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  氷室研究所 作者:優楽
多少エッチな表現があります。嫌いな方は読まないでください。
008 良き理解者?
「朝来た時も思ったけど、本当に荷物少ないよな?」

「向こうにあったものは家電から何から、ほとんど処分してきましたから!」

「もったいない。」

「それなんで、持ってきたのは本当に服だけて、必要な物は、実家に送っちゃいましたから。」

 と笑いながら言ってやった。なんだか真木さんとは砕けて話せるようになってきた気がする。そのうち私も『マッキー。』って呼んでたりして…。

「そうか…。じゃ…、持ってく物はこんだけ?」

「何度も確認しないで下さいよ。」

「ははは…。じゃ、行こっか。」

「はい。」

 帰りも真木さんの運転だった。これで検問なんてあったら、免許証偽造で捕まっちゃうのか?

「ところで真木さん。」

「何?」

「その服って、葵さんのじゃないですよね?」

「…うん。」

「誰のですか?」

「これは、友達の…、」

「友達の?」

「ニューハーフの友達がいてな、そいつに事情話したら車も貸してくれてさ。」

「はぁ…、この車の持ち主か…、納得。」

「何が?」

「いや、だって、朝の短い時間で事情を理解してくれる友達って、すごいなぁ…と思ってたから。ニューハーフさんなら納得です。」

「そっか…。そいつには、研究内容を話した事があったから、意外とすんなり受け入れられたっていうか…。」

「ふ〜ん。でもなんか都会ってすごいですね。」

「何が?」

「私の田舎でニューハーフなんていませんでしたよ。それに性同一性障害の方に接する機会があるなんて…。」

「そう…。」

「はい。そうだ!女になった真木さんと会った時のリアクションどうでした?」

「そりゃ〜驚いてたよ。胸揉まれて、股に手が伸びてきて。そんでもってすんげー喜んでたよ。」

「喜んだ…?そうですよね…。でも実用化されるとして、どれくらいの年月かかるんですかね…?」

「どうだろな…?でも奴らは闇ルート期待してんじゃないのか?」

「闇…。なんか危険な臭いしますね〜。」

「なんか楽しんでない?」

「だって、もう思いっ切り関わっちゃってますもん。」

「だな…。」

「実験台になってでもいいからって人も、現れそうじゃないですか?」

「これで子供が産めればその業界の人達も喜ぶんだろうけどな〜。」

「出産ですか?」

「うん…。完全女性化が彼女達の最終目標だろうから…。性転換手術を受けたところで、子供を産めない現実はどうしょうもないからな。誰もがブチ当たる壁らしいし…。」

「そっか…。」

「なぁ、家帰ったら頼みたい事あるんだけど。」

「何ですか?」

「オナニーしてみてくれない?」

「えっ!?」

「いや、精子が出るかだけでも知りたいんだ。」

「…。」

「こっちは生理はくるかもしれないけど、女性の排卵なんて分からないだろ?」

「まぁ…。」

「本当は、出た時に無精子症かどうかも調べたいけど専門外だから…。だから出るかどうかだけでも知りたいんだ。」

「なんで私が…。」

「頼む。」

「なんかさっき言ってたモルモットの気分になってきました…。」

 この発言のあとしばらく沈黙した…。

「そうだよな…。わりぃ…。忘れてくれ、会って二日目の人に頼む事じゃないよな。」

「…。やります。」

 言ってしまった…。

「えっ?」

「やりますよ。誰かがやらなきゃですよね?」

「マジで?助かる。」

「そのかわり…。」

「うん。そのかわり何?」

「やり方分からないから教えて下さい。」

「あっ…、そうか…、そうだよな…。分かった。」

 それから真木さんのマンションにつくまで、またしばらく沈黙が続いた…。なんて恥ずかしいんだ…。

 エレベーターで真木さんの部屋のフロアに行くと、真木さんのドアの前に女性が一人立っていた。

「あの人って、貢いでくれた人じゃないですか?」

「いや、あれは違うよ。」

「彼女?」

「違うって!さっき話してた子だよ。」

「さっき?」

 近付くとこっちに気付いたようだ。

「よう!店出なくていいのか?」

「まだ少し時間あるから平気!それより何処行ってたの?そんないい男連れて?」

 ん…?なんか違う?

「さっき話してた浜崎愛だよ。旧姓浜崎茂。」

「どうも〜。茂です。」

「えっ?茂?こっ、この人がニューハーフ?」

「そうです。ねぇ、早く紹介してよ。」

「田丸由宇ちゃん。今朝くらいまで女の子でした。」

「あら、勿体ない。」

 何が?

「でもヨダレがでそうなくらいカッコイイわね〜。この子なら元女でも許すわ〜。」

 一瞬悪寒が走った。

「立ち話もなんだから二人共上がってよ。」

 浜崎さんも部屋に上がるんですか〜?なんか先行き不安だ…。


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