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FRIENDS〜フタリノカタチ〜
作:天千代



Scene 2 僕の罪


最近仕事が忙しかったのでうる覚えなのだが、『彼女』に電話するのは多分一年ぶりくらいだと思う。

だめだ、留守電。

とりあえずメッセージを残して、電話をきる。
何時ものようにひとり寂しくコンビニ弁当で晩御飯をすませ、疲れた体を休めた。

次の日、会社から帰ったあと、一息ついて『彼女』へ電話してみた。
しばらくコール音が続く。
今日も留守電かと思ったその時だった。

「…もしもし?」

懐かしい声に思わず言葉を忘れてしまった。

「もしもし?」

僕は自分の名を告げて、久しぶりだねと挨拶した。

「あ、久しぶりぃ。元気?」
「私?ま、元気といえば元気かなぁ。」
「そっか…。でさぁ…。」
「はは。相変わらずじゃん…。」

積もる話がたくさんあった。
ひととおりそれぞれの生活状況のことや愚痴など、いろんな話で盛り上がった。
気がつけば一時間はたっていた。
『彼女』が疲れているのもなんなので、とまた翌日電話することを取り付けて、電話を切った。

なんだか懐かしい気持ちになった。

翌日もそのまた翌日も、僕は『彼女』に電話し『彼女』も僕に電話してくれる毎日がしばらく続いた。

まるで、やめた煙草に手を出すように。

当たり前のように『彼女』と電話するようになって、ふと思うことがある。

僕はただ、居心地のいい場所だけを探してあるく奴なんじゃないか?って。

いろんなことを考えた。
思ったように進んでない自分の夢のこと。
日々仕事だけに追われる毎日のこと。
知らないうちに衰弱していく、僕の気持ちや感情。
本当に今のままでいいんだろうか?という迷い、葛藤。

そんな心の隙を縫いながら、思わず言葉が溢れる。



…逢いたい。



「え…?」

『彼女』は突然の言葉に戸惑う感じだった。
僕はただ、素直な気持ちをもう一度言葉にした。

逢いたいんだ。君に、と。

静寂が長く感じた。
そんな静寂を切り裂いた『彼女』の言葉。

「…私も。」

えっ?と彼女の言葉に思わず、僕は聞き返してしまった。

「私も、逢いたいな。」

『彼女』は続ける。

「久しぶりに顔も見たいし、ね。」

電話口で表情はわからないが、『彼女』が受話器の向こうで微笑んでいるような気がした。
僕は今度の休日に逢う約束をして、電話を切った。
閉塞感しかなかった生活に、ちょっとだけ新しい風が吹いたような、そんな気がした。

そして約束の休日。
待ち合わせの公園のベンチで『彼女』を待つ僕がいる。
今日の公園はやけに静かだな、なんてぼーっとしていた。
すると、急に後ろから誰かが僕の視界を手で遮った。
その手は僕の知っているちょっと冷たく、細くしなやかな指先の手だった。

「おまたせ。」

ごめんと謝りながら、僕の隣に座る『彼女』。
恋人と呼ばれていたころの関係とは違うカタチで今、僕の隣にいる。

久しぶりに逢った『彼女』は髪型を変えていた。
でも、時々見せる笑顔は変わってない。



やりたいことをやるためだとそれぞれの道を選んで、
別れたことも、もうすっかり忘れてしまいそうな時が続くよ。

I KNOW I KNOW わかってる。
まだまだ、時は十分に過ぎてない。
僕だけのフライングだね。
DON'T YOU KNOW? 知ってるはず。
完全に僕の罪なんだ。

罪が、始まって繰り返す。


罪?
僕の罪?

わかってる。

『彼女』を幸せにできなかったこと。
『夢』を言い訳にして、逃げ出してしまったこと。

多分それが僕の罪。

そして僕は、それを繰り返そうとしてる。
でも今、僕の中にある気持ちは同じ罪を繰り返そうとしてる自分をなんとも思っていない。

ヒトとして、
オスとしての、本能。

ヒトを、
メスを愛したい、という本能。

そんな本能が僕の中にある。

だから例えそれが罪と呼ばれても、僕はきっとそれを繰り返す。



しっかり君を捕まえろ、と。
誰かが僕に囁くけど。
何かが違うと感じるのは、僕がただ臆病なだけなのか?



いや、でも『彼女』の気持ちはまだ、わからない。
どんなに僕が『彼女』を好きでいても、僕はただの友達なのかもしれない。

お互いの気持ちはわからないまま。
でもお互いの笑顔に触れたくて。
そんな二人が今ここにいるのは、きっと…。



…Love、is?












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