Scene 5 どうしても君を失いたくない
狂いなく季節は繰り返し、新しい冬がまたくる。
凍り付くような空気に包まれ、今日も目まぐるしく僕は暮らす。
明け方の濡れた道に車を止めてひとりで目を閉じ、
少しだけ懐かしい夢を見た。
僕が走る夢を。
どうしても君を失いたくない。
胸の奥から、叫んでる。
戻ることのない流れの中で、心燃やした人だから。
窓に落ちる雪の粒ははかなく解けてなくなり、
人気のない交差点を並んで歩く二人が見える。
恋じゃなくなることは、人を裏切ることになるのか?
愛を貫くことの結果は、ひとつなのか?
どうしても君を失いたくない。
胸の奥から、叫んでる。
戻ることのない流れの中で、心燃やした人だから。
同じ涙を流しあえる、かけがえのない人よ。
どうか強く、手をとりあおう。
つらいときは、なけばいい。
「ねぇ?なーに?ぼーっとしてるの?大丈夫?」
彼女の一言で、僕は我に返った。
そうだった、今は会社で知り合った新しい彼女とデート中だっけ…。
静かな海辺のベンチ。
元カノとの思い出の場所に、彼女を連れて来てしまったらしい。
自分で自分を最悪なヤツだと、苦笑いした。
「あー。また面白いこと考えてたでしょ?」
さあ?と、とぼける僕。
彼女はかわいい笑顔をみせて、ふたりじゃれあう。
こんな日がいつまで続くんだろう?
いや、考えたって埒があかない。
前の恋愛で痛い程経験したじゃないか、と自分を戒める。
二人のことに蓋をして生きるとか。
激しく憎み合って、忘れるとか。
僕らの行く先がどこかに、あるはずだ。
と、自分に言い聞かせる。
恋愛なんか、なるようにしかならない。
人の感情だって生き物なんだから。
痛みがあっても構わない。
その痛みが、人を成長させるはずだから。
だからもう、僕は。
誰かを好きになっても迷わない。
自分らしく、生きて。
自分らしく、恋愛していく。
僕の、
『大切なトモダチ』が、教えてくれたから。
どうしても君を失いたくない。
胸の奥から、叫んでる。
戻ることのない流れの中で、心燃やした人だから。
いつか、一緒に海に行こう。
波の音を聞きたい。
あの日の砂の上で踊ろう。
過ぎ行く日々に、手を振って…。
追憶のカケラは、うっすらと白く世界を包んでいる。
君は目覚め、出掛けて行く。
変わらない街の、
人込みの中に。 |