前回のあらすじ……これ書いてると、学生時代に帰れたらな……って思う。どなたか、タイムマシンの開発をしてくれませんか? 1000円ぐらいなら出資します。
朝まで討論第二回「シンデレラになるチャンスは平等にあるべきだと思う(チャラ男は除く)」
この学校に入り、校長の頼みで生徒会に入って早三日。これまではレクリエーションとか一年はやることが盛りだくさんだったので、生徒会の方は顔を出さずにすんだが、今日から部活動の勧誘なども本格的に始まり、生徒会も本格的に始動する事となった。
生徒会の活動について簡単に説明すると、何でも相談室のようなものである。生徒からの悩み事や要望などはもちろん、教師から学校行事などの発案及びその指揮、配布物の作成などの雑務まで色々こなす、言わば学校のよろずやだ。ただ、残念ながら試験の作成には携われないようだ。
第一回目となる本日の議題は、校長からの要請で「春の行事が少ないので、春にちなんだ新入生の喜びそうな新しい学校行事を考えて欲しい」との事だ。
会長、会計さん、風間先輩、記野崎、俺の五人は放課後の生徒会室に集まってそれぞれの席につき、この検案について話し合うことになった。はずなんだけど……
会長は漫画読んでるし、会計さんはふんどし一丁でエロ本読んでるし、記野崎は風間先輩を高い高いしてるし、風間先輩は幸せそうだし……何このフリーダム……自由とは秩序が崩壊することではないのだよ、諸君? ていうか、会計さん堂々とエロ本を読まないで!! そんなの自分ちでやって!!
「あのー……皆さん本日の議題を始めたいのですがよろしいですか?」
「断固却下ですわ」
「会長……一応聞いておきますけど、何でですか?」
「漫画の本読むのに忙しいから」
「ガキですか、あんたは!! 仕事をして下さい、仕事を!!」
「これ読んだら~」
何ガキ臭えこと言ってんだよこの人!! 本当に高二!?
「おい記野崎も何か言ってく……」
「はい、たかいたかーい♪」「キャ♪ キャ♪」
「…………」
「たかいたかーい♪」「キャ♪ キャ♪」
「…………」
「ん、何か用ですか、服部君?」
「いや……別に……」
もう、お前らは帰って病院に行け。頭の。
「ねえ、服部君……」
「何すか、会計さん?」
「エロ本を読んでいたら興奮してきたんだが、ティッシュを持ってないかい?」
あんたは死ね!! 今すぐそこの窓から飛び降りて全裸で死ね!!
「分かったでしょ、服部君。あたくしがこの中では一番まともですことよ」
「いや、そういう問題じゃねえからな、会長。あんたもやる気がないって点では他の連中と一緒だからな。目くそと鼻くそぐらいの差しかねえからな。つーか、そんなんでよく生徒会長になれましたね。この学校には選挙制度とか無かったんですか?」
「バカをおっしゃい。あたくしはちゃんとみんなに認められて生徒会長になったのよ。校長からの推薦で生徒会に入ったどこかのお二人さんと違ってね」
それ言われると返す言葉もない……
「時に服部君。あなたは生徒会にふさわしい条件って何かお分かり?」
「えっと……生徒からの信頼が厚いとか、常に人のことを考えてるとか、そんなとこっすか?」
「ふ……」
鼻で笑われた! え、俺なんか間違ってること言った? こう見えても中学時代に生徒会長とかやってたから自信あったんだけどな……
「ちょうどいい機会ですから、生徒会役員の心得というものを教えて差し上げますわ」
「はあ、お願いします」
「まず、身長は185cm以上」
まず、そこでアウトなんですけど!! ていうか、何で心得がそんな身体的特徴なんだよ!! そんなのどうしようもねえよ!! 風間先輩なんて得に無理だぞ!!
「体重はうっすらと脂肪を残し115kg。脚力、100mを10秒台で駆け抜ける。ベンチプレスは300kgに達する。そしてそのパワーは欧米人を遥かに凌駕する。となれば……」
「愚地克己しかいませんよね!! ていうか、それ生徒会役員の心得じゃなくて究極の空手家像だろ!! もう黙ってろよ、バカ!! このグラップラーバカ!!」
何読んでんのかと思ったらまた格闘漫画かよ。キン肉マン二世といいバキといい、こいつ本当それ系の少年漫画好きだな。本当に女子か?
「他のみんなも会議始めるんで、ちゃんとして下さい。いいですね?」
「「「「はーい」」」」
たく……何で俺が仕切り役になるんだよ。こういうのは普通会長がやるもんじゃねえの? 俺の中学はそうだったよ? まあいいか。慣れてるし。
「本日の議題は校長先生からの要請で……」
「それなら簡単ですわ。逃げた女のことなど忘れてヤクザの女を金で買えばよい、と校長に伝えなさい。それで全て解決ですわ」
「いや、それだと何一つ解決していない上に新たな大問題が出てくるから!! 大事件に発展しちゃうから!! あんた何ドサクサに紛れてヤクザに校長殺させようとしてんですか!! どんだけ校長嫌いなんですか!! そもそも校長の要請は出てった奥さんを探して欲しいってことじゃないから!! ていうか、そのことには触れてやるなよ!!」
「じゃあ、何ですの?」
「何か春の行事が少ないってんで、生徒会で新しい春の行事を考えて欲しいとのことです。できれば、春にちなんだ新入生が喜びそうなものを」
「そんなのは普通教員が考えるものでしょう。それをあたくしたちに考えろとはどういう了見ですの」
「そりゃ、あれじゃないんですかね。発案から進行まで生徒が主体となってイベントをすれば、生徒の自主性も育まれるし学校PRにもなって一石二鳥になるって思ったんじゃないですか」
「早い話が考えるの面倒くさいから生徒たちにやらせて、学校の宣伝にもしてやろうって魂胆でしょ。大した教師たちね」
「いいじゃないっすか。理由はともかくとして、こんなチャンス普通はないですよ。文化祭も体育祭も楽しいイベントはみんな秋にならないとやってこないし、どうせなら俺たちで学校全体が盛り上がるような、楽しいイベントを立ち上げましょうよ」
「服部君……」
会長にやる気になってもらおうと思って俺なりの意見を述べると、会長が漫画本を置き、ジットリとした目で俺を見つめてきた。何かちょっと恐いけど……勘に触ったのかな……
「あなたって、あきれるぐらいクソ真面目なのね……」
「な、なんすかそれ……バカにしてんすか?」
「気を悪くしたのなら謝るわ。でも、誤解しないでちょうだい。あたくし、本当に感心しているのよ。素直に褒めているの。あなたのそういうまっすぐな所はとってもいいことだと思うもの。これからもそういうところは大切にしていきなさい」
そう言って会長はニッコリと微笑んでくれた。てっきり怒られるとばかり思っていた俺は、不意打ちの笑顔に一瞬ドキッとしてしまった。何より、先輩に褒められたのは素直に嬉しかった。
「さあ、皆さん。真剣にこの案件に取り組むわよ」
「やれやれ。会田さんの命令じゃ仕方ないね」
「会長命令は絶対だわさ」
「僕も全力で協力します」
会長の鶴の一声で会計さんはエロ本をしまい、風間先輩は自分の席に戻り、記野崎は私物のノートパソコンを立ち上げ議事録を書く準備をした。
すげえ……フリーダムだったみんなが一瞬で一つに……こんな現象俺の中学ではまず無かったな……俺の話なんか誰も聞いちゃいなかったもん。やっぱり、会長には俺と違ってカリスマがあるんだろうな。
「さあ、服部君。会議を進めてちょうだい」
「あ、はい。では、どのようなイベントにするか何か意見のある方はいますか?」
「そうねぇ……」
いの一番で手をあげたのは会長だった。
「春の漫画朗読大会なんてどうかしら?」
「余裕で却下です」
「あら、どうして?」
「どうしてじゃねえよ!! それあんたが漫画読みたいだけだろ!!」
全くこの人は……ちょっと見直したと思ったらこれかよ……
「服部君。私も意見があるんだけど……」
そう言っておそるおそる手を上げたのは会計さんだった。
「何です会計さん?」
「春のエロ本朗読大会……」
「しばきまわしますよ?」
「なぜだい?」
分かんなかったら医師に相談してください。俺には手の施しようがありません。
「はいはーい!!」
今度は風間先輩が元気よく手を上げた。
「何ですか風間先輩?」
「アンパンマン!!」
「それがどうかしたんですか!? 見たいんですか!? だったら帰りにTUTAYAにでも寄って借りて自宅で見て下さい!!」
「ちぇ……」
ちぇ、じゃないの。高校生って設定ならそれぐらい分かるでしょう。
「あの……僕も意見を言っていいですか?」
「ああ、何かあるのか記野崎?」
「はい。僕が思うに、こういうのは生徒だけではなく、地域住民の方も楽しめるようなものしないとダメなんだと思います」
「お、おお……いいこと言うじゃん。でも、具体的なプランとかはあるのか?」
「はい! その名も、五歳児以下限定・高校生と幼児の触れ合い大会!」
「却下に決まってんだろ!! 何だよそのマニアックなエロビデオのタイトルみたいな大会!! そんなもん学校行事でできるか!!」
「えぇ~……」
何が「えぇ~」だよ!! こっちが「えぇ~」だわ!! 恐ろしいことを爽やかな笑顔で言ってんじゃねえよ、ロリコンが!!
だが、地域住民との触れ合いという点は面白いかもしれないな……春なら花見とか……いや、ダメだ。今から企画・準備してたら校庭の桜は散っちまう……どうしたものかな……
「服部君。考えがあるなら口に出しなさい。あたくしたちに相談なさい。ここにいるのはあなただけではなくてよ。頼りになる先輩が、心強い友達が、信頼するに値する仲間がいるのですから」
「会長……」
良いこと言ってるつもりなのか知らんけど、そんなのどこにもいないからね……ここにはバカと変態と幼児とロリコンしかいないからね……もう、地球上で頼れるのは自分だけだってぐらいの気分だからね、こっちは……
とは言うものの、一人で考えるのも無理があるし言うだけ言ってみっか。
「記野崎の意見を一部取り入れて、もっとこう……文化祭みたいに一般の方も参加できるイベントにしたらいいんじゃないかと思うんですけど、そこから先がどうしたらいいか……」
「なら、あたくしにいい考えがありますわ」
「本当ですか!?」
「ええ、もちろん。題して、文化祭・春の陣!」
「いや、会長……そういう事じゃ……」
「じゃあ、体育祭・一般の陣!」
「一般の方限定!? それ生徒参加してませんよね!? どうするんすか!?」
「生徒たちはただひたすら、自分たちの親が苦しそうに走り回ったり、恥ずかしそうに組体操するさまを眺めて楽しむのよ」
「楽しめるか!! 嫌過ぎるわそんなイベント!! 拷問でしかねえよ!! トラウマになるよ!! 絶対DVに走るよ!! 家庭崩壊するよ!!」
「なら、組体操・服部一家の陣! その名の通り、服部一家による組体操を鑑賞するというイベントですわ」
「何それ!? 何の公開処刑!? 俺の家どんな罪犯した!? ていうか、それ誰が楽しめんだよ!!」
「みんな楽しめますわ。なぜなら、午前の部と午後の部でパフォーマンスに若干違いが出てくるので、間違い探し的な要素も……」
「それ疲れてるだけだから!! 服部一家そんなタフじゃないから!! 丸一日組体操とか無理だから!! もう、許してあげて!!」
ダメだ!! このままじゃ俺だけじゃなく俺の家族にまで被害が及ぶ!! それだけは何としても避けなければ!!
「あの、会長……やはり、一般の方が参加できるイベントにしても誰も来なかったら赤っ恥ですし、父兄の方にも都合とかありますし、そんなこと急に言われても迷惑かもしれませんから、やめておきましょう。あと、準備に手間がかかったら授業に支障をきたす可能性もあるし、出来る限る大掛かりなものは避けたほうが……」
「確かにそれは言えてますわね」
「でしょ?」
よし、何とか一般の方(服部家)を巻き込むのは避けることが出来そうだ。
「では、授業中に誰もいない体育館で組体操・服部家の陣を……」
「だから服部家と組体操から離れろよ!! ていうか、それもう行事じゃねえだろ!! 何で誰も見てねえところで組体操しなきゃいけないんだよ!! 何の罰ゲームだよ!! 誰が楽しめるんだよ!!」
「大丈夫。服部家の皆さんには、生徒及び学校関係者に見つからないうちに組体操を終えて学校を脱出できるかというスリルを楽しむことができますわ」
「何それ!? 服部家、無許可で学校に忍び込んで勝手に組体操すんの!? 何がしたいの俺んち!? 頭おかしいの俺んち!?」
ダメだ。まずは組体操から話をそらそう。
「会長、体育系のイベントにすれば、運動部員が活躍するのは当然です。かといって、文化祭の時に文科系の部活やってる奴が活躍できるかっていうとそうでもない。イベントなんてのは体育会系にしろ文科系にしろ結局、チャラついた運動部のバカどもが頭の悪い女子にキャーキャー黄色い声援送られるか仲良くくっちゃべるだけで、文科系のさえない男子たちは光を当てられることも無く、ただただそういうチャラ男を恨めしげに眺めるしかないのです。だから、どうせなら、そういった普段はライトを当ててもらえないような生徒にスポットを当てる、そんなイベントにしませんか?」
「何だかずいぶんと偏見が混じってるような気もしますけど、言わんとすることは分かりましたわ。では、組体操・世界に一人だけの服部君の陣で行きましょう」
「NA☆N☆DE☆DA☆YO!! それはあれか!? そんな奴世界で俺ぐらいなもんだって言いてえのか!? 言っとくけど、服部君そこまで地味じゃないから!! チャラ男ほどじゃないけど、中学時代は生徒会長もやってたし、そこそこ人気者だった!! ていうか、俺はいいんだよ!! 生徒会の副会長なんて肩書きあったら、結構ちやほやされるんだから!! そういうんじゃなくて、普段目立たない奴が目立てるようなチャンスを作ってあげようって言ってんの!!」
「まあ、何だかずいぶんといやらしい本音が垣間見えましたが、今度こそ言わんとしていることは分かりましたわ。普通に高校生活を送っていては活躍の場を得られないような生徒たちが主役になれる機会を与える……なかなかどうして、若いのに立派な考えですわ」
いや、若いってあんたと一個しか歳かわんねえんだけど……
「あとは全てあたくしに任せなさい」
そう言って会長は意気揚々と生徒会室を後にした。て、ちょ、待てよ!! どうする気だよ!! てか、何する気だよ!! 何か思いついたんなら、まず話し合って決めよう!? ここにはあんただけじゃないんだから!! 変態と幼児とロリコンと苦労人がいるんだから!!
「あっちゃー……これはちょっとまずいかもしれないね……」
会計さんはそう言うと、しまった、という顔をしながら、自分のおでこをぺちんと叩いた。
「会計さん、どういうことすか?」
「会田さんは「こうだ!」決めたら一人で暴走しちゃうからね。しかも、そういう時ってたいていとんでもないことになるからね」
「ま、マジっすか……」
「うん、一年の時はそれで「マラソン大会」が「教頭VS校長の異種格闘技戦」になったからね……」
何がどうしたらそうなんの!?
「でも、あれはあちき達にとってはラッキーだったわさ。マラソンは疲れるだわさ」
うん……まあ……風間先輩にマラソンとか拷問でしかないもんな……
でも、本当何する気なんだろう。何かとっても嫌な予感がするんだけど……
で、翌日。嫌な予感は見事に的中した。
学校の掲示板にこんなポスターが貼られていたのだ。
――――
時は来た!! 全校生徒よ、活目せよ!! 力こそ己の正義を示す武器なり!!
最強の忍と謳われた服部半蔵の末裔 副会長・服部チビ輔!!
VS
生徒のために闇を切り裂く金色の姫 会長・会田蝶!!
男と女……否! 修羅と夜叉が己の誇りをかけて、その牙を剥く!
THE・GEKOKUJO!
来週の全校集会は血の雨が降るだろう……
(エキシビジョンマッチとして教頭VS校長~あの日の雪辱~があります)
――――
さて、どっから突っ込んだらいいのかな……
ていうか、何で俺が会長とガチンコ勝負する流れになってんだよ!! あの会話から何をどう考えてこの結論にたどりつくんだよ!! 意味分かんねえよ!! このポスターも意味分かんねえよ!! 下克上なんてしねえよ!! 戦う気もねえよ!! つーか、あの人は俺が忍者と関係ないってことと長輔って名前を何回言ったら覚えてくれるの!? ていうか、このポスタームカつくんだけど!! 描いたの誰!? 美術部の仕事!? 悪ノリにも程があるだろう!! 何が「血の雨が降るだろう……」だよ!! バカじゃないの!? 本当マジでバカじゃないの!? 高校生でこのセンスはヤバイよね!? ていうかないよね!? ぶっちゃけキモいわ!! あと、ついでに教頭と校長はもうちょっと仲良くしろ!! ていうか、あの日の雪辱って何だよ!! どの日だよ!! ひょっとしてあれか!? 去年のマラソン大会の代わりにやったっていう異種格闘技戦のことか!? そんなの一年は全員知らねえよ!! 楽しめねえよ!! 「は?」ってなるよ!! つーか、これのどこか春にちなんでんだよ!!
何てことしてくれるんだよあのイカレ会長……来週の月曜はサボっちゃおうかな……
次回予告的な
ついに戦いの火蓋は切って落とされた!! 校長は学園の覇権とニトリで買って来た高級ベッドを守るため、教頭は校長の座を狙い、互いの肉体をぶつけ合う!!
勝負の展開は校長ペース。しかし、勝機を焦った校長のミスで事態は一変。校長が絶対絶命のピンチに陥り、あわや教頭の勝利と思われた……その時!! 校長の頭の中で何者かの声が響く……
「我は汝、汝は我……我は汝の心の海より生まれし者……我が名は校長!!」
次回あたりからどんどんカオスな話になってきます。オラ、すげーわくわくしてきたぞ。
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