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タイムマシンに乗り込んで
作:たい


 とある町の片隅に、小さな研究室があった。
そこには工学分野で博士号を取得した岸本学と、その助手である大原卓也の2人がいた。
「おい、大原君、ついに完成したぞ。これが長年研究を重ねた成果だ。」
「これがタイムマシンですか博士。」
卓也はその、『いかにも』という機械を目の前にして言った。果たして、これで未来や過去を行き来出来るものなのか。そう思っていると、
「そこでだ、大原君。君にまず試乗をして貰いたいのだが。」
「えっ!?博士が行くのでは無いのですか?」
「そうしたいのだが、これから学会があってな。どうしても行かねばならんのだ。使い方は見ればわかるだろう。では行ってくる。結果を楽しみにしているぞ」
そう言って岸本博士は研究所を後にした。
見ればわかると言われてもな・・・。
なにしろタイムマシンだ。未来や過去に行って置いてけぼり、なんて洒落にならない。
残された卓也はうろうろしながら、博士への忠誠心と自分の安全、どちらをとるか迷い続けた。

 30分後、そこにはタイムマシンに搭乗する卓也の姿があった。
椅子は車のソファーに似たもので、操作部分には、4桁の数字が並ぶ画面と、大き目のレバーがあった。
どうやら、画面を操作し年号を選び、レバーを引くと、その年号の今の時刻へタイムスリップできる仕組みらしい。何年にタイムスリップしようか迷ったが、
戦国時代や幕末へ行って殺されたり、22世紀へ行って捕まり、「古代人だ。」なんて言われたりしたら困り物なので、
無難に10年後の2017年に設定した
そして、恐る恐るレバーを引いた。

 気がつくと、なぜがコンビニにいた。
どうやら10年後、研究所は無くなり、コンビニになっているらしい。
俺の仕事場が・・・。と落ち込んでいると、ふと新聞が目に入った。丁度いい。10年後はどんな世界になっているのだろう。
新聞を手にし、読み進んでいくと、ある小さな記事が目に入った。
卓也の目がその記事を読んだ時、背筋が凍りつくのを感じた。



■10年前の行方不明事件被害者いまだ見つからず やはり自殺か■
○○○研究所に勤務していた男性が2007年行方不明になってから、今日で10年が立つ。
この事件は、2007年8月1日、○○○研究所で助手を務めていた大原卓也さん(当時28歳)の行方がわからなくなった物で、
同研究所の岸本学博士のコメントによると、
「とある研究の失敗をしてひどく落ち込んでいた。責任を感じていたのかもしれない」
とのことで、自殺の可能性が高いとされている。




 店を出て、あたりを見回したが、タイムマシンの姿はどこにもなかった。














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