Twentyth 湾曲
赤髪の少年と栗色の髪の少女が歩き、その後ろを青い軍服を来た男が歩く。
三人が戦艦に入っていくのを確認したアルカは笑みを溢す。
少なくとも彼らは独自で良い未来へこれから導こうと画索するだろう。自分が大きく動く必要も無くな…………
「はぁ、そうはいかないようだ」
アルカは戦艦を追い掛ける一体のライガを見て、溜め息をついた。
ルークは困惑を隠せずいた。突然連れてこられた戦艦の客室にいた緑髪の少年となんとも奇妙な人形を背負った少女に
「お久しぶりです」
「ひっさしぶり〜♪」と挨拶されたからだ。
「誰だ、お前ら!」
ルークがそう怒鳴ると緑髪の少年は悲しそうに顔を歪める。少女はジェイドという軍人に質問をした。
「大佐〜、もしかしてルークっておぼっちゃまモードのまんまなんですか?」
「そのようですね。ですがアニス、そもそも私たちの方が特異なんですよ♪」
「あたしもまだ信じられませんよ。でも、なんか違いませんか?」
アニスが考える素振りをする。とジェイドも思案する。
そう、前の現在と今の現在は変化していたのだ。
アニスは借金を持たずスパイとして来てはいなかった。更にエンゲーブで食物窃盗事件も起きていなかった。
そして、気になることが一点。
アニスが前回は会わなかったアルカなる人物にあったと言う。
勿論、私も知らない。ただし前回は。
今回は色々な噂も聞いている。とても強く化け物じみているなど逸話も数多い。虚偽かも正当かも真偽は測りかねる。
ジェイドはそこで思案を止め、悲しそうに顔を歪めるイオンに慌てるルークに助け舟を出すべきか、傍観するべきか。考え始めた。
ティアが溜め息を漏らしたのを誰も気付かなかった。
「貴方たちもアルカと名のる人物に出会ったようですね」
「えぇ、ですが、すぐにいなくなりました」
「ますます分からない人物ですね」
「はい……」
ジェイドが艦橋にいくと今度はティアが思案する番だった。
ティアもアルカについてヴァンが話していたことを思い出した。
その目には尊敬と信頼が窺い知れた。
思い出した。アルカは兄さんの師匠だった。
何年も前にそう聞いた。
「でも……そうだとするとアルカは敵……」「どうしました?ティア」
青ざめたティアにイオンは心配そうに近付いてくる。
「い、いえ!なんでも……」
ティアがイオンに返事をしようとした瞬間、艦が揺れた。凄まじい横揺れにティアたちも壁に寄りかかる。
「まさか、襲撃!」
「えー!?あたし、ここにいることモースに言って無いよ!?」
そう極秘の和平交渉であるため知られているわけがないのだ。
すぐさまジェイドから放送が入った。
放送に従い、兵士たちが退艦していく。
ルークたちは艦橋へと走る。
前回とは違い、ラルゴの襲撃もなく甲板に出たルークたちは艦橋へと急ぐ。
艦橋を目前とした瞬間五人の目の前に鮮血色の髪を持った男が降ってきた。
アッシュだ。
「此処から先へは行かせねぇ」
「……アッシュ」
相変わらず眉間に皺を寄せた顔でルークたちを睨む。正確にはルークを。
アッシュは剣を構えるとルークへ襲いかかった。当のルークは自分そっくりのアッシュを見て困惑しながらも剣を構え、アッシュの剣を受け止める。
「ハァ────!!」
「くぅっ!!」
二人がぶつかりあった瞬間、剣と剣の接触部が紫の淡い光を起こし、二人はその力に吹き飛ばされ甲板に転がる。
「ルーク!」
ティアがルークに近付き頭を起こす。ルークの目の焦点があってくるとルークは笑顔を形どる。
「大丈夫だ。ティア」
ティアは久しぶりに見たルークの笑顔に嗚咽を漏らす。
「ルー……ク……?」
「ただいま、ティア」
近くで見ていたイオンやアニスも歓喜の表情でルークに話しかける。
再会を喜んだ後、アッシュを起こす。
「ん?」
起きたアッシュは周りを確認し、ルークたちに聞く。
「どういうことだ?」
アッシュも帰ってきた。
世界を湾曲させよう
未来を湾曲させよう
過去を湾曲させよう
現在を湾曲させよう
英雄に許されたものとは、なんだろう
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