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第58話 第三回戦 ソラVS翔戦

 第二回戦は特に何事も無く終了し第三回戦。この試合が終わり次第、一旦休憩が取られることになっていた。

『さて!第二回戦も終わり遂に第三回戦!ここらから優勝候補同士の潰し合いが本格的に始まります!さらーに!遠距離選手たちの試合は遂に最終決戦!予想通り勝ち上がってきたミストルティン選手と、まさかの弓道部主将を下すという下克上を見せつけた小鳥遊―由利の苗字―選手の試合が行われます!遠距離選手の決勝戦は第三回戦の最終戦となっておりますので、現在勝ち進んでいる皆さんもご覧になることが出来ます!』

『皆で応援にレッツゴー!それ以外に注目は桜対瑞樹だね!』

『私などは天城選手対山岸選手の戦いが気になりますね。両者共に正反対の戦闘方法を見せてきた二人がどんな試合を見せてくれるか、非常に見ものです。幸い、両者の試合は被っていませんので、両方共見れるのは嬉しいところです。』

『うん。その代わり、2つ共見てたらカイトとシュンの二試合が見れなくなるから、考えものだね。』

『ええ。天音選手の試合は第一試合、一条選手の試合は第二試合ですからね。』



 ここまで勝ち残ったソラと山岸なのだが、2-A男子一同の願い虚しく、二人がカイトと戦う前にお互いに対戦となってしまった。

「ち、先に天音を叩いて置きたかったんだけどよ……。」

「あ?何俺に勝ったつもりになってんだよ。……それに、カイトとは俺が戦う。」

 ソラはいつもより落ち着いた様子であったが、いつもより気合が入っていた。

「……知ってるだろ?俺は中学ん時にあいつに負けたまんまなんだよ。」

「ああ、お前の黒歴史な。」

「言うな!……ま、お前に勝てない程度じゃ、カイトにも勝てないだろうな。」

 そう言って獰猛な笑みを浮かべるソラ。

「お前こそなぁに勝った気になってやがる。帰宅部だろ?」

 ソラに触発されて山岸も同じ笑みを浮かべている。

「陸上部と戦闘能力に関係あんのか?」

「ないが、鍛え方が違うっての。」

「は!なら、試してみるか!?」

「来いよ!」

 そう言って二人の模擬戦が開始された。




「あんまここで体力使いたくないんでな!悪いが速攻で片付けさせてもらうぜ!」

 そう言ってソラは一気に詰め寄り、右手の片手剣で横になぎ払う。

『おぉっと!天城選手、今までと異なり最初から自ら仕掛けた!』

『この後の準決勝でカイトと万全の態勢で戦いたいソラが仕掛けた形だね。でも』

「おいおい、速度遅いんじゃないのか?」

『ショウは短剣で軽装備の回避重視だから、真正面からは当たらないよ。その代わり』

 バックステップで避けた山岸はソラの攻撃を悠々と避ける。そしてそのまま一気にソラへ近寄って、短剣で切り裂こうとする。

「おいおい、威力弱いんじゃないのか?」

 あえて先ほど山岸が言ったセリフを真似るソラ。

『今度はショウの攻撃は威力が弱すぎてソラの防御を崩せないよね。』

 都合5度ほど同じことが繰り返される。

「ちっ、いい加減に終わらせたい所なんだけど、な!」

 そう言ってソラが再び攻撃を仕掛けるも山岸には当たらない。

「全くだ。遅い!……こっちだ!」

 そう言って攻撃を避けた山岸は一気にソラの背後へ回り込み、防御の薄い背面から攻撃を仕掛けようとする。

「伊達に防御専門を目指しちゃいねぇんだよ!」

 ソラは背面に回りこまれた攻撃もことごとく防ぐことに成功する。

「ち、やっぱダメか。せめてもう少し攻撃力のある武器にするべきだったかな。」



『さて、両者攻めあぐねてますね。ユリィさん。ここからどのように進めれば良いと思われますか?』

『そうだね。ショウなら(スキル)一択だね。』

『やはり天城選手の防御を突き崩すにはそれしか残されていませんかね?』

『恐らくね。逆にソラには2つある。(スキル)と、このまま防御し続けてショウのスタミナ切れを待つ手段の2つ。』

『ですが、スタミナ切れを待つ場合、天城選手も相応に消耗してしまうのでは?その後の準決勝での天音選手との戦いに影響が出てしまいますよ。』

『うん。その代わりに対カイト戦では切り札を隠し持っておけるという利点があるね。』

『確かに。天音選手はコレまでの試合を見ていると、相手の手札を確認してからカウンターで潰す、という手段を多用しているようです。それを考えれば、あまり手札を晒すのは賢い手段とは言えないでしょう。』

『でも、逆にスタミナを消費したらカイト相手に隙を見せることになりかねないから、考えどころだね。』

『おっと、ここで試合が動き出しそうです!』



「これもできればカイトまでとっておきたかったんだけどね。」

 そう言って呼吸を整えるソラ。ソラは覚悟を決めて手札を一つ晒すことにした。

「やっぱお前もなんか隠しておきたい手があったか。」

 そう言って山岸も力を抜いて息を整えている。

「まあな。さすがに無策であいつに挑む気はないって。」

「なんであいつがオッズ最下位に近かったんだろうな。」

「あいつ、俺のせいで中学時代にガラの悪い先輩方十数人に喧嘩を売った挙句、一人で全滅させたよな……。」

 それ以降、カイトとソラは仲良くなったのであった。

「あの時からか、お前らが変わったの。……あの一件、知らない奴多すぎだな。俺らの中学だと、伝説だろ。」

 二人して小声でカイトの中学時代を思い出す。カイトの中学時代を知るものならば、なぜカイトが低評価なのか分からない。

「良し、やるか!」

「おっしゃ!」

 そう言ってソラが盾を身体より少し前に、片手剣を腰より少し下に下げて構える。対する山岸は力を抜いたままだ。

「いくぞ、<<地走り(じばしり)>>!」

 そう言った山岸は殆ど地面すれすれに短剣を下げて一気に切り上げる。地面と剣の間からは魔力の刃が形成され、そのまま地を這うようにソラへ一直線に向かっていく。剣技における基本スキルの一つであった。

「おまけだ!<<瞬突(しゅんとつ)>>!」

 そう言って<<地走り(じばしり)>>を囮に、一気に後ろに回りこんで高速の突きを繰り出す<<瞬突(しゅんとつ)>>を繰り出す。

「……ふぅ、<<斬波(ざんぱ)>>!」

 そう言ってソラは身体を半回転させながら右手の剣で横薙ぎに斬撃を発生させ、さらにそのまま左腕の盾で一気に山岸を迎撃する。

「な!」

 自分が囮にした斬撃を防がれただけでなく、後ろへと一気に回り込んだ自分には盾で攻撃をしてきたソラに驚愕する山岸。山岸の使用した<<瞬突(しゅんとつ)>>はソラの盾に命中して防がれ、山岸はバランスを崩した。

「コレで終わりだ!も一回、<<斬波(ざんぱ)>>!」

 そう言ってソラは<<瞬突(しゅんとつ)>>を防がれた反動でバランスを崩した山岸へ<<斬波(ざんぱ)>>を繰り出す。

『勝負あり!勝者は期待のダークホース、天城選手!いやあ、見応えのある戦いでしたね。』

『うん。最後のショウの<<地走り(じばしり)>>を囮にして背面へと回り込み<<瞬突(しゅんとつ)>>を繰り出す連携も見事だったけど、ソラは囮に惑わされず<<斬波(ざんぱ)>>で対処してみせて、ショウの<<瞬突(しゅんとつ)>>を盾で防いだ。そこから<<斬波(ざんぱ)>>で反撃までしてみせたのは見事だね。』

『ええ。あ、いい忘れてましたけど、各種の技については各自で調べるか、見たままの現象を起こす技と思ってください。』

『ここでいちいち紹介してたらきりないからねー。』

『では、次の試合に参りましょう!』



 解説と実況が次の桜と瑞樹の試合に移ったのに合わせて、人の波もソラ達の試合場から引いていく。

「……ち、負けたか。」

 肩で息しながら、そう呟く山岸。少し悔しそうであった。

「お前、あれカイトにやるつもりだったのか?」

 ソラも呼吸を整えているが、まだ余裕がありそうだ。

「ああ、まあな。」

「……多分、見切られるぞ。」

「あー、やっぱそうか。」

 そう言って大の字に寝転がる山岸。

「まあ、お前にも見切られたぐらいだからなぁ……。」

「お前の攻撃何回も見てたら、な。普通に初撃が囮っぽいのは気付くって。」

「やっぱ、裏かくには手がたんねーか。……ん?てことはお前、まだなんか隠してんのか?」

「さぁな。どう思うよ」

 そう言ってニヤッ笑うソラを見て山岸は

「……勝てよ?」

「おうよ!」

 そして二人は試合場を後にした。そのままソラは一旦休憩ヘ向かい、山岸はそのまま桜と瑞樹の試合を見学しに向かった。

 お読み頂き有難う御座いました。


 2016年6月2日 

・誤字修正

『万全の態勢』が『万全の大勢』になっていた所を修正しました。カイトを多数でボコっても勝てませんけどね。

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