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エピローグ 2
「ど、どうって……なんなんですか凜花さん、いきなりそれは」
「え? 天女っぽい格好をとおもって……」
「それ天使じゃないですか!」
「似たようなもんでしょ。 それとも……シンはこれ嫌い?」
つっこむシンにむかって、はにかみながらうつむくという高等技を披露しながら、凜花は切なげな目でちらっと彼を見上げてそうたずねた。
シンがNOと言えるはずがない。
ワナワナと震え、絶句するシンのそばに風のように凜花はやってくると、肩に手をかけ、のびあがった。
月と星しか見ていない中、ふたりの影が一瞬かさなる。
頬にふれた潤いのあるあたたかみに、シンの動きがとまった。
「これはお礼……」
唇に小指を当てて、ほんのすこし凜花は頬を染めた。
そしてためらうシンの手をとり、自分の腰に巻きつける。
そのままの姿勢で彼の顔をみあげ、可憐でみだらな天女は艶やかに微笑んだ。
「さあ、今夜はなにしよっか?」
また天女伝説が街で始まる。
END