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ようこそ★アリス同好会へ
作:櫻 紫陽



第一話 それは残暑厳しい九月のこと。


それは残暑厳しい九月の事。



無人の廊下。
無人の教室。

そこを全力で突っ走る少年がいた。

『廊下を走ってはいけません』
という、忠告の張り紙もさらりと無視。見えてるけど無視。

「今は走っていい状況なんだよ〜〜〜うッッ」


「あぁっ!!!!!」

ずで〜〜ん と豪快に転ぶ。が、0,5秒で立ち上がってまた走る。

「アッッ」
少年の目がきらりと、獲物を見つけた肉食獣のように光った。

少年は叫ぶ。その者の名を。












「アリスゥゥゥゥウウゥゥゥゥッッ」
















     グ ガッッ

少年は崩れ落ちた。回し蹴りを脇腹に食らって。
















「誰がアリスだ。コノヤロウ」

腕を組み仁王立ちで少年を見下ろすのは、アリスというに相応しい、12,3歳の金髪碧眼の子供。
「や〜〜良〜い蹴りだ。ハッハッハッハッハッハッ」
サワヤカに少年は笑っているつもりなのだろうが、口から血をたらし、脂汗を浮かべ、時たま『グハッ』と血を吐く姿は、とても『サワヤカ』とは遠い。むしろ、その状態で何故笑えるのかが解らない。
しかし、慣れというのは怖いもので。
アリスはそんな少年の側頭部を、上靴の踵の部分でグリグリしながら、
「用件は何だ。変態」
それはもう、冷めた目で見下ろす。
「ハッハッハッハッ―――ガハッッ――――あ、血が」
今度は側頭部からも血を流しながら、危なげにヒューヒュー息が漏れる音を混ぜてやっとこさ少年は言う。















「女王が呼んでる」

















バーンと。
アリスは片脚で扉を蹴り開ける。
腕には少年を抱い、ではなく、もちろん引きずって。

「おお。来たかアリス


・・・・・・・・・・と、ソレはチェシャ猫か」


炎のような赤毛に黒い瞳の美女は、もはやアリスに放り投げられようが成すがままの少年ボロゾーキン、もといチェシャ猫を担いだ。そしてそのまま、部屋の隅に転がしておく。

「全員揃ったな」

満足そうに、美女は部屋を見渡した。




「今から『アリス同好会』ミーティングを開始する。――――――部長キング

「はいはい」

美女の言葉に、くすんだ赤毛の青年が歩み出る。

「(ったくよー面倒な仕事はいッッつもオレなんだから)今回集まってもらったのは他でもない、
【時計ウサギ】が見つかった!!!!」



おぉ〜〜〜〜〜〜〜っ



部屋のあちこちから歓声があがる。







「今夜城にて、歓迎会だ。時間は十二時ジャストに『アリス同好会』部室集合。
・・・・・あ、帽子屋は眠りネズミと三月ウサギ、引っ張ってこいよ。トゥイードルは遅れるな。お前等だけ11時半集合。じゃ、解散!!」







それは残暑厳しい九月しんがっきのこと。
とある男子校の【アリス同好会】でメンバーたちはまだ見ぬ新入部員に心躍らせていた。












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