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百花繚乱 -終章- 7



「おらァ、てめえら!きょうは牛島さんの恋路をかざるんだ。ポリはひとりもいかせんなよ。死ぬ気で踊ったれ!!」

ひときわやかましく目立ったバイクに跨り、ハルちゃんこと春山は、メンバーたちに吠えた。

チームのOBである牛島からの依頼-----これは凜花からの頼みでもある-----を受けた春山は、友好チームすべてに声をかけて人数を集めると、繁華街を取り巻く環状線を暴走させ、自分はライブを守る捨てゴマとして署をおさえにきたのだ。

男気-----といえばきこえはいいが、春山や集まった男たちの顔を見ると『おもしろそうだから』そうしっかりかいてある。

妙に弾んだ声で春山が叫ぶ。

「長くひっぱれ! そんでめいっぱいたのしんだれや!!」








「なにこれ? レイラの新曲!?」

「いつもとちがうぜ?」「でもカッコいい!!」

歌い踊るライブを目にして、はじめはそんなことをささやきあっていたギャラリーたちも、ノンストップでステージを続けるレイラの姿に押され、次第に会話を忘れて歓声をあげだした。


『いつ終わってもおかしくない、みんながやらせてくれたライブなんだ。絶対に止めない! あたしは倒れるまで演るよッ』マイクを握りしめ、汗だくで絶叫しながら、レイラは熱い胸の内でそう叫ぶ。


真紀がステージ奥のPAブースに座り、真剣な表情で音響を操作している。そのそばで玲が照明をあやつる。

トレーラーの運転席では、包帯でぐるぐる巻きな牛島がハンドルをはなさず、いつでも脱出できるようかまえていた。

ライブを楽しむ群集の外では、藤色の銘仙を着た綾乃がインカムを耳に、人ごみにまぎれて辺りを警戒している。


綾乃の切れ長の美しい瞳が、どんどんと集まってくるギャラリーたちの中にあらわれたヤクザの姿をとらえた。


「みんな、きたわよ!」綾乃のするどい警告の声が、レイラ以外の三人の鼓膜に突き刺さった。


『リンカっ、たのんだよ!』

熱気と緊張に汗ばみながら、玲が小さくさけんだ。


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