじい光と共に、ゴーレムが現れました。

 さすがのテテメス皇帝も、これにはたじろいで、悲鳴をあげます。


「か、かーちゃん」


 よくみると、それはゴーレムではなく、とてつもなくごつい躰をした大女です。

 なんと、あなたは、モンスターではなく、テテメス皇妃を呼び出してしまったのです。


 皇妃は、いきなりこんな所に瞬間移動させられてちょっと驚いたようです。

 しかし、目の前の皇帝と、そして、アリエス王女に気づくと、たちまち恐ろしい形相になり、テテメス皇帝に詰めよります。


「あんた、また、あたしに隠れて若い女を連れ込んだね」

「ち、違う。かーちゃん、それは誤解だ」

「お黙り、この浮気者ぉ。きいーっ」


 グシャッ。ドシュッ。ズシーン。

 ……テテメス皇帝をやっつけました。



 《CONTINUE》


 かくして、あなたはアリエス王女を救い、無事に連れ帰ることができました。

 やがて王女と結婚し……などと思っていたら、王女には既に婚約者がいて、せめて褒美でももらえるかなーと思っていたら「そんな約束してないね」と言われ、挙げ句の果てにアイテムと、その賃貸料を取られた上にルルリエ城を叩き出され、さらにはテテメス皇帝の個人的な恨みをかってしまった為に放たれたテテメスの刺客から逃れるべく、ついにはナウザー大陸からも逃げ出さねばならなくなり、海を越えて南方諸島に流れ着き、そこで、とある長者の一人娘と結婚し、一生幸せに暮らしました。

 めでたし、めでたし。

          【GOOD END】




 さあ、あなたは一つの冒険を見事に終えたのです。

 あなたは、未だにさめやらぬ興奮と、深い満足感の中にいます。

 そうに決まっています。

 そうですよね!

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― 新着の感想 ―
[一言] ネット小説大賞さまの感想から来ました。一気読みさせる勢いと面白さ。読者が選択して進む系のお話ですが、自分が選ばなかった選択肢の結末もさくさく全部知れるのが楽しかったです。終盤へ行くほど理不尽…
2017/02/02 14:57 退会済み
管理
[良い点]  RPGの感覚で気軽にジョブを選ぶと、本格的に冒険へ出発する前にゲームオーバーになってしまい思わず笑ってしまいました。ゲームオーバーの理由がまた愉快で、一本取られたような気にさせられました…
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