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虎人少年 外伝〜それから
作:tensuke



2.ライカの男


2.ライカの男

「虎人ぉ〜 腹減ったぁ〜」
「もう少しで着きますから頑張ってくださいっ」
「ハラミぃ〜 塩でぇ〜」
「わかってますってば」
「なんで車ないのぉ〜?」
「だからぁッ!車検で明後日にならないと戻ってこないんですっ!」
「代車はぁ〜?」
「それを取りに来たんでしょうがっ!現場に届いてますってば」
「なんでマンションに届けてもらわなかったんだよぉ」
「文句ばっかりいってないで歩く!」
「腹減ったぁ〜 つかれたぁ〜」
「小学生以下ですね・・・・」
「脇腹いたいぃ〜 歩けないぃ〜」
「タバコやめたら体力もーすこし戻りますよっ!」
「やぁだぁ〜っ!」
「とっとと歩けっ!」
「うぇぇ〜っっ」
「えぇ〜いっ 泣くな!」
「うぅっ・・・・」
「焼き肉食べにちゃんと連れて行きますから!」
「ういっす・・・」

そんな会話がされているとは誰の耳にも届きもせず
二人は駅の人混みを掻き分けながら 今日の撮影現場へと向かっていた
いつもなら 虎人が運転する車で現場入りするか
マネージャーの迎え そうでなくてもロケバスというものがある
しかし 今日は現場がマンションから2駅の近さという事もあり
二人はこうして珍しく 公共の交通機関を利用してやってきていたのである

そんな二人を 遠巻きに眺めるひとりの男がいた
小さいながらも スパイカメラとも呼ばれるライカの高性能カメラを構え
望遠レンズ越しに 二人の様子を伺っている
人混みの喧騒にかき消される小さなシャッター音
そのファインダーには 虎人の姿が捕らえられていた

男は二人の後を追う事はせず 踵を返すと 元来た方向へと
一人早足に戻っていった
男は駅の裏手に止めてあった目立たないセダンに乗り込むと
静かにその場を走り去った

男が向かった先は 車を走らせて10分程の入り組んだ路地にある
ひとつの雑居ビルであった 路地裏に車を止めると 男は細い階段のある
ビルの中へと入っていった
5階まで階段で上ると 男は一つの部屋の前で立ち止まり
呼び鈴を2回鳴らした

部屋のドアが中からガチャリと開けられ 男は静かに
すべりこむように部屋の中へと入った
ドアを開けて 男を迎え入れた地味なスーツ姿の女性は
すぐに自分の机に戻り パソコンの画面を睨み元の仕事に取りかかった

部屋には古びた応接セットと 木製の事務机が窓際にあり
いかにもテレビドラマなどでみかけそうな
怪しげな 探偵事務所かヤクザの事務所のようだ

事務机に足を投げ出して座っていた男が
加えたタバコの煙をくゆらせながら 入ってきた男に声をかけた

「見つかったのか?」
ライカのカメラをポケットから取り出しながら入ってきた男が応える
「ええ・・・写真を何枚かとってきました
おそらく 間違いないと思います で・・・いつ やりましょう」
「ご依頼人からは来週の頭にはと言われているからな・・・・
早い分には文句もあるまい・・・都合がつき次第やってくれ」
「判りました では手配をすすめさせて頂きます」
「おう よろしく頼む」
「はい」

男達の姿はタバコの煙に包まれていた












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