第240話 告白 ――決心と決意――
今日から当分はまた一日一話更新です。
今回は少しだけ地の文が多いです。
雨宮が立ち去った後、残された面々は少しだけ、寂しそうだった。
「そっか……残る奴も居るんだよな……」
ソラが少しだけ、寂しさを滲ませて呟いた。寂しさは特に、2年A組の面々に深かった。
「仕方がないさ。どうやっても、オレ達もまた、此方の住人とかかわり合いを持っている。そうなれば、恋が芽生え、愛が芽生える事もある。それは自然な事で、良い事でもある。オレ達が別れたくない、という理由で引き止めるのはエゴだろう。結婚式に呼ばれたのなら、きちんと祝福してやれ」
「ですが、良いのですか? ご実家等には、なんと報告するおつもりですか?」
少し寂しげでありながら、祝福する様に言ったカイトに対して、リィルが問いかける。
「ありのまま、伝えるさ。実家にはきちんと写真や手紙ぐらいはオレが運んでやるさ。あしながおじさんでも名乗ってな」
「と、そうじゃ。お主、一体どういうことじゃ? お主一人なら、自由に転移出来るとは聞いておらんぞ?」
カイトの言葉に、ティナが少し訝しむような顔で問いかける。それに、カイトは少しだけ照れた様子で答えた。
「……オレだってホームシックぐらいなる」
「む……」
ティナとて始めから知っていた事だが、カイトの家族は本来は地球に居るのだ。いくらエネフィアに骨を埋める覚悟を持った所で、ホームシックにならないはずは無い。それを引き止め続けていたのは自身だ。それを言われては、ティナとて何も言えなくなる。
「そりゃ、お前やクズハに帰りたいなんて言ったら罪悪感とか抱くだろ。だから言わなかったんだよ。開発出来るのに、それをしていないのは云々、ってな」
「むぅ……」
少しだけ、申し訳無さを滲ませたティナは唸るだけで黙る。当たり前だが、たった一年弱で世界を渡る術を開発してみせたティナだ。それを必要に駆られるまで開発しなかったのは、ひとえにカイトが一度帰ってしまったらもう帰ってこないかも、というクズハ達と同じ不安があった事は否定出来ない。
「なら、こっそり分身でも送り出して、様子だけでも確認する術は自分で開発するしか無かっただろ」
「そう……じゃな。すまぬ。余の不明であった」
「別に良いって」
少しだけ弱々しく謝罪したティナに対して、カイトは少しだけ、照れた様子でそれを許す。それに開発した、否、完成させるに至った理由は、他にもあった。
「それに、もう一つ理由がある」
「なんじゃ?」
「エリザ達は地球だろ? あいつらの事も考えてやらないとな。完成したのは、地球で、だ」
カイトは笑みと共に、そう告げる。地球にも、カイトを愛し、カイトを待つ者が居るのだ。ならば、両方の世界を行き来する術を開発するのは、カイトにとってある種の義務だった。そして、その存在は当面はティナにも隠すつもりだった。それ故、カイトだけにしか使えない様な設定になっているのであった。
それに、まだ、もう一つだけ理由があった。
「それに……な」
「……なるほどのう」
カイトの苦笑した歯切れの悪い言い方は、それだけでティナには理解が出来た。明言出来ぬからこそ、理解が出来たのだ。
「お前……ある種すごいな」
そんなカイトに対して、ある種の尊敬を含んで瞬が告げる。
「ん?」
「女の為だけに、俺達の目標とする物を開発してみせるか……」
「愛した女の為なら、それぐらいやってみせるさ。あ、一応言っておくが、あれもオレしか使えないから、参考にはならないぞ」
瞬の言葉に対して、カイトは朗らかに笑う。伊達に何人もの女性と関係を重ねているわけではない。誑しだの何だのと言われるが、それでも、カイトにとっては全て真剣だった。
そんな瞬の言葉を受けて、ではないが、雨宮の事もあって一同に一度告げる事にした。
「まあ、そういうことで、だ。お前らも誰かと付き合うなら、一言言ってくれ。それが真剣なんだったら、実家とかへの話はオレが通してやる」
「そうか」
カイトの言葉に、瞬が笑う。この女性に対する真剣さと、仲間に対する面倒見の良さこそが、もしかしたら誰しもに勇者と慕われる根源なのかも、しれなかった。
「……時間か。まあ、流石にもう今から昔話なんてやってらんないな。今日はこれでお開きにするか」
そうして一通り語りたいことを語り終えて、カイトは少しだけ気恥ずかしくなったらしい。照れ隠しに散開を告げる。それを最後に、今日の集まりは終わりを迎えるのであった。
終わりを迎えた集まりだったのだが、瑞樹に請われて、二人だけでカイトはテラスに残っていた。
「で、何の用事だ?」
誰もいなくなったテラスで、カイトが瑞樹に尋ねる。場の空気を読んで、ティナ達も全員室内に戻ってくれていた。
「私の……実家の事、ですわ」
真剣な、それでいて、悲しそうな顔で瑞樹が口を開いた。
「私には……許嫁がいましたの。先のエリナの弟……つまりは従兄弟が、許嫁ですわ。名門フィルマの嫡男、ですわ」
申し訳無さそうに、瑞樹はカイトに自らの家の実情を語っていく。
「軽蔑……しますわよね」
泣きそうな顔で、瑞樹が問いかける。瑞樹はこの婚約の話に反対だった。だが、実家の関係で断れなかったのだ。それを関係を持った後に言うのは、簡単に言って卑怯だろう。だが、それに、カイトは笑って告げた。
「知ってるよ、全部」
「え……?もしかして……桜さんが?」
カイトの言葉に、瑞樹が問いかける。だが、カイトは頭を振った。
「違う。始めっから、知ってた」
そう、桜は許嫁がいるので、考えてあげて、と言っただけだ。正確な話は本人が話すべきだろう、とそれ以上は何も語ることは無かった。実はあの時、カイトは知らないふりをしていただけだった。
「フィルマ……当主はアレクセイ・フィルマだろう?」
「知ってるんですの!」
「まあな。神宮寺家の背後を洗い出す際に、日英同盟も調べたからな。流石にそこまで興味が無かったから、あの女の子がエリナだとは思わなかったが……粗方、把握してる。相手の子も然り、瑞樹も然り、生まれる前から、婚約が決められていた事もな」
カイトは微笑みながら、瑞樹に真実を語っていく。それに、瑞樹は呆然となるしかない。自分がやっとの思いで決心して告げた告白は、既にカイトに知られていたのだ。そんな呆然とした瑞樹に、カイトが黙っていた理由を語る。
「ずっと、待ってた。言ってくれるのをな」
「え?」
「オレが勝手に決めてやる事も出来る。だが、それは違うだろ?」
何が違うのか、とはカイトにもはっきりとは言えない。だが、何かが違うとは思った。
瑞樹の行く道は、彼女だけの物だ。彼氏や伴侶として、カイトが手を貸す事は良い。友人として、ティナや桜達が手を貸すのも良いだろう。だが、その行先を決定するのは、何か違うと思ったのだ。
「……」
「わからない、か」
瑞樹は何も言えなかった。確かに僅かにだが、理解は出来た。だが完全に、となると、また別だった。
だが、カイトはそれを仕方がないと思う。カイトは瑞樹の倍近く生きている。見た目相応の顔を見せても、本質は地球では筆舌に尽くし難い程の苦難を超えた大人なのだ。その年季の差が、両者の感覚の差を生んだのだ。
「オレが決断を促してやる事も出来る。でもな?それだと、何時かどこかで後悔が出る。後悔しないように、生きて欲しいからな」
「そう……なんでしょうか……」
「さてな……オレも他人に決定を委ねて、楽だった事もある。実際、その生き方の方が楽だろう」
流されるだけ、その生き方はどれだけ楽だろうか。カイトとて思った事はあるし、カイトの最大の親友は特にそれを実感しただろう。
だが、彼もカイトも言うだろう。少なくとも、反省しても後悔はしていない、と。
「だが、やっぱ後悔するんだよな。他人に決定や判断を委ねると。だから、待った。聞き出すんじゃなくてな。どうせ、帰るまではまだまだ時間がある。決心ぐらいは待てるさ」
聞いている最中からずっと涙を流していた瑞樹を抱きしめながら、カイトは微笑んで告げる。多分、途中から意識には届いていなかっただろう。だが、それでも。何が言いたいのかはわかってくれたはずだ。
「悩む必要は無かったんですわね」
泣き止んだ後、瑞樹は朗らかな顔でカイトに告げる。それに、カイトも笑って告げる。
「そういうこと。何かどうしようもない事があったら、頼れ。手は貸してやるさ」
「ありがとうございますわ」
瑞樹はにこやかにカイトに対して礼を告げる。それを最後に、瑞樹はテラスを後にする。涙の跡が見て取れたので、カイトが風呂に入る様に薦めたのだ。
そうして、瑞樹が去った後。ティナがふらりと現れた。
「言わんで良かったのか?」
「フィルマか?それともその後ろの女王陛下と女教皇か?」
「それもじゃが……神宮寺も然り、それらの繋がりじゃ」
ティナの言外の意図を、カイトも察する。それは、愛する男からプロポーズをされて浮かれている少女らには聞かせたくない事だった。
「全て、オレが片を付ける。それはあの時から、全て覚悟の上だ。だから、打てる手は全て打った……まあ、フィルマや彼女達、最悪アーサー達を通せば、女教皇はなんとか出来るだろうが……」
「潜在的な同盟者に対しては良かろう。巴里の大尊師達も反対はしまい。じゃが、ヴァチカンの退魔師達は良い顔せんが、まあ、ガブリエルが抑えてはくれるじゃろうから此方は大した問題にはなるまい。じゃが、それ以上に……深蒼の覇王が<<秘史神>>をも手にかけたとなれば……お主、どういう意味かわかっておるのか?」
これに、カイトは真剣な顔をして何も答えない。ティナは敢えて、遠くの国だけを明言した。これは、意図あっての事だ。
カイトはただ単に、愛の言葉を囁いただけだ。そして、その言葉にも感情にも、嘘偽りは無い。だが、これは。地球に、否、日本に帰る事を考えれば、軍事・政治上ある意味を持っていた。そうしてしばらくの沈黙の後。カイトが口を開いた。
「地球に……英雄は居れない。いや、それを許す世界では無くなってしまった」
カイトは一人、語り始める。それは、地球史を知ったが故だ。そして、沈痛な顔で今の自分達の現状を見通した。
「……だが、オレ達の中に英雄を生まないといけない」
遠く、今よりずっと遠く。いつの日か、カイトの正体は露呈する。それだけは、避けられない。カイトにとって、冒険部の面々は大切だ。だが、それと同じぐらいに、皇国の国民が大切なのだ。ならば、正体が露呈してでも自らの民を救う事を躊躇う事なぞありはしなかった。
だがカイトが居なくなった後も地球に帰るというのなら、『冒険部の』英雄が要る。誰かが、取り纏めないといけない。その取り纏められる者を、ある者はリーダーと呼び、ある者はまた英雄と呼んだ。
「英雄は法を超越した存在だ。法の下、英雄は生まれない……当たり前だ。英雄は悪人だ」
英雄は人を殺す。いや、殺さなくてはならない。それは避けられない。英雄であるがゆえに、他者を守る者になる。自らの守る者を傷つけられた時、それに対して烈火の如く怒らねばならないのだ。そしてだからこそ、引き金を引く事を躊躇う者であってはならないのだった。
「英雄は核兵器と一緒だ。結局は、抑止力。だが、同時に英雄であるが故に、もしもの場合は世界が滅びるのを承知で、躊躇ってはならない。躊躇えば、守る者が不安に陥る」
世界が滅びる。だから、撃たれても引き金を引くな。そんな偽善は英雄には通じない。振るわれぬのでは無いか、という疑念を民草に抱かせてはならないのだ。それが、カイトの、否、それを教えたティナとウィルの考えだった。
「余らが帰れば……わかっておろう?」
「……わかっている。第三次世界大戦……回避できるか?」
「綱渡り……否、無理じゃろう。帰った後の余らの処遇は考えておるか?」
「管理……いや、非合法の拉致と人体実験さえ睨んでいるだろうよ」
二人は歯噛みしつつ、問いかけを交わし合う。それは、答えも質問も全て、お互いにわかっているものだった。
カイトは本質は勇者だが、それと同時に公爵、つまり政治家としての戦略眼も持ち合わせている。だからこそ、カイトは帰ると一同を引っ張っていながら、その後に起こるであろう事態を把握していた。
「……仕方がない。今のソラでさえ、スタミナ無視なら最新鋭の戦車部隊一個師団に匹敵している。加護を隠しているつもりの先輩はそれこそソラと組ませればどこぞの軍隊は軽く壊滅させられるだろうよ。だが、もし本気で帰るつもりなら、核兵器に匹敵する……いや、それ以上の力量は必要だ。」
カイトはため息を吐いた。帰るのなら、カイトの呟いたぐらいは『最低限』に必要な実力だ。それは、誰もが理解していた。
だが、実は。それだけの力を得て帰った後については、天桜学園の誰も真剣に考えていなかった。カイトが帰れたのは、英雄である事を隠せる、という前提があったからこそ、なのだ。
「そんな力を、放っておく国があるはずはない。特に……今の地球ならな」
「伝えることは出来まい。余も、躊躇う」
天桜学園の誰も、という意味では無く、異族や裏の事情を知らぬ者達は、今の世界がどれだけ危ない事になっているのか正確には把握していない。
彼らが安寧を得ている裏で今の地球は、実はかなりきな臭い事になっている。それこそ、一発の弾丸が大戦の引き金になった第一次世界大戦と同じぐらいなのだ。
沈痛な面持ちで、カイトが一人語り始めた。
「ちっ……あいつらを叩き潰したお陰で戦争を避けたつもりが……そのせいでなりふり構わぬ状況になる、か」
カイトが忌々しげに呟いた。これがまだ、各国の寄せ集め等なら良かっただろう。力を分け合えるのだ。だが、この集団は日本人が大半の集団なのだ。日本の戦力だけが、飛躍的に高まると言って良かった。そして、どう足掻いた所で、ソラ達は結局は日本の国民。他国の権力を公然と及ぼせるはずが無かった。ならば、協力を申し出ることは出来ても、命ずる事は出来ない。
これでは導火線に火が点くどころか、火薬庫に火炎瓶を投げ込むようなものだった。
「常道で挑むか……」
「じゃが、片方に与する事は他方の暴発の危険性が高まる。それに、お主の縁や教員や留学生の分布を見れば、西側に組みするしかあるまい」
「オレ達が犠牲となるか……」
「それを、余もお主も認めるはずがあるまい。いや、数多八百万の神々も認めまい。お主の信望にも関わる。そして、他ならぬ冒険部の面々が、それを許すまい。あれらにもし、どこぞの国が非合法の拉致を行えば、必ず出る。もはや、冒険部は国が止められる集団では無い」
ここが、最大の問題だった。常道で挑んだ所で、もしも仲間がさらわれれば冒険部の面々に遵法精神は意味を持たなくなる。なにせ、相手が非合法だ。ならば、此方が法を守る道理がなくなるのだ。
「ちっ……拐いに来る奴があたりを引かない事を祈るだけ、か……」
ティナの反論に、カイトが忌々しげに舌打ちをする。だが、それは全てカイトの考えでもあった。ティナはカイトの考えを全て代弁しているに過ぎなかった。
「……ままならんもんだ。中立、という手段が取れればな」
「それをやっても、一緒じゃろう。どの国でも、異世界の魔術は欲しいじゃろうな。特にお主が壊滅させた彼の国は、是が非でも手に入れたがるじゃろう。まあ、実行に移せば、第三次世界大戦じゃろうがな……後は、常道を使い、大戦が起きぬ事を祈るしかあるまい」
ここが、最大の問題だった。カイトは地球で見れば、日本を基盤とする大勢力の顔役に過ぎない。しかも、それは裏の顔役だ。それ故、他国の国政に何か影響を与えられるわけではないのだ。だからこそ、二人共祈るしか無い。
「……どちらと手を組んでも、他方が睨む。大国に挟まれた国の悲哀、か」
「日本を滅ぼせぬ、というのは、どちらの国にとっても悪夢じゃろうな」
カイトの言葉に、ティナが苦笑する。日本を敵と出来るのなら、それで終わりだっただろう。共通の敵を攻める事で利害を一致出来るのだ。だが、実は今の日本は追い込めばまずい相手なのだった。第二次大戦での日本包囲網が使えないのである。
簡単だ。今でさえ日本にはエリザや蘇芳翁達が居る。たとえ地球の全てが敵に回ったとて、裏に居る神様達が出てこないかぎりは今の日本には実は何処も勝てないのだ。いや、その神様でさえ、最大の一派が総出でも深蒼の覇王には勝てない。
そして、彼らは関わる事は無い。今カイトを一番敵視している国は彼らの保護下に無いし、その門下に下る事は無いからだ。ならば後は、どうやって此方を振り向かせるか、となるしかなかったのだが、様々な軋轢からカイトを敵視している限り、戦いは避けられなかった。
「大戦が起きないでくれることは、オレの望みでもある……だが、もし……オレ達の安寧を認めぬというのなら。悪く思ってくれるなよ。生憎オレは、数多見ず知らずの安寧よりも、少しの友の安寧を選ぶ」
会話の最後。カイトは冷酷な眼をして呟いた。それは、もしカイトの予想通りに進んだ場合の覚悟だった。そしてそれは、避けられぬであろう戦争への、避けれてくれ、という切なる祈りでもあった。
戦争が最悪だ、というのはカイトもティナも共通した認識だ。資源の無駄な浪費であり、人命の無駄な浪費であり、精神の摩耗の原因なのだ。泥水をすすり、血反吐を吐いて、仲間の屍を越えて生き延びて公爵となったカイトがそれを良い事と認めるはずが無かった。
だが、それでも。仲間を守る為になら、カイトは戦争を辞さない。それがたとえ世界を敵に回す物でも、だ。
たとえ仲間の命を散らす物でも、奴隷や実験動物扱いされるよりかは遥かにマシだ、というのが、カイトの考えだった。遥か昔に出会った奴隷であった友の心の内の涙を知り、それは彼の中で確たる物となっていた。
「もしもの時は……お前達も付き合ってくれるな?」
「うむ。余とて、原因の一端じゃ。何処までも、付きおうてやろう。癪じゃが……地球には余に比するあ奴もおる。存分に、2つの世界の魔王による最終戦争を味わわせてやろう」
「当たり前です、お兄様。たとえ異世界が敵でも、お兄様に従いましょう。それが、私の……アウラと私、お兄様の家族の在り方です」
「御意に。我らの全ては、主の物。主が進まれる道を、何処までも共に歩むことは我らの望み。それはその道の果てまで、永久に共に変わること無く」
ティナが微笑み、いつの間にか来ていたクズハが優雅に腰を折る。そしてステラや椿達が、カイトに対して頭を垂れる。夫が、最愛の義兄が、主が戦に臨むというのなら、彼女らはそれに従うだけだ。
それがたとえ異世界の戦場であってとしても、それが世界を越えた軍事介入という決して許されざる事であっても、それは決して変わらない。そうして、この夜のことは、彼らだけの誓いとなるのだった。
お読み頂き有難う御座いました。
次回予告:第241話『第2回トーナメント』
今回の内容がなんとか断章・4のエピローグ投稿より後になって良かった・・・外伝が開始すれば、何故、地球がこうなってしまっているのか、というのもわかります。今は地球はこうなっている、とだけ、思いください。
なお、カイトが正確には何をやったのか、は断章で詳細に語ります。多分断章・6~7がそうなると思います。外伝と断章のどちらが先になるのかはわかりませんが。