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百花繚乱 -終章- 13
「でも想いを受け止めてほしいなんておもわない。自分のものにならなくてもかまわない。いや、このまま誰のものにもなってほしくない!
俺は、おれはそんなあなたのそばにいて、これからもずっと見つめつづけたいんです!!」
シンの言葉に救われた凜花の顔が美しくゆがむ。目の前までやってきたシンは、震えている肩に手をかけ立ち上がらせると、凜花の背中の前に立った。
「かならず、守ります」魂までも包み込むその声に、凜花はすべてをゆだねてふたたび小束を構えた。
危険な疼きはもう感じなかった。
「いくよ、シン!」
「はい、後ろは気にしないで、まかせてください!」
肩ごしに目を合わせて微笑むと、同時に鬼小島の男に向かって走り出す。凜花が三段蹴りで前の男を吹き飛ばす。その後ろでは、シンがまわし蹴りを放って男たちを寄せ付けさせない。
左右から飛びかかってきた男の一人が、シンの腕を狙って打ち下ろしたバットを、凜花が身体を入れ替え、交差させた小束で受け止めて弾き返す。
ふたたびつながったふたりは、恋人同士がロンドを踊るよに、舞いながら向かってくる男たちをなぎ倒していく。