東都大学大騒動〜平次と哀の一日〜(2/3)縦書き表示RDF


※中編です。平次も哀嬢も新一も仲田(←誰だよ)も、みんな大好きと再認識しました。引き続き読んで頂けましたら嬉しいです!よろしくお願い致します!
東都大学大騒動〜平次と哀の一日〜
作:楓



中編〜ヒーロー見参!





 大至急エントリーを済ませ、三人で会場となっているメインキャンパスに向かう。

 先を急ぐ仲田の後を歩きながら、平次が声を潜めて言う。
「…ホンマに出る言うなんて思わんかったわ」
平次は苦々しく頭に手を遣った。目は恨みがましく哀を見ている。
「………何、拗ねてるのよ」
「今日は色々プランたてとったんや。昼からあっち回ってこっち回って〜ってな。全部台無しやん」
「あら、貴方の友達の窮地を救ったつもりだったんだけれど?」
「モノに釣られたんやろ」
「気のせいよ」

 こんなことなら、とっととトンズラすれば良かった〜と叫んでも後の祭り。小声でポンポン言い合い続ける二人に、
「しかし服部にこんなに可愛い知り合いがいたなんてな〜。で、どんな関係?」
と、先を歩いていた仲田が振り返って聞いてくる。哀は平次をチラリと横目で見る。


「…………隣に住んでるコや」
「へえっ服部ラッキーだったね!あれ?でも服部確か工藤と同居してたよね?もしかして工藤とも知り合い?」
「ええ。彼が一番長い付き合いかしら」
「じゃあ工藤もびっくりするんじゃない?哀ちゃんがミスコンに参加したら」

哀が愕然と立ち止まる。

「───彼、来てるの?」
「当たり前じゃん、工藤も東都大生なのに。今日は幼なじみを連れて来てるみたいだし、推理研究会の方も手伝うって言ってたし、忙しそうだけど。でもメインキャンパスはどの学舎からも見えるからね、ミスコンの様子は工藤も見てるよ、きっと。友人のオレが企画司会だし!」



呆然と立ち止まったままの哀を、平次が半眼で見つめて溜め息をつく。
「……自分、考えてへんかったな?」
「……うかつだったわ……」
これからの展開を思い、二人で盛大な溜め息を落とした。








 三人は、人でごったがえした会場に到着する。哀はあまりの熱気に立ちすくんだ。皆、手に何かの用紙やパンフレットを持ち、中には鉢巻きをした者もいる。まるでアイドルのコンサート会場だ。
「うわぁ凄い人混み〜こりゃ前評判上々だね!あ、哀ちゃん、あと30分で始まるから、ステージ脇に来てくれる?じゃな!服部!」
こっちこっち、と仲田は哀を引っ張って行った。



「まず、7人の事前投票で選ばれた大学の女のコが登場して、その後に一般エントリーの3人。3人しか集まらなかったんだよね〜。哀ちゃん最後でいいよね?聞くのは簡単なプロフィールと趣味。あと、特技披露があるんだ。簡単なのでいいから、何かある?オレ司会者だから、できるだけフォローするから!大丈夫!哀ちゃん、言っちゃなんだけど、メチャ可愛いから!小学生には絶対見えないし、今日のカッコなら下手したら高校生!自信持ってね!」
仲田は哀の肩をポンと叩くと、憎めない笑顔を向けて、ステージ上に打ち合わせに上がって行った。


(早まったかしら……)
哀は溜め息をつき、ステージ脇の壁にもたれかかった。周りを見渡す。自分を含めて10名。それぞれの気合いが入りまくった化粧と服装を見て、更に大きな溜め息をつく。


「───あら、なぁにこのコ。迷子?」
 顔を上げると、ばっちりフルメイクの派手な女の人が立っていた。甘ったるい香水の匂いが周りに充満する。
「ま・さ・か、ミスコンに参加するコじゃあないわよね〜?あなた、年いくつ?お父さんやお母さんは?」
嫌な感じの笑いと共に顔を覗き込まれる。周りからも失笑が起こり───

「村岸先輩?ちょっと言い過ぎですよ?」

二人の間に、髪を綺麗に巻いた女の人が立ち塞がった。『大丈夫?』と小声で哀に囁いてくる。チラリと見えた横顔は、これぞ男達の庇護本能をくすぐる、といった感じに可愛らしい。

「何?椎名…前から思ってたけど、アナタちょっと調子のってるんじゃない?本命だかなんだか知らないけど、いつか痛い目にあうわよ?」
「ご忠告ありがとうございます、でもそれとこれとは違いますよね?…このコに謝って下さい」
「───な!」
 顔を真っ赤にした村岸が、椎名と哀に掴みかかろうとした時だった。

「哀チャ〜ン?……なんやどないしたんや?」

「「「服部君!?」」」

「…え?服部先輩?」

焦って小声で言い訳をする女性陣を無視し、平次が哀に近寄ってきた。椎名が戸惑いがちに、哀と平次を見比べる。
「哀チャン、ちょお渡し忘れたんがあってな、アッチ行こか?」
───椎名サンやっけ?サンキュな?平次がそっと囁いて、哀の背中を押しながら少し離れた。
後ろからは『何あのコ!服部君の知り合い!?やっばぁ〜い』と数人の焦った声が聞こえてきた。



「…平気か?」
「大丈夫よ。馬鹿馬鹿しくて可愛らしいくらいだわ。……どうしてここに来たの?」
「仲田がステージから合図送ってきたんや。……スマンな、終わったらドコにでも連れてったるから、もうちょい辛抱してな?」
「服部君のせいじゃないじゃない」
「ええから!……一番前で見とるから。頑張って来いや?」
「ええ」
哀は頭をゆっくり撫でられ、くすぐったそうに笑った。







村岸さんは、嫁に行った親友の新しい名字です。……すまん村岸……











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