百花繚乱 -終章- 16
勝ち誇った凜が顔をあげた時、ステージの方からひときわ高い歓声があがった。
「ありがとう!ありがとうみんな!! レイラはまた復帰します。今日みんなに聴いてもらった曲は、あたしがほんとに歌いたかった曲なんだ。それを地元で歌えてほんとうれしかった。ありがと、みんな!!」
わーっとホールライブにも負けない歓声がまたあがった。
集まったギャラリーたちを笑顔で見まわしたあと、レイラはバンドメンバーを、そして玲や真紀、、綾乃や牛島までステージにあげてみんなに紹介する。
そして彼女は最後にコールした。
「このむちゃくちゃなライブをやらせてくれて、そして影で守ってくれた友だちを紹介するよ ……リンカ!!」
真紀が走って照明ブースにもどり、シンと並んでこちらをみていた凜花にスポットを当てた。
その場にいる全員から見つめられ、凜花はぎょっとすると、おもわずシンの腕にしがみついてしまった。
シンはその顔に、そっとヴェールを下ろして隠してあげると、ずれていたティアラを直した。
そして足元に落ちていたブーケをうやうやしい仕草で拾い上げると、凜花に渡して優しく微笑んだ。
『まだまともにこの目を見れない。けどいつか……』
胸の内でそうつぶやく。
突然、凜花は渡されたブーケをまたシンに押し付けると、つかんでいた腕を引っ張った。
「にげるよ、シン!」
「え? ちょ、ちょっと凜花さん!?」
沸き起こる歓声と拍手のアーチをくぐり抜け、カメラのフラッシュに見送られながら、ボロボロのシンと白く花嫁は笑顔で走り出した。