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虎人少年 外伝〜それから
作:tensuke



6.捜索・戸惑い


6.捜索・戸惑い・そして

一方 忽然と姿を消した虎人を捜して 聡史は奔走していた
知人や友人に電話をかけまくり マネージャーと共に心当たりを探し歩いた
しかし 一向に虎人の消息はつかめず 警察に届けたものかどうしたものかと
真剣に心配をし始めていた

そこへ 一本の電話がかかってきた
佐藤と名乗った男は 虎人は今後 四菱財閥グループの次期社長としての研修に入るため
もう そちらへは戻れない と一方的に告げた
どういう事かと問いただす聡史に応える事なく電話は切れた

つーつーつー と切れた電話の音が聡史の耳に悲痛に響いていた

「四菱財閥って何だよ 次期社長ってどういう事だよっ!!」
苛立つ聡史をなだめ マネージャーはパソコンをひらいた
「これだ・・・・」
マネージャーが調べ上げた画面 そこには 四菱財閥グループ企業の詳細が示されていた
そして どうやらその会長の息子である現社長が病床にあるらしいこと
そして 四菱グループは長引く不況のあおりを受けて 関連企業に随分な負債を抱えているらしい事
何より 虎人の母 恵が 会長の長女であった事などを知った

「虎人が・・・四菱財閥の会長の孫・・・・?」 聡史にはにわかには信じられない事実だった
マネージャーさえも 虎人を送り込んできた張本人である母 恵の素性については何も知らなかった
今更のように 虎人の輝かしい学業の成績が思い出され
血統の良さだったのかと 言い知れぬ感慨めいたものさえ湧き上がってきた
しかし
なぜ 今虎人がこうして拉致も同然に連れ去られなければならないのか
疑問は何一つ解決されていなかった

何より
もう二度と戻る事はない そう あの電話の主は言った
聡史は戻らぬ虎人の事を思い 胸が痛むのを隠せなかった 
激しく動揺している自分を押さえる事もできなかった
虎人がいなくなった
戻ってこない
それは 聡史にとって晴天の霹靂であり 受け止めがたい現実であった

虎人本人の口から説明を聞くまでは どうにも何も信じる事ができない
聡史は ただひたすら それからの数日を 虎人からの連絡を待って過ごした
ただ その身の無事と安全が確認できた事だけが救いではあったが
何もかもが疑問符に彩られ 謎に包まれていた
食事もろくに喉をとおらず 仕事も手につかず
聡史は虎人の帰りを せめて虎人からの直接の連絡を
待ち続けていた

そんな噂を聞きつけて 憔悴しきった聡史を慰めようと 西崎たかおが訪ねてきた
美味いと評判の焼肉店から肉を買い込み
ホットプレート持参で駆け付けた西崎は 聡史を励まし 慰め 肉をすすめた
皿の上の肉を箸で突き回すばかりで 一向に口に運ぼうとしない聡史に業を煮やし
西崎は自分の箸でつまみ上げた肉を聡史の口にねじ込んだ

「喰えよ 喰わないとばてちまうぞっ!」
「んぐ・・・・」
「虎人クンは帰ってくるよ 戻ってくるって心配ないよ」
「・・・・・・・・・」
「事情がわかるようにちゃんと連絡してくるって!このままいなくなったりしやしないよ」
「・・・・・・・・・」
「聡史・・・・・」
「・・・・・・・・・」

青白く透き通る程に血の気のない聡史の顔を見つめ 西崎は深いため息をついた
その時 ポケットの中で西崎の携帯が小さく鳴った

(ん?・・・電話?)「はい・・・もしもし・・・」
「・・あ・・たかおさん?俺ですタカシです・・・ごめんなさい電話なんかして・・その 今どこですか?」
「ああ・・・今 友達の家だ・・うん・・今日は撮影にいくよ ああ」
「あの・・最近 会ってないから・・その次はいつ会えるかなぁって・・」
「タカシ・・・ごめんな また連絡する じゃ」
「あ・・たかおさ・・」

西崎は一方的に会話を切り上げると電話を切ってしまった

「誰?」 聡史の問いかけに西崎はちょっと戸惑った表情を浮かべながら応えた
「ん・・・・ちょっとした知り合いだ」
「へぇ・・・・」
そう言ってまた黙り込んでしまった聡史の顔を見つめたまま
タカシと名乗った青年の事をぼんやりと思い出していた
華奢な骨格 色白な小さな顔 大きな目に赤い唇
どこか聡史を思い出させるその面影 右目の下に小さなホクロのある青年

聡史を抱けない寂しさに一人酒を飲みにでかけたクラブで知り合った
タカシは健気にも 身代わりでもいいよと西崎に抱かれる事を望んだ
そうやって二人の付き合いは始まった

それでも 西崎はタカシを抱きながら聡史の事を思っていた
それに気づいているのかいないのか
タカシはいつも西崎の身体を抱き締めて いつまでも離れようとしなかった

西崎の心の中で タカシの泣きぼくろを涙に濡らす姿がゆらりと揺れた












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