第2話:約束ねぇ…
三人で校門を抜け、おれは不意に校舎を見た
古くもなく新しくもない、なんの変哲もない校舎
まだ入って三ヶ月と短い期間だが愛着が湧いてしまうのはなぜだろう
「あんた、まだ補習が受けたりないわけ?勉強するのはいいことだけど
自分の家でやりなさいよね!」
おれが遠い目で校舎を見ていたからか、夏見が『まったく』という表情でこちらを
見て言った
今思えば(ほんとに今更だが)こいつはどうしてこの高校に来たんだ?もっと上の進学校も狙えただろうに…『工業高校』に来てもメリットなんてないはずなんだがなぁ、こいつは
なに?んなこと聞いてねぇだと?そりゃそうだ、今言ったんだから
この学校で青春はスポーツのみである!…と教頭が頑固そうな顔で言ったのをおれは覚えてる
なぜかって?結論から言っちまおう、工業高校の特色として女子の数が極端に少ない
イコール『恋愛』なんてのは皆無だからだ
まぁ、おれもここに入学しちまったんだ、覚悟ならできてるし特に意識もしていない
一応言い訳しておくが、別に親に強引に受験させられた、ってので開き直ってるわけじゃない
「なにぶつぶつ言ってんだ、独り言なら公園のトイレでやってろよ!」
坂本の介入により、おれの回想は幕を閉じたのであった
夏美の『約束』を守るべく、ゲーセンへと立ち寄る
そう、こいつの約束とは『二人の補習が終わったらゲーセンで遊ぶわよ!』ということだった
『約束』と聞いて青春の匂いを感じた君、残念だったな
中に入るとおれの両サイドに目を輝かせているやつが二人
「ねぇ!どれやるどれやるっ!?」
「あのシューティングもいいな〜、でも『ドラムの名人』も捨て難い!!」
どっちでも構わん、二人して思う存分エンジョイしてくれよ、とおれが言う前には
二人とも姿がなくなっていた
おれも一人で木のように突っ立っているのもどうかと思い、二人の後を追うことにした |