前回のあらすじ……やっぱり長輔は忍者の家系だった。
豪華三本立第☆回「三本立てって言っても、一本あたりのクオリティはいつもの三分の一ぐらいだから、あんまり期待しないでね」
巫女の条件第十七回「二次元では金髪の巫女というのもアリかもしれないが、初詣に行って金髪のキャバ嬢みたいな女が巫女の服着てたら結構へこむと思う」
地獄のかくれんぼに勝利した後、森の中で偶然にも会長と合流した俺たちは、お星様のお導きにより、何とか山を降りてバスの集合場所にたどりつけた。
だだっ広い駐車場には外灯の類が一切無く、気味が悪いほど真っ暗だ。生徒を乗せたバスも旅館に引き上げてしまったらしく、駐車場には一台のワゴン車しかない。その車の前に二人の人影がいた。
真島先生と壊賀先生だ。
真島先生は俺を見るなり全身を震わせ目に涙を浮かべた。
「服部、お前……生きてたのか!?」
真島先生も俺が死んでいたと思っていたのか……まあ、仕方ないって言えば仕方ないんだけど……
「はい、この通り、ピンピンしてますよ」
「そうかそうか。説教しなきゃいけないんだろうけど、それは後だ。とりあえず、よく生きていたな」
そう言って真島先生は俺の頭をなでてくれた。この人は本気で心配してくれていたんだな……
「あ~くっそ~!! 服部、生きてたのかよ!! これじゃ賭けはあたしの負けじゃない!! あー1万すった!!」
俺の命を賭けごとにしていた壊賀先生と違って。
「ていうか、服部。あんた何で生きてるのよ!! 死んでなさいよ!!」
壊賀先生、いい加減にしないと本気で怒りますよ。
そんな俺の心中を察したのか、真島先生が壊賀先生に席を外すようお願いしてくれた。
「あの、すいません。これからこいつらにちょっと説教するんで、先輩は車の中で待っててくれませんか?」
「あぁん!? おい、真島!! てめえ、いつからあたしに指図できるほど偉くなったんだ!? おう、ゴラァ!!」
「いや、指図じゃなくてお願いです。ていうか、お願いですからちょっと席外してもらえません?」
「あいあい、分かりましたよ!! ペッ!!」
壊賀先生はつばを吐き捨てて車の中に入っていった。
めちゃくちゃ感じ悪いな。ていうか、頭が悪いな。むしろ、頭おかしいよね。あんだけ言いたい放題言って逆ギレとかマジあり得ないわ。
「悪いな、服部。ああ言っちゃいるけど、壊賀先生もお前のこと心配してたんだぞ」
「……真島先生。そんな見え透いたフォローいりませんって。もう、俺慣れましたから。もう、この数時間で人権を蹂躙されまくって、何言われても平気になりましたから」
「そ、そうか……そんなことより、お前その傷どうしたんだ? 全身ボロボロじゃないか?」
ああ、普通に傷のこととか心配してくれるとか、やっぱり真島先生はまともでいい人だな……
「これはちょっと、猟師に妖怪と間違われ、米軍と実弾を使ったサバイバルゲームをした後、大佐と一騎打ちしてから、変な中国人と死刑囚とフリーザっぽい人と変態に命狙われて、熊みたいな変態超人に襲われただけですから心配要りませんよ」
「それ、だいぶ心配する必要がありそうだけどな。普通なら、明らかに4、5回は死んでそうだけどな」
「いや、本当心配ないっすよ。ただ、ちょっと撃たれて切られてチンコ見せられてチンコ晒されてフルボッコにされただけっすから。全然大丈夫っすよ」
「いやいや、お前それ全然大丈夫じゃねえから。身も心も大丈夫じゃねえから。とにかく、お前も俺と同じように治療してもらえ」
「先生と同じように……?」
あ、そう言えば、校長に折られた真島先生の足が治ってる。でも、一体どうやって? ま、まさか!!
「嫌っすよ!! もう、ポーションは嫌っすよ!!」
「何言ってんだお前……? ていうか、ポーションって何だ……?」
「え、あ、いや……特殊な薬っていうか……いや、何でもないっす」
やべえ、超恥ずかしい……周りが変人ばっかりだから、つい常識人の先生にもポーションとか言っちゃったよ……もう、絶対ゲームと現実の区別がつかない危ない子だと思われたよ……
「おい、服部。別に変な薬で治そうとかそういうんじゃないから安心しろ」
「はい……」
そうだよ。真島先生に限ってポーションとか言うわけないじゃん。この人はうちの学校でも絶滅危惧種に指定されるまともな常識人なんだから。ちゃんと、病院に……
「魔法で治すんだよ」
「…………」
えっと……ちょっと待ってね……今変なワードが真島先生の口から発せられた気がするんだけど、これはきっと気のせいだよね? 疲労と空腹で俺の脳内コンピューターがショートしちまったんだよ。魔法と病院って何か似て………………「ま・ほ・う」、「びょ・う・い・ん」……ああ、そうだ。「う」だ。「う」が一緒だ。共通点あるし、やっぱり俺の聞き間違いだよ。そうだよね、真島先生?
「あの、すいません先生……よく聞き取れなかったんで、もういっぺん言ってもらえますか?」
「だから、魔法で治すんだよ」
やっぱり聞き間違いじゃなかったよ!! 間違いなく魔法って言ってるよ!! 唯一の常識人だったのに、ついに変人達の思考に汚染されてしまったよ!!
「おい、服部。お前信じてないだろ」
「いえ、信じてないっていうか、もう何も信じられないっていうか、もうなにもかも嫌になっちゃって……」
「大丈夫だって。絶対治るし、絶対安全だから」
いやもう、そういう問題じゃないし……たとえ俺の傷が治ったとしても、また大事な何かを失う気がするし……ていうか、すでに先生の常識的思考が失われてるし……
「とりあえず、魔法使い呼ぶから」
何かもう変なことを当たり前みたいに言ってるし……
「おい、服部の傷も治してやってくれないか?」
そう言って真島先生が車の後部座席のドアを開けると、
「任せるだわさ」
何か出たああぁぁ!! 何かどっかで見たことあるちっちゃい人が巫女装束着て出てきたよ!?
「陰陽師・風間紀子参上仕っただわさ!!」
そして何かをほざいてるよ!? お前は陰陽師っていうより座敷童子だろ!! ていうか、そんな格好してたら……
「キャワウィイイイイィィィ!!」
ほら、記野崎のスイッチ入っちゃった。
「もう、何なんですか、風間先輩!? 何でそんなかわいいんですか!? 写メとっていいですか!?」
「落ち着くだわさ、書記!! あちきは遊びに来たわけじゃないだわさ」
「すいません……」
そうだよ。よく分かんねえけど、この人は何か不思議パワーみたいな物を使って俺の傷を治療しに来てくれたらしいんだから。邪魔すんじゃねえよ。ねえ、風間先輩?
「あちきは妖怪退治に来ただわさ」
て、違うのかよ!! しかも本当の目的妖怪退治かよ!! もういいんだよ、妖怪は!! 放っておいて大丈夫だよ!! ていうか退治しちゃダメだから!! それ、俺だから!!
「あの、風間先輩。妖怪はもう俺がやっつけちゃったんで、もういいんで、そんなことより俺の怪我を何とかしてくれませんか?」
「そっか~……もう妖怪はいないのか……残念だわさ……」
いや、もう妖怪とかどうでもいいから、早く治療を……
「大丈夫です、風間先輩!! 僕に任せてください!!」
は? 記野崎、お前何言ってんの? 任せるって何をどう任せるの? 何する気なの?
「さ、服部君。早くお猿さんのマスクを被ってください」
「おーい、記野崎、お前マジで何言ってんの!? それで俺にどうしろと!?」
「退治されて下さい」
「その前に俺がお前を殺してもいいかな!? ていうか、マジでいい加減にしてくんない、その病気!?」
全くこいつは風間先輩のためだったら本当見境がなくなるな。まるで、どっかの演劇部副部長さんだぜ……て、あれ? ちょっと待てよ……
今まではこいつのことを男だと思ってから、風間先輩に対する異常な愛情表現も単なるロリコンだと思っていたけど、記野崎が女だということは、それも少し変わって来るんじゃ……
俺は他の連中に聞こえないように声を絞って記野崎にたずねた。
「なあ、記野崎。お前って風間先輩が大好きだよな」
「違いますよ、服部君。大好きなんじゃなくて、超ウルトラ大好きなんです」
「うん、とりあえず、お前が超ウルトラバカってことは分かったから、俺の質問に答えて。お前って実は女の子じゃん? 風間先輩も女の子じゃん? てことは、お前も百合根先輩と同じような女の子が大好きって女の子……いわゆるレズなのか?」
「違いますよ。僕の風間先輩への絡みはそういう恋愛感情的な物じゃありません。マッドドッグさんの言うように、愛玩動物的な絡みです」
「誰だよ、マッドドッグさんって!! マットまっとさんだろ!! 何ちょっといかつい名前で間違えてんだよ!! 失礼な間違え方してんじゃねえよ!! もう感想書いてもらえなくなるだろ!!」
「大丈夫です。マットまっとさんも僕のことを紀野崎って間違えてまし……」
「ぶおおおぉぉぉい!! 人の揚げ足取るような真似してんじゃねえよ!! ほとんど一緒なんだからいいだろ!!」
すいません、マットまっとさん!! こいつ後でヤキ入れときますんで!! だから、嫌いにならないでください!! また感想とか書いてください!!
「そうですねー……第十三回で「ワンちゃんの嗅覚は犬の十万倍……」ってわけ分かんないこと言ってた誰かよりマシですね」
「うるせえよ!! もう訂正したからいいだろ!! 嫌なことほじくり返すなよ!!」
「服部君の中ではワンちゃんと犬は別の生き物なんですかね?」
「うるせえっつってんだろ!! もう、黙ってろ!!」
たくこいつは……あいてて! 大声出したら全身に痛みが……もう、魔法でも何でもいいからなおしてもらおう……
「風間先輩、妖怪退治のことは諦めて、俺の体治してもらえませんか? もう、あちこち痛くて……」
「無理だわさ。そんな気分になれないだわさ」
「ええぇぇ……先生の時は治してくれたんでしょ?」
「あの時は妖怪退治ができると思ってワクワクしてたからできただわさ。でも、今は無理だわさ」
「ええぇぇ……そんなテンション次第の能力なの……? ていうか……それただすねてるだけじゃないんすか?」
「…………ぷいっ」
風間先輩はほっぺたを膨らませながらそっぽを向いた。どうやら図星らしい。どんだけ妖怪退治したかったんだ……てか、マジでできるのか?
「まあまあ、いいじゃないですか、服部君。風間先輩もかわいいことだし、何も問題ありませんよ」
悪いけど、記野崎君は本気で黙っててくれないかな? でないと、無理矢理黙らせることになるからさ。
「副会長ー、副会長ー」
「何すか、風間先輩?」
「そんなに痛いわさか? 限界オーバーしてるわさか?」
「ええ、まあ……ユニバース使って最後の封印でニュクスを倒した後のP3の主人公みたいに体が重いっすね。一言で言うならマジでくたばる3日前♪ って感じっす」
「そんなにひどいなら、あちきの助手にやらせるだわさ」
「助手?」
俺が頭をかしげると、風間先輩はとてとてと可愛い足音をさせながら、車のところまで行き後部座席のドアを小さな手でペチペチノックした。すると、ドアが開いて中から巫女装束に身を包んだ一人の女性が現れた。
腰の辺りまで伸びた金色の髪を首の後ろで結わえ、宝石のような大きな目をエメラルドグリーンに輝かせながら、小さな口で見入ってしまうほど妖しげな微笑を作っていた。興奮か恥じらいからか、あるいは単に化粧なのか、頬を薄っすらと高潮していた。背は俺よりもずっと高く、スタイルも魅力的なほどいい。白い装束は胸の辺りがはちきれんばかりに膨らんでいた。腰の辺りはしっかりとくびれ、脚が長すぎるせいか、赤い袴の裾からは足首が見えていた。だが、それも不恰好には見えず、むしろセクシーにすら思えた。
でも、ちょっと待て。てか、こいつ……
「陰陽師見習い・ジョナサン=万次郎!! 参上や!!」
「ちょっと、待たんかい!! 参上や、やあるかい!! お前そんなコスプレごっこしてる暇があったら、あそこに残って俺を助けろや!! あんまふざけた真似してたらいてこますぞ!!」
「あのー……気使うて関西弁で突っ込んでくれんのはありがたいんやけど、中途半端な関西弁とか聞くと、関西人はイラッとするからやめてくれへん? きょうび「いてこますぞ」って……そんなん言う人いてへんって。ちゃんと喋れへんのやったら、普通に標準語で突っ込んでくれたらええから」
「悪かったな、下手くそな関西弁使っちまってよ!! でも、言わせてもらえば、お前関西人どころか日本人ですらねえじゃんか!! アメリカ人じゃねえか!!」
「ちゃう、ウチはアメリカ系関西人や」
「ねえよ、そんな人種!! 勝手に変な新ジャンル作ってんじゃねえよ!! ていうか、何だその格好!! 何でお前まで巫女装束着てんだよ!! 金髪のお前が着ても似合ってねえんだよ!! 嬉しくないんだよ!! 巫女装束ってのは黒髪の大和撫子が着るからこそ価値があるんだよ!! 萌えるんだよ!! パツキンの巫女さんが許されんのは二次元だけだよ!!」
「何やと、ボケ!! 今のはホンマに聞き捨てならんぞ!! そんなん人種差別やないかい!! アメリカ人が巫女装束着てもええやんけ!! アメリカ人が大和撫子になってもええやんけ!! 言っとくけど、お前ら日本人より日本を愛してる気持ちあるぞ!!
お前らがブレックファーストにトースト決め込んでても、うちはご飯、味噌汁、焼き魚、納豆、の純和食を毎日食べとるんや!! 家では常に割烹着!! 寝るときは浴衣!! 葬式の時はキリスト教の親戚がドン引きすんのもお構いなしに黒い着物で弔問する!! このスタイルを一度たりとも崩したことはない!!
はっきり言って日本人より和服を着こなせる自信がある!!」
「ぐ……! 確かに……悔しいが、たまに欧米人が着る和服というのは、日本人が着るそれより似合っている時があるからな……」
「せやろ!? せやろ!? せやのに、日本人はうちがアメリカ人っちゅうだけで、日本の文化に触れさせようとはしてくれへんねん!!」
「ああ!? 変な言いがかりつけてんじゃねえよ!! 別に日本人そこまで閉鎖的じゃねえだろ!! むしろ、積極的に外国人観光客に媚売ってるだろうが!!」
「ほんなら、何で歌舞伎界はウチを門前払いしてん!!」
ヘイ、ジェニー……それは人種ではなくて性別の問題だよ……それは俺が宝塚歌劇団に入るぐらい不可能なことだよ……ていうか日本大好きならそのぐらい分かるだろ!!
「もういいよ。面倒くさいよ。とりあえず、怪我治してくれよ。お前、衛生兵なんだからそういうの得意なんだろ」
「衛生兵? ああ、さっきのあれはおとんに頼まれた単なる手伝いや。ウチ、ホンマもんの米兵ちゃうねん」
「何じゃそりゃ!? あの親父何考えてんの!? いくら身内だからって、何で軍人でもねえ民間人を作戦行動に参加させてんだよ!! それもう軍法会議もんじゃね!?」
「まあまあ、いつものことやから」
「いつもなの!? それなおさら大問題だよ!! ていうか……じゃあ、ジョナサンは何やってる人なの?」
「せやから言うたやん。陰陽師見習い!! ジョナサン・万次郎!!」
あ、もういい。もう、分かった。お前がわけ分かんない奴だってことは十分分かったから、とりあえず怪我治して。
「よっしゃ。ほんなら行くで~」
ジョナサンは両手を拝むようにピッタリと合わせて目を閉じた。そして、念を込めながら徐々に手と手の間を開いて行き、10cmほどの間隔を作った。
「オン、キリキリ、オン、キリキリ……」
さらに、何やらそれっぽい呪文を唱えると、10cmほどの間隔の中にピンク色の光の玉が現れた。ていうか、マジで何かできるの……? それ凄くね!?
「オーン、キリキリ、オン、キリキリ…………邊穂魔!!」
て、結局ドラクエの呪文かよ!! どの辺が陰陽師!? でも、しっかり治った!! こいつやっぱすげー!!
――次回予告――
体も傷も治り、あとは旅館に帰るだけだと安心していた長輔たちの前に、本物妖怪が現れた!! 生徒を守るために真島先生が立ち向かうが、バナナの皮で滑って失神。会長・百合根・記野崎は生理的に受け付けずパス。主人公の長輔ですらもう面倒臭くなって投げ出してしまった。しかし、陰陽師・風間紀子は颯爽と妖怪に立ち向かう! 果たして妖怪を封じることができるのか!? そしてその妖怪の正体とは!? すべては次回明らかになる!! 君は生き残ることができるのか……次回の生徒会伝説はこの後すぐ!!
――――――――
妖怪伝説!第十八回「女と言う生き物は2,3年会わないととんでもなく綺麗になって、別れたことを死ぬほど後悔させることがあるのに、男は死ぬまで全然変われないのは何故だ……」
体中傷だらけだった俺だが、ジョナサンの不思議パワー(ベホマ)によってHPは全回復し、後は真島先生に車で旅館に送ってもらうだけだったのだが……ここで新たな問題が発生した。
「嫌だわさ!! 嫌だわさ!! あちきも妖怪退治したいだわさ!! 副会長ばっかりずるいだわさ!!」
風間先輩がダダをこね始めたことと、
「仕方ありません。これはもう服部君が猿のマスクを被って、退治されるしか解決する方法はないですよ」
記野崎がイカれたことを耳打ちしてくることだ。
てめえ、いい加減にしないと正体ばらすぞ。風間先輩を抱っこしてあやしている野島を少しは見習……
「ほらほら、風間先輩。プロ野球チップスのレアカードですよ~」
「ぷいっ!」
「近鉄バッファローズの野茂!!」
「ぷいっ!」
「読売ジャイアンツの桑田!!」
「ぷいっ!」
「じゃあ、阪神のパチョレック!!」
「ぷいっ!」
「じゃあ、ヤクルトの古田!!」
「ぷいっ!」
「えぇ~……」
えぇ~……いやいや、野島よ……いくらお前が野球好きだからって、プロ野球チップのカードであやそうとするなよ……別に風間先輩は野球好きじゃないから……ていうか、古いよ!! その4つ全部古いよ!! 確かにある意味レアかもしんないけど!! 今の子は四人とも分かんないから!! いや、古田は分かるよな……てか、もっと他になかったのかよ!! ダルビッシュとかイチローとか今時のイケメン!!
「紀子、あまりワガママを言ってみんなを困らせるものではなくてよ?」
会長……あんたにそれを言う資格はないかと……
「ぷいっ!」
「紀子、大人しくみんなと帰りましょう。これは会長命令よ」
「ぷいっ!」
ぬうぅ……会長命令でもそっぽを向くなんて、こりゃ風間先輩相当本気だな。仕方ない。ここはあの人の力を借りるしかなさそうだ。
「百合根先輩。この世界という大きな舞台で今あなたに与えられた役はやられ役です。頑張ってください」
「嫌よ。怪我とかしたらどうすんのよ」
「相手は風間先輩ですよ。そんなこと絶対あり得ませんって。適当に「うぎゃ~」とか言って倒れてくれればいいですから」
「じゃあ、あんたがやりなさいよ」
「……嫌な予感しかしなんで、嫌です」
くそ~……百合根先輩も当てにならないとなると残る方法はただ一つ……できれば、これだけは二度と使いたくなかったが……やるしかない! 忍法・鬼寄せの術!!
「会計さーん!! ここに金髪美少女の巫女さんがいますよー!!」
鬼を呼び出す言霊を叫んだ瞬間、
「フォオオオォォォーーー!!」
森の奥から変態仮面の雄たけびが聞こえた。
"ババババ……"
そして、ヘリのローター音が……ヘリのローター音!?
「おい、ジョナサン。米軍のヘリはみんな撤退したんだよな?」
「せやな……あんたの目から出てきた殺人ビームに撃ち落とされた3号機以外の9機は、みんな基地に戻ったはずやで」
おい、ジョナサンちょっと待て……てことは何か? お前らたかが妖怪一匹始末するのに、戦闘ヘリ10機で押し寄せてきたってのか!? どうりでしんどいはずだよ!! ていうか、やりすぎだ、バカ!!
まあ、会計さんはその撃ち落とされたヘリを修理してここに向かってるんだろう。て、待て。いくら会計さんが発明好きだからって、ヘリの修理なんてできるのか? 百歩譲ってできたとして、操縦なんてできるはずは……
「おーい!! はっとーりくーん!! 呼んだかなー!!」
その疑問は、おぼろげながら見えてきた会計さんの姿ですぐに解けた。会計さんはヘリに乗ってきたのではなく、自分のチンコをヘリのプロペラのように高速で回転させて飛んで来たのだ。
さすが、会計さん。妖怪のふりをしてもらおうと呼んだら、妖怪になって文字通り飛んでくるとは。もう死んでもらっても構いませんよね?
「ほら、風間先輩。妖怪チンコプターが飛んできますよ。やっつけちゃって下さい」
「むふぅ! 任せるだわさ!」
やる気満々の風間先輩は野島の腕から飛び降りると、懐から一粒の飴玉を取り出し、それを口に放り込んだ。
「変身だわさ!」
風間先輩の体が青く光ったかと思うと、その姿が一変した。
黒い髪が背中の辺りまで伸び、童顔だった顔は色っぽい大人の女になった。身長も会長ほどではないが、俺ぐらいに大きくなり、胸やお尻もいい感じに成長した。
すごいね。本当に変身しちゃったよ。え? 驚かないのかって? ははは、全然大丈夫。チンコ振り回して空飛ぶ妖怪に比べたらマシだから。
しかし、ここから先はさすがに俺も驚いた。
「陰陽五行が一説、火の理だわさ!!」
風間先輩の手の平に炎の玉が現れたかと思ったら、それが見る見るうちに大きくなって巨大な棍棒のようなものになった。いや、待て!! これよく見たら棍棒なんかじゃない!!
「これが陰陽師の武器、対妖魔用携行型多目的ミサイルランチャー!! 通称ジャベリンだわさ!!」
――ちょこっと豆知識――
FGM-148ジャベリン(FGM-148 Javelin)は、アメリカ製の歩兵携行式多目的ミサイル。主な目標は装甲車両であるが、建築物や野戦築城、さらには低空を飛行するヘリコプターへの攻撃能力も備える。完全な「撃ちっ放し」(ファイア・アンド・フォーゲット)機能、発射前のロックオン・自律誘導能力、バックブラストを抑え室内などからも発射できる能力などを特長とする。装甲車両に対して装甲の薄い上部を狙うトップアタックモードと、建築物などに直撃させるためのダイレクトアタックモードが選択できる。トップアタックモードでは高度150m、ダイレクトアタックモードでは高度50mを飛翔する。ミサイルは画像赤外線シーカーと内蔵コンピュータによって事前に捕捉した目標に向かって自律誘導される。メーカー発表によれば、講習直後のオペレータでも94パーセントの命中率を持つという。
――――――――――――
違っ!! それもう絶対陰陽師の武器じゃない!! 明らかに軍人さんの兵器!! 対妖魔用とかじゃないから!! 絶対に対戦車用だから!! ていうか、そんな最新兵器どこで手に入れ……は!!
「いやぁん、嬉しいわ。師匠ったら、ウチが誕生日にプレゼントしたミサイルランチャーまだ持っててくれはったんや」
やっぱりお前の仕業か、ジョナサン・万次郎!! 何、誕生日プレゼントにとんでもねえ代物をとんでもねえ民間人に横流ししてんだよ!! お前の一家はまとめて軍法会議にかけられろ!! ていうか、何で火の玉がミサイルランチャーに変身するんだよ!! 一体どんな能力持ってんだよ、あの不思議風紀委員!!
「ていうか、風間先輩!! それはいくらなんでもやばいですって!! いくら会計さんでも死にますって!! いくらコメディーでも髪の毛一本残らず消滅しますって!!」
「むぅ~……それはちょっと考え物だわさ」
「そうです、そうです。ちょっとでいいから落ち着いて考えましょう! できれば、そのお手々に持った物騒な物は地面に置きましょう」
「むう~……それじゃ仕方ないだわさ……」
「おぉ!! それじゃ……」
「発射」
「何でだああぁぁ!!」
何で今の流れでファイアになっちゃうんだよ!! って、言ってる場合じゃねえ!! ミサイルがまっすぐに会計さんのところに!!
「よけろ会計さん!! いくらあんたでも死ぬぞ!!」
「いや、よけない!! 我が巨珍流の辞書に敗北と逃走の文字は」
“ドゴオオオオオォォォォン”
言ってる途中で大きな雷が落ちたような閃光と轟音が辺りを包み、
「なあああああぁぁぁぁぁぁぁ……」
会計さんの影は光の中で一瞬にして蒸発した。
「妖魔滅殺!! 除霊完了だわさ!!」
そして風間先輩が満足そうな顔で何かをほざいた。
あれは妖魔滅殺というより、変態抹殺な気が……まあ、ちょっと焦ったけど、よく考えたら相手は会計さんだ。チン毛の細胞から再生して、ひょっこり出てくるだろ。大丈夫、大丈夫。たぶんだけど。
――次回予告――
見事妖怪を退治した風間紀子! しかし、彼女の力はこれだけではなかった! その力とは! 次回へ続く!
次回の生徒会伝説はこのすぐ下!!
――――――――
自由と責任第十九回「ルールは破るためにある! とか言っても破らない方がいいルールもある。でも、時にはルールを破ってでも自分の信念を貫きとおすことも大事だ。でも破ってばっかいると、結構ウザい奴だと思われる。じゃあ、どうすりゃいいんだ?」
妖怪退治もすんで、風間先輩も満足したし、いい加減に旅館へ帰ろう。と言うところで、風間先輩がもっともなことを言い出した。
「ところで、何で会長と百合根が一年のオリエンテーリングにいるだわさ?」
至極もっともな疑問だわさ。
「……」「……」
そして、二人とも沈黙。まあ、答えられないわな。会長はカレー食いたさに無理矢理ついてきただけだし、百合根先輩にいたってはその会長をストーカーしただけだからな。
「あちきの調べでは、二年で欠席になってるのは会長と百合根だけだわさ。両者ともに連絡はなく、欠席の理由は不明だわさ。つまり、サボりということになるだわさ」
すげえなこの人。全校生徒の行動全部把握してんのかよ。じゃあ、迂闊に学校帰りにゲーセン寄るなんてこともできねえな……
「やめた方が無難だわさ」
うん、分かったから、あんたも心の中の台詞にコメントするのやめてくれない? 前にも言ったけどそれ凄いビックリするだわさ。
「気をつけるだわさ」
だから、やめろっての。
「さあ、二人とも答えるだわさ。どうして、ここにいるだわさ」
「おし、じゃあ言おう!! ぶっちゃけ、あたしは会田さんのストーカーです!! でも鉄拳制裁は勘弁して!! やるとしても、顔だけは絶対にやめて!! あたし演劇部の副部長だから!! 心はいつだって女優だから!! 体いつでも会田さんの物だから!!」
すいません、風間先輩。その人には顔面をグーでお願いします。
「あちきも女の子だから顔だけは勘弁してやるだわさ。しかし、風紀を乱すような真似をした罰は受けてもらうだわさ。腹筋に力を入れるだわさ」
「おし、こいや!!」
「だわさ!」
“ドフ!!”
「ぐはっ!」
かわいい掛け声とは裏腹に、鋭いボディーブローがもんの凄い勢いで百合根先輩のわき腹に突き刺さった。そして、あの超人強度100万パワーの百合根先輩を一撃で沈めてしまった。な、何て恐ろしい……
「それで? 会長はどう言い訳するだわさ?」
「えっと……あのあの……」
“パキポキ”
いかん! 風間先輩がケンシロウのように拳を鳴らし始めた! このままでは会長まであのボディーブローの餌食になってしまう!
「待ってください、風間先輩!」
俺は慌てて会長と風間先輩の間にわって入った。
「会長はカレーが食べたかっただけなんです!! 百合根先輩とは違うんです!! だから、会長は殴らないであげてください!!」
「分かっただわさ」
「ありがとうございます、風間先輩」
「その代わり、副会長を殴るだわさ」
「何ぐふぇ!!」
オーケー、大丈夫だ。もう、慣れたから。この数時間で理不尽な暴力にも、強力な攻撃にも慣れたから。もう、どんなことされても、どんな攻撃食らっても全然平気……ゴハッ! 口から血が……ごめん、やっぱり超痛い……むしろ、この人の攻撃が一番痛い……今日一番の大ダメージ……
「服部君、大丈夫!?」
倒れこんだ俺を会長が優しく抱きかかえてくれた。
「か、会長……もう無理ぽ……」
「服部君……あなたどうして……」
「か、会長に……痛い思いをさせる……わけには……って……張り切っちまって……」
「もう……本当バカなんだから……」
そう言った会長の笑顔は天使のように優しく、だがどこか悲しげだった。俺は会長を安心させようと、無理して微笑み返そうとした。が、それがいけなかった。
「へ、ヘヘ……ゴハッ!」
あ、やべ……俺の口から吐き出された血で会長の天使のような笑顔が真っ赤に……あれ? ちょっと待って。天使のような笑顔から赤鬼のような笑顔になってるんだけど……ちょ、タンマ。何で拳を握り締めてるの? 何でそれを振り上げてるの? まさかとは思うけど殴ったりしないよね? こんなに頑張ってる俺を“バッキィ”とかいって殴ったりしないよね? ね?
“バッキィ”
ちょ、会長……これはあんまりじゃないかな……これはいくらなんでもあんまりじゃないかなぁ……俺こんなに頑張ってるのに……何でこんなに報われないの? 俺何か悪いことしたか? もう、身も心もズタズタのボロボロだよ……
「仕方ないだわさ。ここは副会長の一発ギャグに免じて、会長のお仕置きは大目に見てやるだわさ」
風間先輩……この暴行事件を一発ギャグですまそうとしないでください。もう、軽い集団リンチですから。
「それじゃ、あちきは会長と百合根を連れて帰るだわさ」
「あら、紀子。どうして、あたくしも帰らなければならないの?」
「会長だって明日学校があるだわさ。明日もサボる気わさか?」
「大丈夫でしてよ。あたくし、勉学には多少の心得がございますの。一日や二日の遅れなど、大したことございませんわ」
「じゃあ、バイトもサボるだわさ」
「が……!!」
「そしてクビになるだわさ」
「ぎ……!!」
「無職になるだわさ」
「ぐ……!!」
「生活に困るだわさ」
「げ……!!」
「作者と同じニートになるだわさ」
「ゴハッ!!」
あ、血吐いた。よっぽど嫌だったんだ。特に最後の奴が。
「第一、会長の目的がカレーを食べることだったら、もう目的は果たしただわさ。用事はないだわさ。帰るだわさ」
「そ、それもそうね……」
何やら良く分からない精神的ダメージを受けた会長は、腹いせか八つ当たりか良く分からないが、俺の肩をがっしりと掴んだ。
「服部君、あたくしは用事があるからもう帰るけど、後のことは頼んだわよ。くれぐれも!! このイベントで彼女を作ろうとか、そんな不埒なことを考えてはダメよ!! よろしくて!?」
「え、ええ、分かりました。てか、そんなの作ろうと思っても作れないですって。俺、そんなに格好良くから」
「そ、そんなことはなくてよ……女子の中にはあなたのことを格好いいと思ってる子もいるんだから……」
「マジっすか!? どこにいるんすか、そんな人!! 今度紹介してくださいよ!!」
「…………」
“バッキイ”
無言で殴られた……何でだ……? ああ……彼女を作ろうと不埒なことを考えたからか……でも、だからって殴らないで……てか、ずるいよ会長……こんなトラップ誰だって引っかかるって……
「用事もすんだし、帰るといたしましょう。紀子、お願いね」
「アイアイサーだわさ」
あれ? そういや、風間先輩たちはどうやって帰る気なんだ? あの車は俺たちを旅館に送る用のやつだし、他には車も乗り物もないし……その答えは風間先輩が教えてくれた。
「だーわさ、わさわさ。だーわさ、わさわさ。だーわっさ!!」
風間先輩が可愛らしい呪文を唱えると、
“ゴゴゴゴゴゴゴ……”
大きな地震が起こり、
〈ウオオオオオォォォォォン!!〉
アスファルトをぶち抜いて地面の中から巨大な竜が現れた。例えとか比喩とかそんなんじゃなく、本物のドラゴンだ。グラウンドほどの広さの背中には大きな翼があり、大型トラックぐらいなら一口で丸呑みできそうな口には東京タワーをポッキーのように食べてしまいそうなほど鋭い牙がギラリと光っていた。
だーわさ、わさわさで目の前にドラゴンが現れた。その、あまりの信じられない現実に、頭がついていけず、俺は突っ込みを入れるのも忘れ、立ち尽くした。
〈我はラーヴィス……バルト族の牙、暗黒の翼、魔界の空を統べる者、かつて神々を震え上がらせた伝説の竜王ラーヴィスなり。古の盟約により、汝の望みを叶えよう。この世界を滅ぼすもよし……この世界を統べるもよし……汝の思うがままに我が力を使うがいい。さあ、望みを言え〉
おい、何かとんでもねえ中二設定ほざいてんだけど、この化け物。コメディーだからそんな作りこまれた設定いらねえのに、凄い自己紹介してんだけど。何だよ神々を震え上がらせた伝説の竜王って。どんだけ恐ろしいんだよ。ていうか、風間先輩こんな本物のバケモン呼び出してどうする気だ!? ポケットに入れて持ち歩くのか!?
「あんた空飛べるでしょ? あちきたちを乗せて町まで飛んでって欲しいだわさ」
〈…………〉
それだけ!? たったそれだけのために、こんなごついバケモン呼び出したの!? バルト族の牙もビックリして固まってるよ!! 暗黒の翼をそんなタクシー代わりにしないでって目で訴えてるよ!!
〈えと……ごめん、我最近ちょっと耳が遠くなったから良く聞こえなかったわ。もう1回言って〉
ウソついた!! 受け入れたくない現実から目を背けるためにウソついたよ、この伝説の竜王!!
「だから、タクシーになって欲しいだわさ」
〈…………〉
はっきり言いすぎです、風間先輩!! 伝説の竜王が若干涙目です!! そんなことで呼び出されてショックを受けてます!!
〈いや、あの……別にできなくはないっていうか、むしろ余裕でできちゃうんだけど……我の力って凄いから、個人的な意見としてはもっと別なお願いをした方がいいと思うのね、うん。あ、古の盟約の2ページ目にある『ご利用期間とご利用回数』ってとこ良く読んでもらえば分かると思うけど、我って一年に1回しか呼び出せないレアな怪物なんだよね。もう、言ってみれば神龍クラス。それにねぇ? わざわざドラゴンボール必死で集めて呼び出して「背中に乗りたい」って言うのは、ちょっともったいない感じがしない?〉
必死だ!! 必死でアピってきたよ、伝説の竜王!! ていうか、古の盟約一体どんなこと書いてんだ!? 何だよ『ご利用期間とご利用回数』って!! 何でそんな現代の契約書風なんだよ!!
「別にいいだわさ。だって、あんた他に使い道ないし」
風間先輩!! 言いすぎですって!! もう、伝説の竜王涙目どころじゃないですよ!! 半泣きですよ!!
〈ふわあぁ……あ、ごめん。昨日ちょっと魔界の四天王と徹夜で麻雀やってたから寝不足でね〉
ごまかした!! これはあくび涙なんですよってアピールしやがった!! でもウソ丸出し!! だってお前の馬鹿でかい手じゃ絶対麻雀牌なんて握れない!! ていうか、その面子もうそ臭い!! 何で魔界の四天王が集まって麻雀なんてするんだよ!! そんな卓絶対着きたくねえよ!!
「つべこべ言ってないで、早く乗せるだわさ。じゃないと契約違反でお前の親父にチクるだわさ」
〈え、ちょ、待って!! 父ちゃんは勘弁して!! うちの父ちゃん本当恐いから!! 前に家に友達が遊びに来た時、ふざけて父ちゃんのツボ割ったらブチギレて魔界の五分の一が消し飛ぶぐらいの大戦争になったから!! おかげで住んでたアパートぶっ壊れたから!! 今プレハブ暮らしだから!!〉
どんだけ恐いんだよ、お前の親父!! 何でツボ割っただけで戦争になるんだよ!! それもう恐いっていうか頭おかしいだろ!! ていうか、お前アパート暮らしだったの!? 伝説の竜王なのに!? 今はプレハブなの!? 伝説の竜王なのに!?
「それが嫌なら早く乗せるだわさ」
〈く……一応もう1回だけ聞いておくけど、本当にそれでいいのね?〉
「いいだわさ」
〈ファイナルアンサー?〉
「ファイナルアンサーだわさ」
〈………………正解〉
何が正解なんだよ。ていうか、竜王的には残念だろ。
「それじゃ副会長。あちきたちは帰るけど、くれぐれも風紀の乱すような行動は慎むようにするだわさ」
「はいはい、大丈夫ですよ」
ていうか、ドラゴン呼び出して世界観乱しまくってる人に言われたくない。
「それじゃ、服部君。あたくしも帰るけど、気をつけてね」
「会長も気をつけて」
「くれぐれも死んではダメよ」
「大丈夫です。もう死ぬようなイベントないですから」
ていうか、そんなこと言われたら逆に死亡フラグたちそうだからやめてくれ。
「出発進行だわさ!!」
〈はぁ~……〉
会長と百合根先輩を抱えた風間先輩は伝説の竜王の背中に乗り、夜の空へと飛びだって行った。会長は姿が見えなくなるまでずっと手を振っていた。風間先輩は姿が見えなくなるまでずっと竜王の頭をペチペチ叩いていた。伝説の竜王は姿が見えなくなるまで……いや、たぶんずっと泣いていたと思う。頑張れ竜王。負けるな竜王。俺はお前を応援しているぞい。
さて、それじゃ俺たちも帰るとするか。て、あれ? 何で真島先生が倒れてるの? いや、真島先生だけじゃない。良く見たら、記野崎も野島もジョナサンも壊賀先生も全員気を失っている。こ、これはまさか!!
・記野崎、野島→妖怪チンコプターを見たショックで気絶。
・真島先生、ジョナサン→伝説の竜王ラー何とかを見たショックで気絶。
・壊賀先生→泥酔
どうりで静かだと思ったよ!! ていうか、何で壊賀先生は泥酔なんだよ!! いつの間に飲んでたんだよ!! この人仕事する気あんの!? ていうか、待って……真島先生も壊賀先生もジョナサンも寝てたら……これ誰が車運転するんだ!? さすがに俺も車の運転なんてできねえぞ!! いくら親父が忍者で警察のスパイとかやっててもそれは教えてもらってないからな!?
おい、起きてくれよ真島先生!! おい、ジョナサン!! 壊賀先生……は起こしてもダメだ。飲酒運転で事故る。てか、マジでどうすんのよこの緊急事態。くそ……こうなったら……
「竜王カムバーっク!!」
“バッサ、バッサ”
〈呼んだ?〉
やけくそで呼んだら本当に戻ってきてみんなを回復してくれました。この竜王、結構いい人です。いや、人じゃなかったな。
次回予告
いい加減、このオリエンテーリング偏終わりにしたい。というわけで、次回はオリエン偏最終章にしようと思う。内容はまだ未定。
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